【蘇った愛♡私の孫はアメリカ人】〜命の数だけある命の迎え方・日本人バアバが見たアメリカ出産事情〜20万分の1の奇跡の物語☆
「フー、フー、フー、フー」
痛みを逃す娘の眉間にしわがよる。
「リラックスして」
私は、ココの眉間を親指で撫でた。
ココを産んだ時、お産婆さんが陣痛を逃す私に言ったことを思い出す。
え? あの・・・痛いんですけど・・・苦しいし・・・無理!
一瞬、そう思った。
しかし、眉間にしわがよるほど、ぎゅっと目をつぶると、体がこわばり、もっと痛みがますのだ。
だから、無理やりにでも、目を開けると、自然に体がリラックスする。
そして、体がリラックスすることで、痛みも和らぎ、陣痛の波に楽に乗れるようになる。
そのすべてが、なんだかコメディみたいな感じがして、陣痛を逃しながら笑いそうになったのを覚えている。
私は、こうして苦しいながらも、陣痛は赤ちゃんから送られてくるメッセージだ、と思いながら、陣痛の波乗りサーフィンをした。(楽しんだ、と言ってもいい)
私が出産したころは、ラマーズ法が流行りで、
ヒーヒーフーという呼吸を意識したが、最近はただ、フーフーと
深く呼吸することでいい、ということらしい。
ヨガの呼吸法とかも役立つようだ。
看護師さんが来て、陣痛の波を乗り越えたばかりの娘に
「痛み止めを処方しましょうか?」と尋ねた。
点滴の中に入れるらしい・・・
(病院って、陣痛に痛み止め処方するの?と、私は内心驚いたが・・・)
でもココは、「大丈夫。要りません」と断った。
私は心の中で、よし!と叫んだ。
陣痛は赤ちゃんとの会話なのだから、ちゃんと感じてほしいと想ったから。
いいぞ、ココ!!
フー、フー、フー
力を抜いて頑張れ!
7時すぎ:
陣痛の波が大きくなる。
モニターの数値も、ピーク時で80を超えるようになってきて、それがなかなか、50以下にならない。
陣痛の間隔はまだ4〜5分くらいだが、陣痛自体の時間が長くなってきたのだ。
7時半:
看護婦さんがやってきた。
よかったわね!
彼女も嬉しそうに、笑顔でそう伝えてくれた。
「Thank you!!」
ココも安堵のため息をついた。
やった!
この子は、なんて強運の持ち主なんだろう!
手術は8時半すぎになると告げられた。
7時半と9時半にも、帝王切開の手術が予定されているので、その合間に・・・と。
アメリカの大病院だと、そんなに帝王切開があるの??
この病院では、毎日平均5人くらいの赤ちゃんの帝王切開の出産があるそうだ。
アメリカの医者は、すぐに切りたがる、と聞いていたが、ドクター・ゴウリキは、できるだけ普通分娩を勧めている。
娘が無痛分娩を希望した時も、陣痛が感じられないほどは処方しない、最小限でやりましょう、と言っていた。
しかし、それにしても、スケジュールされている帝王切開がこんなにあるなんて、改めて、良いとか悪いとかいう意味ではなくて、すごいなあ、と思った。
(それに、ここは全室個室なのだ。病室、足りるの?いったい何部屋あるんだろう??という疑問もあったが、毎日、退院する人たちもいるからなんとかなっているんだろうか?)
看護婦さんと入れ違いに、東洋系男性の麻酔医がきて、下半身だけの麻酔について説明される。
もうここまで来たら、ココと赤ちゃんの無事を祈るしかない。
ココよりも、傍にいるジャスティンの方がオロオロしているように見えた。
出産に関しては、女は、動物的に本能で肝がすわる。
でも男には、どう転んでも出産はできない体験だから、まあ、無理もないかもしれない。
7時40分:
陣痛のピーク時の数値が85を上回るようになる。
ジャスティンがココの手を握って、サポートしてくれている。
陣痛の波が収まるのを見届けてから、私は部屋からでて、数分の間、外の光が入る2階のロビーから毎日続けているご来光瞑想に・・・
万感の感謝とココと赤ちゃんの無事を祈った。
8時15分:
ドクター・ゴウリキ到着。
名前の雰囲気とは違って、肩までの髪をポニーテールでまとめた小柄の可愛い先生だ。
彼女に娘と孫を託すのだ。
そう言って、握手を求めてきてくれた彼女の暖かな手を、祈りと感謝を込めて握った。
ありがとうございます!
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