「お腹の子は、無脳児でした。」~葛藤と感動に包まれた5日間の記録~

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次話: 「お腹の子は、無脳児でした。」最終話 ~妊娠498日の約束~

カエルもいなかった。




キレイだった。




キレイな顔の、

小さな、小さな男の子だった。



確かに、

スパッと切り取ったように、

頭だけが無かったけれど、

鼻筋が通っていて、

本当に私によく似ていた。



色んな覚悟を決めていた分、

緊張の糸も切れたのだろう。



涙が溢れだして止まらなかった。



本当は、会ったら

「ありがとう」とか

「またな」と伝えようと思っていたのに、



ただただ、感動が止まらなかった。



はなちゃんも、もう思いっきり泣いていた。



妻の7月11日

「妖精に会った。」13:09



はんちゃんは隣でついにわが子と対面。


「キレイ!すごくキレイ!」


「感動する!」


と声が聞こえてきて、

私も早く会いたい一心。


ここ数日、会うのが怖いと考えていたのが

本当にバカらしいくらい、

とにかく会いたい!!

と思った。


そうたろうを産んだ時と何も変わらない。


そうたろうの時と全く同じ気持ちで、

早く会いたいと思えた。


加藤さんに、

「どうする?見る?」

と聞かれて、迷わず、


「会いたいです!」と伝えた。


はんちゃんが戻ってきた。


はんちゃん泣いてた。


でも、感動の涙だって。


「キレイだよ。

本当にキレイで感動するよ!」

と号泣していた。


私も、まだ会っていないのに泣けてきた。


ついに赤ちゃんと対面。


小さな箱にガーゼをひいてもらって、

その中で寝ていた。



すごく素敵なものに出会えた気分。


のちのち、はんちゃんが、

「俺は妖精に会った。」

と言うけど、

本当にその通り。


妖精だよあれは。


あんなに小さいのに、

はんちゃんにそっくりで。

瓜二つすぎて驚く程。


色々な感情が溢れすぎて、

ここ数日の中で1番思いきり泣いた。


あまりにもかわいくて、

ちゃんと産んであげたかったな、

という思いもやっぱり出て。


これだけ自分によく似た子。

もし、無事に生きられたなら、

はんちゃんも、嬉しかったろうなあ。



夫の7月11日

「妖精に会った。」13:09


欲を言えばきりがない。


贅沢を言えば、

一緒に生きてみたかった。


でも、それが叶わないからこそ、

ものすごく神秘的なものを、

この目で見ているような気持ち。

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