【世界一可愛いおばあちゃんになったる宣言!】Baby Angel ♡ 赤ちゃん天使がくれた贈り物

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美術学校が終わり、ストックホルム大学でスウェーデン語を学んでいた。


その頃の私は、ヒッピー時代の生き残りのような仲間たちとつるんでいた。





LOVE&PEACE

みんな愛でつながっていこう!


芸術を愛し

自然を愛し

自由を愛し

人種も宗教も超えて

平和な世界を創っていこう!


ジョン・レノンのイマジンは、テーマソング。


私はドラッグやマリワナは好きではなかったし、興味が無かった。

なにも無い状態でも、幽体離脱、幻覚などで悩まされている状態だったから。

それ以上のものは欲しくなかった。

夢のセラピーも受けていたくらいだったから。


しかし、私の彼も私の周りの友達も、ハイ状態でいる奴らが多かった。

明日の生活を考えるより、今日を楽しむ。


私の彼もそんな一人だった。

彼はチリから家族と共に、政治(経済)亡命してきた若者だった。

情熱的でロマンチックで、家族が集まり、友達が集まれば、

すぐに音楽をかなで歌い、踊り、人生を味わうってこういうことなんだ、という生活。


真面目な性格の人間が多いスウェーデン人と違って、

いい加減、だけど、人間味があるロマンチックな彼に惹かれていた。


でもね、ある日、彼のお母さんに言われた。


彼のママ
私はナナのことがとても可愛い。
大好きだからあえて言うわね。

うちの長男は真面目な性格で、彼のワイフだけを愛しているけど、

ペペ(私の彼)は、遊び人だから、ナナがきっと泣くことになる。

息子がもっと真面目な男だったらナナと一緒になってもらいたい。

でもね、あの子はだめ。いつか卒業するかもしれないけど、当分はだめよ。

こんなこと、母親の私が言いたくないけど、あの子とは早く別れた方がナナのためよ。




そしてその通りだった。


彼にとっては、出逢う女の子、すべてが恋人になってしまう。

たとえ一晩だけでもね。



ある日、半分一緒に暮らしていたような彼のアパートのドアを開けたとき

奥の寝室から女の子のうわずる声が聴こえてきた。



それが彼との関係の終わりだった。



予期していなかったわけではない。


それでも、それが現実になったときには、

まるで青天の霹靂のごとくに感じるものだ。


自分の描いていた夢物語が

音をたてて崩れて行く。


あるいは、自分をごまかすために張っていた靄が晴れてしまった、

ということかもしれない。


臭いものには蓋をして
見たくないものには目をつぶっていても
その現実が消えるわけではない。


いつかは目を開き、そのことを直視し
その蓋をあけ、中を掃除しないといけなくなる時がくる。


それが来てしまったということだった。




そしてそのあと、すぐだった。



ある朝、急に気分が悪くなり、洗面所で吐いた。


手ですくった水で口をすすぎ、鏡に映った自分をみた。



うそ・・・でしょ・・・



血の気が引いて行く。

手と足の先が急に冷たくなっていった。



まるでドラマの中の一場面の中にいるかのような自分。




運命の流れの中で、私は決断を迫られた。


もうすぐビザがなくなる国で一人。

頼る人もいなかった。


お腹の中の命に、泣いて、泣いて、泣いて、泣いて、謝った。


ごめんね。ごめんね。

今はあなたを迎えることはできないの。

だけど、いつかきっとあなたを迎え入れるから。

その時まで待っていてね。

ごめんね、本当にごめんなさい。




こんなにも涙は溢れてくるものなんだろうか、と想うほど泣いた。


私は「孤独」という病に侵された。


その時私は、孤独と罪悪感から

どれだけの涙を自分の胸に落とし込んだことだろう。



そして私はその日を迎えた。


その時、私はまたしても大きなショックを受けた。


スウェーデンは福祉国家であるため、国民ならずとも、ビザがあれば無料/ほとんど無料で受けられる医療サービスがたくさんある。

堕胎手術に対してもそうだ。

そんなことはよくあることで、ごく当たり前、といったような手続きの簡単さ。

心の痛手をおっている状態の私には、そのことがかえってつらかった。


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