【蘇った愛♡私の孫はアメリカ人】〜命の数だけある命の迎え方・日本人バアバが見たアメリカ出産事情〜20万分の1の奇跡の物語☆

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毎回、赤ちゃんが出てくるのは、お天道様を拝むようだ、とおっしゃっていた。


そして、赤ちゃんが生まれるのは、リンゴの実が熟して落ちてくるようなものだと。


私はそれをそのまま、鵜呑みにして、赤ちゃんは楽に産めると思い込んだ。笑


そのせいだろうか。

二回とも超安産だった。


娘を産んだ時は、二回目で私にも少し気分的余裕があった。


自分の産みたいポジションを探して、どこで産みたいか決めていいわよ



先生にそう言われたので、部屋を歩き回り、いろんなポーズを試しながら陣痛をのがした。


いろいろ試した結果、クッションを3〜4個重ねて、膝立ちでそこにうつ伏せ陣痛を逃すのが、私には一番楽だったので、そのまま、片足を立てた姿勢で、畳の上で産むことにした。

(もちろん、ビニールのシートは敷いてもらったけれど)


3歳の息子も、一緒にお産の教室に連れて行ったり、赤ちゃんが生まれるところのビデオを観させたりしておいて、立ち合わせることにしていた。


1992年4月3日 桜の花が満開だった。


     


満開の桜が咲く公園からの帰り道、息子は口がとても遅くて、日本語も英語もまだ片言だったが、


「Baby is coming! Baby is coming!」


と言って飛び跳ねていた。


幼い子は、弟や妹が生まれる時、テレパシーのようなものでわかるというが、それは本当だと想う。


陣痛が始まったのは、その日の夜だった。


「ヒーヒーフー。ヒーヒーフー」


息子も私の背中をさすってくれた。


時々「仮面ライダー!トオッ!」

とジャンプして、陣痛の波を逃している私を笑わせてくれながら。


「はい、いきんで!」


黄先生の掛け声で、最後のいきみ。


んんん〜〜〜〜!


オンギャア、オンギャア、オンギャア


ぬるっとした生暖かい感覚と共に、赤ちゃんの泣き声がした。


出てきた赤ちゃんを下で受け止めてくださった先生が、そのまま娘を私の腕に。


私は膝立ちのまま、臍の緒でまだ私とつながっている娘をすくいあげるように、裸の胸に抱いた。


臍の緒は、まだ鼓動を打って、真珠色に輝いている。


赤ちゃんが泣き出して肺呼吸に変わると、臍の緒はその役目を終えて灰色になり、やがて鼓動が止まる。


黄先生から、それを見定めるように、と言われ、主人にハサミが渡された。


その時が臍の緒を切る時なのだ。


それも黄先生だったからこそ、教えてもらえたことだと、今でも感謝している。


あの時の臍の緒の鼓動と真珠のような色は、未だに忘れられない。


4月4日未明に生まれたばかりの娘が加わり、家族四人で畳の部屋に寝かせてもらった・・・


至福の時だった。




そんな風に生まれた娘が、今、最新設備の整ったアメリカの病院で、帝王切開を受けている。


    


娘は帝王切開を望んでいたわけではなかったが、無痛分娩を望んでいた。


正直なところ、私の胸中は複雑な想いがあり、娘に自然分娩の素晴らしさを語ったYouTubeビデオのリンクを送ったりしていた。


アメリカでも、もちろん、自宅でお産婆さんにあげてもらう人たちもたくさんいる。

アメリカ人の私の友人も四人の子どもを自宅で産んだ。

下の二人は水中出産だったと言っていた。


私はできれば、娘に自然分娩で産んでもらいたい、と思ったのだ。


しかし娘から、自分の決断をリスペクトしてほしい、と言われ、はっとした。


親が素晴らしいと想うことが、娘にとって素晴らしいと感じるとは限らない。


いくら私が素晴らしいと想ったことでも、それを押し付けることはできないのだ。


親というのは、こうして一生、子どもから学びをもらっていくのだろう。





リカバリールームにいた私は、なんとなく胸がざわつき、廊下へ出た。


するとちょうどその時、緑色の滅菌服を身にまとったジャスティンが手術室から現れた。


ジャスティンは、小さなガラスで囲われたベッドの縁に手をかけ、その横を歩いていた。


生まれた?!!!!


私は思わず駆け寄った。



中には、布に包まれ、帽子をかぶって、まっかな顔で、ふやけてしわくちゃの手をした赤ちゃんが!


      



頭は体温が一番逃げやすいから、帽子をかぶせるそうだ。

日本では聞いたことがなかったことだが・・・


ちょっと小人みたいで可愛い!


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