パナソニック×サーモス。異業種の協業開発が叶えた、食洗機対応マイボトルの奥底まで清潔に洗える食洗機
パナソニック株式会社は、2020年9月上旬、魔法びんのパイオニアとして業界をリードするサーモス株式会社と協業開発した新機能「ボトルホルダー」搭載の、「卓上型食器洗い乾燥機 NP-TZ300」を新発売します。
同時にサーモス株式会社からも、自社初の食洗機対応の「真空断熱ケータイマグ」が発売されます。
パナソニック 卓上型食器洗い乾燥機 NP-TZ300
サーモス 真空断熱ケータイマグ(JOK-350/500)
当初は、スケジュール的に困難とされていたにもかかわらず、両社が培ってきた技術力と関係者全員の熱意により発売が実現した両社の製品。
異業種のコラボレーションで誕生した「卓上型食器洗い乾燥機」と「真空断熱ケータイマグ」の開発ストーリーを両社の開発担当者が明かします。
企画発想の発端は「東京オリンピック」と「エコへの関心」
パナソニック株式会社 キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU
商品企画部 食洗機商品企画課 山田恭平
山田:
2020年の新商品を開発するにあたり、1つ欠かせないキーワードが「エコ」でした。というのも、2020年といえば「東京オリンピック」が開催される、またとないチャンスの1年。実際は新型コロナウイルスの影響により延期となってしまいましたが、東京オリンピックは、「SDGs」への取組みを掲げた大会でもあり、ここで消費者の「エコへの関心」がグッと高まるのでは、と考えたんです。
現状、エコバックやマイ箸などと同様に「マイボトル」持参への需要が高まっています。弊社のアンケートでは、水筒やマイボトルのように長筒形状のものは、大きな調理器具、刃などの鋭利なパーツがある調理道具に次いで、手洗いしにくいというデータが出ています。またしっかり洗えているか不安を感じるものとしても水筒が上位にあがっています。
図1:手洗いで洗いにくいもの
図2 しっかり洗えているか不安を感じるキッチン用品
図3 エコ活動の為に普段持ち歩いているもの
図4 水筒使用時に最も不満に感じていること
図1:パナソニック株式会社調べ 2018年実施WEB調査 N=754
『賃貸住宅ユーザー情報調査』
図2:パナソニック株式会社調べ 2020年実施WEB調査 N=3,000
『ライフスタイル調査』
図3:カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(Tアンケート)調べ
2020年実施WEB調査 N=1,504
『エコ活動・SDGsに関するアンケート調査』
図4:サーモス株式会社調べ 2018年実施WEB調査 N=1,000
『水筒使用実態調査』 ※特に不満は無い(40.4%)という回答を除く
また、サーモス様の調査でも、ボトルは「底までキレイに洗えない」「飲み口部分が隅々まで洗えない」がお悩みの上位にあがっていました。この「ボトルの洗いにくさ」を解決する食洗機があれば、これまで食洗機を使っていなかった潜在顧客へアプローチできるのでは、というのが最大の狙いでした。
ただ、ここで1つ大きな課題にぶち当たりました。「食洗機対応のマイボトル」をリサーチしてみると、市場には食洗機対応のものが、ほとんどなかったんです。あっても、温度管理ができないなど機能性やデザイン性が低いものが少なくなかったんです。
食洗機対応、かつ機能的にすぐれたボトルがなければ、食洗機を発売したところで意味がない。「どうにかしなければ」との思いでサーモスさんにお声がけした、というのが協業の発端です。
数あるメーカーの中でサーモスさんにお声がけした理由は、魔法びんメーカーの業界大手として市場を牽引されており、お客様への信頼感・訴求の面で非常に魅力的だったから。弊社食洗機は1960年以来の歴史があり、市場を牽引してきた自覚があります。そんなメーカー同士のコラボレーションだからこその、新たな価値を創造できると考えました。
パナソニックからの猛アプローチにより協業が実現
サーモス株式会社 技術部 研究開発課 岩井寿倫
岩井:
弊社としてもパナソニックさんからのお声がけは大変ありがたかったですし、食洗機対応のマイボトルの企画は、自社でも水面下での動きがありました。とはいえ、実現するにはハードルが高く……。
食洗機を使用する際のボトル側の課題としては、樹脂部品の熱による変形と塗装の剥がれ。食洗機の深い知識を持ち合わせていない弊社が、この2つの課題をクリアして「食洗機対応」とうたうには、ボトルの規格を一から作らなければなりません。そのためには何百回という実機試験が求められ、まとまった期間が必要になります。
試験期間を踏まえると、「どうしても2020年に発売したい」というパナソニックさんの想いに応えられそうにないということで、当初はお断りさせていただくつもりでした。
山田:
はい、私もサーモスさん側の「やりたい」という意思は感じ取ったものの、開発スケジュールを考慮すると不可能だという当初の判断も理解できました。それでも技術担当の佐藤と共に4回、5回と粘って交渉を続けたところ、最終的に「やりましょう」という回答をいただいたときは、心の中でガッツポーズしました!
サーモス株式会社 マーケティング部 商品戦略室企画課
企画第1グループ 柏原雄樹
佐藤:
弊社の本気度を伝えるために、最初の折衝の段階から、食洗機でボトルがどこまでキレイに洗えるのかを示すデータを用意しました。打ち合わせで「最近はミルク入りのコーヒーや塩分の多いスポーツ飲料をボトルに入れる人もいる」などの情報をいただいたら、次回の打ち合わせでは、それらの飲料を入れたボトルを洗ったデータを追加するなど、最大限の情報を用意して、弊社の思いをお伝えしました。
山田:
とにかく「サーモスさんと是非ご一緒したい」と、弊社から猛アプローチしましたね(笑)
岩井:
ありがとうございます(笑)。パナソニックさんの熱意を感じ取るなかで、弊社としても「なんとかしよう」という意思に変わっていったと思います。渋ったのはスケジュールだけだったので、そこは工夫と努力で乗り越えようと私も最終的に腹をくくりました。でも、今となってはすごく良い機会でしたよね。
柏原:
そうですね。本来、新企画を通すには社内の承認を得るまでにかなり時間が必要なのですが、パナソニックさんの熱量がすごかったこともあり、打ち合わせには当初から上長が出席していたんですよね。異例の決定ではありましたが、結局は「企画が魅力的だった」という一言に尽きると思います。
実機を改造!?不可能を可能にした技術担当者の努力
パナソニック株式会社 キッチン空間事業部 冷蔵庫・食洗機BU
食洗機技術部 コンパクト商品設計課 佐藤百合菜
岩井:
今回、パナソニックさんとの協業は初の試みでしたが、初期段階でお互いの役割分担を明確にして、ムダなく動けるように配慮したのは、効率的で良かったですよね。
佐藤:
そうですね。加えて、弊社としては洗浄対象の情報を十分にいただけたことや、洗浄の評価基準の判断にご協力いただけたことが時短につながりました。例えば、人気のボトルの形状や使われ方等の情報は、本来リサーチにかなりの時間が要するのですが、ボトルを専門にしているメーカーさんから直接情報を提供いただけたのは、本当にありがたかったです。
●ボトルの洗浄実機試験 品質評価データより抜粋
一方で難しかったのは、ものづくりの技術的な側面。食洗機の庫内に、ボトルホルダーを新しく追加するにあたり、通常の食器のセット性や洗浄性を落とすことは許されません。
ボトルをキレイに洗えることに加えて、従来の利便性も維持するという観点から、ボトルの直径を2段階に調整できる仕様、ボトルホルダーを折りたたんで収納できる仕様を加え、他の食器の洗浄をジャマしないよう、庫内の折り合いを付けていきました。
●NP-TZ300のボトルホルダー(緑部分)
●ボトルホルダーの使い方
ホルダーは、径の調整ができ、最大直径75mm、高さ22cmまでの長筒形状の食器に対応。
これにより、キッチンの限られたスぺースにも置けるコンパクトサイズでありながら、ボトルを最大3本まで洗え、ボトルホルダーを使わないときは他の食器をたくさん洗いたいという消費者の要望に応えられる食洗機に仕上がりました。
●食洗機の庫内に、マイボトル本体、飲み口などのパーツがぞれぞれセットできる
さらに、飲み口やパッキンなどのパーツは、「ちょこっとホルダー」と呼ばれる収納部分に入れることで、食洗機ならではの高圧水流で洗浄しても、庫内で動き回る事もなく、しっかりと洗浄できます。
岩井:
弊社のネックは散々お伝えしていた通り、スケジュールでした。通常のやり方では、食洗機の運転時間から逆算すると、テストは1日8回しかできませんが、それでは到底終わらない。そこで、パナソニックさんにも協力いただき実機を改造して、検証のための専用モデルを制作し、約3倍の早さとなる24時間稼働でテストを行いました。
●両社が協力して制作した、ケータイマグ検証の為の専用食洗機
●食洗機対応ケータイマグ 初期の開発モデル
異例の手法でしたが、パナソニックの佐藤さんにも洗剤投入のタイミングや改造の構成をくまなく見ていただき、食洗機の機能としては正規のものと同等のもので検証することができました。
これにより、ガラス材を配合したせんユニット部分(フタ、せん本体、飲み口)に変形や漏れが見られず、さらに塗装の剥がれも回避できたことから、ケータイマグの食洗機対応がOKと判断されました。
ところが、まさかの新型コロナウイルスの影響で中国の工場が1ヶ月止まる事態に……。予想外の出来事でしたが、急遽テストを日本で行うなどの緊急対応を行い、なんとか発売日に間に合わせることができたんです。
佐藤:
本当にありがとうございます…! 実は弊社にもスケジュールの問題があり、今回の新型コロナウイルスの影響で、中国の生産拠点が1ヶ月ほど停止に追い込まれました。そのため、評価にかける時間が大幅に削られてしまいましたが、工場と連携し、力を合わせて乗り切りました。サーモスさんに無理なお願いをしておいて、弊社がダメでしたというのは筋が通らないですから。
岩井:
振り返ってみると、パナソニックさんからのお声がけがなければ、数年経っても食洗機対応のケータイマグを発売するのは難しかった気がします。「食洗機対応」という明確な指標を定めるのは、それほど難しいことなんですよね。
山田:
それは、弊社としても同感です。互いの専門知識を活かした協業開発だからこそ、お互いに自信を持って世に出せる商品を生み出せたのだと思います。
相互のマーケティング活動も展開。今度の動向に期待
山田:
両社互いの技術を集結したことで、今回、私どもが理想としていた食洗機が実現できました。
7月15日に両社から同時に新商品発売のリリースを打ち、両社でタイミングをあわせたSNS発信などを通じて、PR・マーケティング活動をすすめていますが、お互いこれまで接点がなかった潜在顧客層へアプローチでき、非常に効果的だと考えています。
柏原:
そうですね、すでに販売店のバイヤー様から「これまでになかったアイテムで嬉しい」というお声をいただいたほか、消費者の方からも「使ってみたい」という前向きなコメントも多く寄せられています。
山田:
発表後のSNSの反響をみていて実感しているのが、食洗機ユーザーよりも、マイボトルユーザーは圧倒的に多いという事です。
●SNSの反響 サーモス公式ツイッターの投稿より抜粋
「遅く帰ってきてハイッて水筒出されるの地味にストレスでした(子供に洗わせるといい加減だし)これなら「食洗機に入れといて」で済むから最高ですね」
「食洗機対応とても嬉しいです!こどもの水筒でも作って欲しいです。」
「食洗機対応!待ってました!毎日毎日5本のサーモスを洗ってます。食洗機対応だと楽になります。子供用の食洗機対応も作ってください!お願いします!」
我々にとっては、洗浄力訴求だけでは、食洗機の興味関心層へのリーチにとどまってしまいがちであったのが、マイボトルの興味関心層に食洗機を知っていただく機会となり、新たな顧客接点の拡がりを作れることに期待感を持っています。
●共通POP
両社それぞれの店頭でPR
山田:
食洗機も、サーモスさんのケータイマグも、順調に店頭に並び始めました。「エコ&クリーン」をメッセージとした共通POPを制作し、互いの店頭で展開しています。
また食洗機の購入特典としてサーモスのケータイマグが抽選であたるキャンペーン(購入期間:8/26-11/1 応募期間:8/26-11/15)も実施します。両社でタッチポイントを拡大し相互誘客を目指します。今後の動向が楽しみです。
柏原:
マイボトルは非常に普及率が高く、1人で何本も持っている人もいるほどです。今回、食洗機対応にしたことでマイボトル利用のハードルを下げることができ、市場の活性化につながれば嬉しいですね。エコやSDGSが注目されていますが、大げさな意識ではなく生活の中の身近な行動が環境配慮につながるという点も併せてアプローチしていきます。
山田:
共働き世帯数が、男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回り、またコロナ禍によって自宅で過ごす時間が増えている昨今、食器洗いの負担を減らしたいというニーズが一層高まっています。
今後もお客様のお困りごとを解決し喜んで頂くことを一番に考えながら、新しい視点を持つことを大切に、商品企画に取り組んでゆきたいと思っています。
●新商品について
【商品名】
卓上型食器洗い乾燥機 NP-TZ300 (-W ホワイト/ーS シルバー)
【商品特徴】
・ボトルホルダーを搭載し、3本までボトルがセットOK
・飲み口やパッキンなどのパーツは、ちょこっとホルダーで洗浄可能
・ストリーム除菌洗浄を新搭載した高い洗浄力
・独自技術「ナノイー X」送風で、洗浄前と洗浄後、
庫内のニオイを抑制※1、除菌※2
・手洗いの約1/6の水で洗える高い節水性
・シンプル操作のフルフラットデザイン
※1 <「ナノイー」による食洗機庫内のニオイの抑制について> ●試験方法:汚れ付着食器を設置した食洗機庫内のニオイを6段階臭気強度表示法にて評価 ●消臭方法:「ナノイー」を放出 ●ニオイ抑制の対象:食洗機庫内 ●試験結果:0.5時間後の臭気強度 カレー:自然放置4.0、「ナノイー X」送風1.7 焼き魚:自然放置4.0、「ナノイー X」送風1.9 ●「ナノイー X」送風の効果は、周囲環境(温度・湿度)、運転時間、臭気の種類によって異なります。ニオイの感じ方には個人差があります。
※2 <「ナノイー」による食洗機庫内の菌の抑制について> ●試験方法:食洗機庫内の菌液付着食器の生菌数測定 ●除菌方法:「ナノイー」を放出 ●除菌の対象:庫内食器類 ●試験結果:8時間後で菌の減少率99%以上(自社換算値) 除菌効果は、食器の量や位置、汚れの程度により異なります。
【商品名】
食洗機対応 サーモス 真空断熱ケータイマグ(JOK-350/500)
【商品特徴】
・食洗機対応
・ステンレス製魔法びん構造による高い保温・保冷力
・ 軽量、コンパクト
・結露せず、熱くならず、漏れにくい
・ワンタッチ・オープン
・飲み口ははずして隅々まで洗える
・スポーツ飲料もOK
<関連情報>
▼パナソニック 卓上食器洗い乾燥機 NP-TZ300 商品サイト
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