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京都の歴史と伝統ある味を守る!小さなスーパーによる「老舗店の人気惣菜」存続奮闘記

著者: フレンドフーズ有限会社

長く愛用・愛食してきたものが、提供元企業の事情により急に手に入らなくなってしまう。それは化粧品だったり、生活雑貨だったり、また食品だったり。皆さんにもそんな経験はありませんか?


ものがあふれる現代で、「コレ」と決めて使い続けられることって、とても貴重です。たくさんあるけど、これしかない。これじゃないと、気持ちよく過ごせないし、味が決まらない。“その他大勢”にはどうしてもできないもの、きっとありますよね。


ですが、いいものを作っていても「伝える力」が時代に追いつかず、廃盤や、最悪の場合は企業が廃業や倒産に至ってしまうこともあります。


長年愛され、必要とされてきた技術や味が消えていく……。


これは「そんな事態になってたまるものか!」と、廃業した京都のとある老舗惣菜店の惣菜を、京都市左京区に1店舗を構える小さなスーパーマーケット「フレンドフーズ」の代表取締役・藤田俊が奮起し、形を変えて復活させたお話です。

△フレンドフーズ有限会社 代表取締役社長 藤田俊


※本件に関するプレスリリースも公開しています。

京の台所・錦市場の老舗惣菜店「井上佃煮店」が廃業!?


△錦市場で長年営業していた井上佃煮店


ことの発端は2019年の12月上旬。年末年始需要に向けて従業員一同てんやわんやで準備を進めていたときに、お店の電話が鳴りました。


「12月14日で、お店をたたみます」


電話主は老舗小売店がひしめき、「京の台所」とも呼ばれる錦市場で惣菜店を営む「井上佃煮店」。当時創業135年の老舗惣菜店です。


「万願寺とうがらし昆布」「いかみょうが酢」「ちりめん山椒」などの代表的な惣菜は、いずれも素材や製法にこだわったシンプルで優しい味。家庭的な味付けが好評で、多くのお客さまに愛されてきました。また、「はりねずみドーナツ」「チョコレートコロッケ」など、若者向けの名物もリリースされ、お店はいつもにぎわっていました。

△万願寺とうがらし昆布


フレンドフーズでは主にお正月のおせち用として、長きにわたって同社の惣菜を仕入れ、販売。毎年リピートされているファンのお客さまも多数いらっしゃいました。


そんな、これからもお世話になりたい大好きな味が、まさか手に入らなくなるなんて……。

伝統ある“ほんまもん”の美味しさを継続させたい


井上佃煮店は京都の地元民のみならず、他府県のお客さまからも愛される名店です。惣菜が美味しいことはもちろんですが、そのお客さまを想うお店の信念にも、同業者として感服していました。


例えば、他のお店ではなかなかないことですが、1人のお客さまから「◯◯を作ってほしい」と要望があると、効率性や生産性を無視して、そのたった1人のために惣菜を作られることも。


その愛すべき真っ直ぐな方針は、そこで働く方々の人間味となっても表れており、お客さまは惣菜を買うことはもちろん、従業員の方々とのコミュニケーションも楽しんでおられたように思います。


△井上佃煮店社長・梅村氏


そんな“ほんまもん”の美味しさ・人間臭いコミュニケーションが、錦市場を訪れる顧客層の変化ほか、さまざまな時代の波にのみこまれてしまい、継続が困難になってしまった……。


フレンドフーズも困るし、フレンドフーズのお客さまも錦市場のお客さまも困る。何より残念で仕方ない。老舗の歴史がそこで終わってしまうなんて、絶対に嫌だ。


「京都の伝統ある井上佃煮店の味と、人間臭いコミュニケーションを、何とか継続させられないか」


そんな想いから当店社長の藤田は、井上佃煮店の元社長や株主へ、再生の道を探る話し合いを持ちかけます。


「廃業を告げられた当時は、『井上佃煮店の代わりに取り扱える商品ってなんだ?』『いきなり廃業って意味が分からない』『お客さまはどう思っているの?従業員はどうなるの?』『なんで?なんで?なんで?』と、とにかくパニックでした。


そもそも私自身が井上佃煮店さんの大ファンでしたし、だんだん『何、勝手にあきらめてんねん!ふざけんなよ!』と、怒りすらわいてきましたね(笑)」(フレンドフーズ 藤田)

猛説得の末、井上佃煮の惣菜を店舗で販売できることに!


井上佃煮店の元社長・梅村氏は、当時74歳。対して当店藤田は39歳。かなり歳の離れた大先輩ですが、時には怒りさえも交えながらの猛説得です。


井上佃煮店の梅村氏はというと、歴史の重みや錦市場の変容も含め「自信をなくした」「どうしたらいいかわからない」「すべての重荷をおろしたい」と、当初は継続を悩んでいらっしゃいました。


「梅村さんは当初、『山奥で大好きなお花を触りながら、蕎麦屋でもやりたい』とおっしゃっていました。


私は『いやいや、絶対させへん!』と。説得しはじめたのですが連絡がなかなか返ってこないので、Googleカレンダーに“梅村さん催促”と入れたりなんかして(笑)、繰り返し、しつこくアラートを鳴らしたんです」(藤田)


「正直、私に何を望んでいらっしゃるのか……? 私に何ができるのか……?と、なかなか最初は前向きに考えられませんでしたね」(井上佃煮店 梅村氏)


説得を試みるも、やはりなかなか首を縦には振ってはもらえない。でも藤田も引きません。「ファンが待ってるんです」「閉めるなんてことは私が許しません」とそれはそれは偉そうに(笑)、粘り強く話し合いを続けました。


「まずは、井上佃煮店さんの惣菜を復活させるのが最優先。でもお店はもうない。そんな状況の中で自分ができることを考えたら、『調理する場』と『販売する場』の提供しかなかったんですよね。


私は、名前やブランドの実質は屋号に紐づくわけではなく、そこに勤める人につくんじゃないかと思っています。もちろん、商品に惚れるお客さまも多かったでしょうが、それ以上に『そこで働く人から買う』という体験価値をお客さまは求めているんじゃないかなと思っています」(藤田)



△当時のやりとりの様子


そうして約8カ月間の時間をかけて再生の道を探り、「惣菜の製造・販売事業をフレンドフーズが継承し、フレンドフーズの店舗で販売する」と形を変えて、再生させることとなりました。


梅村氏と娘さん(井上佃煮店パート勤務)には弊社へ入社いただき、引き続き梅村氏を中心に惣菜を作り、提供いただきます。


△実は、すでにプレ販売中!


これは当店にとって、もう一つの嬉しさも。


従来、当店では朝一番に惣菜を並べきるので、夕方に商品が少なくなる傾向がありました。運用を継続している残業減らそうキャンペーンや勤務シフトの関係で、惣菜の製造担当者はみんな夕方に帰宅してしまい、夕方からの夕食需要に応えきれずにいたのです。


まさにチャンスロス。そこで今回、惣菜を朝・夕と1日2回転させるべく、井上佃煮店の惣菜は少し遅めに出してもらうことに。これにより、夕食用の惣菜を求めて買い物に来られるお客さまにも一層満足していただけるように思います。

ゆくゆくは、また独立して事業を営んでほしい


そんなわけで今、井上佃煮店のお惣菜が店頭に並んでいます!


長年のファンの皆さまはもちろん、当店での販売を通じて新たにファンも作ってもらいたい。


そして、ゆくゆくはフレンドフーズを離れて、もう一度独立した井上佃煮店をやってほしいと梅村氏と娘さんには伝えています。


「話し合いを重ねる中で藤田社長とご一緒させていただいて、気持ちに変化を感じました。やるなら一生懸命、期待に沿わなくてはという思いで最後は決断しました」(梅村氏)


「話が決まった際、梅村氏がおっしゃった『やるとなったら、私はなんでもやりますから』という言葉から、腹を括っていただいた温度感と熱量がひしひしと伝わり、とても印象的でした。『そういうことだよ!!ようやくスタートが切れる準備が整ったか!!』って思いました(笑)」(藤田)

10月30日、31日に「井上佃煮復活祭」フェアも開催!


せっかくの復活。どうせなら多くの方に井上佃煮店の良さを伝えたいと考え、2020年10月30日(金)、31日(土)には「井上佃煮店復活祭」と題したフェアも店頭で行います。


大きめの平台にたくさん惣菜を並べ、また店頭には元社長の梅村氏や、その娘さんにも立ってもらい、直接コミュニケーションを楽しんでいただける機会もご用意します。


京都の伝統ある“ほんまもん”の味を、“ほんまもん”の作り手から直接購入できるチャンスですので、お近くの方はぜひお越しください!


フレンドフーズはこれからも食の良さを伝える力を持つスーパーとして、京都の伝統ある味を存続させ、“ほんまもん”の美味しさが消えゆかないよう、その使命を果たしてまいります。


※(再掲)本件に関するプレスリリースも公開しています。

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