〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜【第一話】『うつ病になった日…』
「このままじゃいかん!!」
と、フリーターから脱却することを決めた。
そこからちゃんと就職するまで1年くらいかかるのですが…。
彼女が5個上ということもあり、
付き合う前から結婚を視野に入れてたため、
付き合ってからの僕は、
「結婚をするためにはどうしたらいいか?」
を考え、それに向かってひたすら走り続けた。
彼女と結婚するために、
就職をし、
彼女のご両親に認めてもらうために、
初年度で会社内トップの成績を上げ、
結婚資金を貯めまくり、
脇目も触れず走り続けた。
全ては彼女と結婚するために。
彼女を幸せにするために。
彼女と幸せになるために。
身体の異変、そして心の異変…
いつも理性を優先して、上手く感情を表せない僕に対し、
体全体で素直に感情を表す自然体な彼女。
そんな彼女に憧れさえ抱いていた。
いつも僕を理解し、
いつも味方でいてくれ、
いつも応援してくれた。
僕は、そんな彼女が大好きだった。
彼女が僕の原動力だった。
彼女と一緒なら何でも出来ると思っていた。
仕事にも慣れ、お金もそこそこ貯まった時に、決死の思いでプロポーズ。
結婚式にこだわりを持っていた僕らは、準備に力を入れるため、同棲開始した。
しかし…
同棲をしてまもなく、僕の身体に異変が現れた。
身体がムズムズする…
力が入らない…。
前々から不眠や下痢、原因不明の斑点や、足のむくみ、ジャケットを羽織れなくなるくらいの肩と首の凝り、体重の低下など、身体に異変は出ていたが、仕事が忙しかったため、
「疲れてるだけだな」
と思っていた。
そんなある日、ついに心に異変が現れる。
「怖い…」
何とも言いようのない恐怖感が襲ってくる。
この時僕は、営業で恵比寿にいた。
お客さんと話すのが怖い…
人を見るのが怖い…
ここに自分が存在しているのが怖い…
心臓の鼓動は速くなり、
手足が震えるほどだった。
いてもたってもいられない気持ちで彼女にメールをした。
「凄く怖いんだ…」
意外にも彼女の反応は冷たかった。
今まで、
「うつ病なんて気持ちの問題だよ!」
なんて思っていた自分が、
「まさか、なる訳がない!」
と思ったが、
あながち間違いでもない気がする…。
とにかく、この恐怖感が治るならと思い、
予約なしで今すぐに診てもらえる心療内科を検索した。
「渋谷か…」
そして、藁にもすがる思いで病院へ向かった。
問診票と、アンケートに答え、名前が呼ばれるのを待つ。
ついさっきまで、頭がおかしくなるくらいソワソワしていたのに、病院に着いたら何故かホッとした。
病院に居るだけで、こんなにも冷静になれることに驚きを感じた。
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