「お腹の子は、無脳児でした。」~葛藤と感動に包まれた5日間の記録~

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通常ならば決して会うことができない、

限られたほんの少しの秘密の対面。


「俺は妖精に会ったんだ」


そう思った。


また、会いたい。


だから、必ずお前をまた、

この世に呼び戻してやる。


その時に顔が違っても、

性別が違っても、



その子は絶対に君のはずだから。



エピローグ



5年前も、今年の妊娠時にも、

はなちゃんに言っていた。


「子どもを産むからには、

どんな子でも、受け入れる覚悟を持たなければいけない。」


今は活動していないが、20代にバンド活動をしていた。


約10年前。趣旨は少し違うけど、

今読むと、えぐられるような曲を書いていた。


もしかしたら、この時から、

今日のことを覚悟していたのかも知れない。


最後に、この機会に日の目にさらしてあげたいと思う。




水の精



もうすぐだ。

もうすぐだ。

このえんが紡ぎきれるまで。


ずっと待って、

ずっと待っていた、

このえんが描ききれるまで。


父親になるはずの人、

彼はただ、

言葉を失っていた。


母親になるはずの人、

彼女はただ、

ただただ、

泣き続けた。


今度の命は

僕に何を与え、

何を課したはずだったろう。


どんなにそれが不遇でも

生まれてみたい。


たとえ望まれず生まれた子で、

たとえそれで愛されなくても、


どんなに恵まれずとも、

生まれて、

生きてみたい。



父親になるはずの人、

彼はただ、

溜め息をついていた。


母親になるはずの人、

彼女はただ、

ただただ、

泣き続けた。


今度の命は

僕に何を捧ぎ、

何を罰すはずだったろう。


どんなにそれが不遇でも

生まれてみたい。


例えば、

容姿が醜くても。


病に侵されて生まれても。


五体満足にも恵まれていなくても。


もはや生きていることでさえも、

理解できぬ子だとしていても。


感じることさえ、

ままならなくても。


大災害の地で育とうと、

戦争中に生まれ落ちても。


それで短い命でも、

生まれて、生きてみたい。



ねえ、

いい子にするから。


何も欲張りはしないよ。


ねえ、

いい子にするから。


せめて、

生まれて生きたい。



恋をして、

友達を作って、

冒険をして。


傷ついて、

裏切られ、

でも、

また人を信じて。


ずっと待って、

ずっと待っていた。


だから僕を、



僕を、殺さないで。










「お腹の子は、無脳児でした」は、STORYS.JP用に編集しています。

7月12日からのはなちゃんの心情や、それまでの全文は

http://my-osotis.blogspot.jp/ 

に掲載しています。


文中にもありましたが、はなちゃんもインターネット上のたくさんの記事や体験談に助けられました。

同じ境遇の方や、近い状況で悩める方の一助になれたら幸いです。

エピローグ掲載曲「水の精」がYOUTUBE音源になりました。(2015年12月)

英語版ができました。 (2015年12月)

STORYS.book創刊号に収録されました。(2017年3月)

続きのストーリーはこちら!

「お腹の子は、無脳児でした。」最終話 ~妊娠498日の約束~

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