【蘇った愛♡私の孫はアメリカ人】〜命の数だけある命の迎え方・日本人バアバが見たアメリカ出産事情〜20万分の1の奇跡の物語☆
(生まれたてのETみたいなシワシワで真っ赤な顔の赤ちゃんを、可愛い!と思えるのは、身内だけじゃないか?笑)
振り向くと、ベッドに横たわり、疲れてはいるが、安堵の表情の娘が看護婦さんに付き添われている。
正直言って、まだこの子が娘のお腹の中にいたのだ、という実感がない。
なんだか、つじつまの合わない夢の中の一場面の中にいるような感覚だ。
ジャスティンも放心した顔つき。
「ブロンソン!」
私はもう決まっていた赤ちゃんの名前を呼んだ。
赤ちゃんを乗せたベッドは、看護婦さんに押されて病院の廊下を流れるように進んで行く。
私はその横を小走りに追いかけた。
ジャスティンと目が合うと、彼は何も言わず、頷いた。
彼はまだショック状態から抜けていないようだった。
彼もまた、夢の一場面を演じているかのようだった。
私たちは、交錯するお互いの夢の中の登場人物になっているのかもしれない。
そんな感じがした。
リカバリールームに入ると、少しずつ、夢からうつつの色が濃くなっていく。
2015年2月24日午前9時12分
体重 8.10 ポンド(約3912g)
身長 21インチ(約53cm)
*余談だが、赤ちゃんの臍の緒の残りの部分には、小さな紫色の器械が取り付けられている。それは、万が一、誰かが赤ちゃんを産婦人科病棟から連れ出そうとした場合、サイレンが鳴り響き、病院中の扉、エレベーターがシャットダウンして閉まる仕組みになっている。そんな器械を臍の緒に取り付けるとは!さすが、犯罪大国アメリカ!誘拐防止のための措置だときいて驚いた!夢から一気に現実に引き戻された感じだ!
ココは麻酔のために痛みは感じなかったが、
ドクターに、ちょっとプッシュを感じるわよ、と言われ
その次の瞬間には、赤ちゃんの産声が聞こえた、と言っていた。
ジャスティンは、臍の緒を切るかどうか、聞かれたそうだが、
手が震えてできないと断ったそうだ。
帝王切開の現場に居合わせただけで、ものすごい緊張を強いられていたのだろう。
生まれた瞬間に、ドクターが、帝王切開で良かった、と言ったそうだ。
体重もさることながら、頭が大きかった。
なにしろ、娘が用意していた新生児用の帽子がすでに入らなかった。
ブロンソンを見ながら、看護婦さんが尋ねた。
毎日生まれてくる赤ちゃんと関わっている看護婦さん達が口をそろえて
BIG BABY だという。
アメリカでもこの子は大きい赤ちゃんなんだ。
仮に、娘が病院ではなく、私のようにお産婆さんで自然分娩を望んでいたら、きっとものすごく難産となり、結局、病院に担ぎ込まれたかもしれない。
そして、自然分娩できなかった悔しさと罪悪感すら感じたかもしれない。
だから、これで良かったのだ。
それは、娘の選択でもあるが、赤ちゃんが選んできたことなのだ。
このプロセスを通して、心からそう思えるようになった。
自分がイメージしていた出産とは違うことになるかもしれない。
それで負い目を感じているお母さんたちもいるかもしれないが、
みんな、赤ちゃんは、生まれ方も選んで来ているんだ、ということ。
胎内記憶のある子どもの中には、お母さんが傷を見るたびに、自分が生まれてきた時のことを思い出してもらいたいから、帝王切開で生まれることを望んだ、という子もいるそうだ。
すべては天の計らい。
だから、赤ちゃんが無事に生まれてきてくれただけで、充分。
自分と赤ちゃんを誇りに思ってくださいね。
リカバリールームの窓辺にココのベッドが運び込まれた。
まだ点滴の管がついている。
看護婦さんが体温や血圧を測る。
局部ではあるが、麻酔が効いているため、すぐには赤ちゃんを抱かせてもらえない。
そうか、これが帝王切開の出産なのか。
帝王切開の出産など、なにも珍しいことではないが、私にとっては初めてのこと。
今はつらいかもしれないが、母親というのは、それがどんな出産方法であっても、痛みを忘れる。
赤ちゃんの可愛さは、痛みの何百倍も大きいから。
だから、女はまた懲りずに出産できるんだな。
人間には、三種類ある。
男 と 女 と 母親
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