〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜【第一話】『うつ病になった日…』

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税金を安く抑えたいという気持ちはよく分かる。


しかし、やっていいことと、やってはいけないことがある。


「バレなきゃいい」


そういう考えが僕には絶対に出来なかった。


お客さんのことを一番に考え、いつも誠実に対応をし、説明、説得をしているつもりだった。

でも、僕の気持ちが伝わることは少なかった。

それよりか、離れていく人が増えていった。


毎月解約のお客さんが増えていく。

その状況を見て、上司からも、


「お客さんが「良い」と言ってるのだから、それをやる。」

「お客さんの求めているものを提供するのが、うちらの仕事だ!」


と言われた。


上司の言っていることは、分かる。


でも僕は、お客さんに

満足をしてもらうことより、

人として正しい行動をして欲しい。

と思っていた。


それが最終的に一番良い結果になると考えていた。


だから、解約の申し出を止めることはしなかった。


上司からは、


「説得して来い!」


と何度も言われた。

同行をして、説得をしに行ったことも何度もあった。


でも、人として間違ったことをしようとしてる人を止める気にはなれなかった。


会社にも問題があった。

顧客数に対応出来る体制が出来ていなかったのだ。


パンク状態だった。


どんなに契約を取ったところで、パンク状態を悪化させるだけだった。

何より、そんな状態で、お客さんが満足のいく結果が出せる訳がなかった。



はっきり言って、営業成績なんて、どうでも良かった。


僕は、お客さんに、そして自分に嘘をついてまで、仕事はしたくない。



1年間の毎日の仕事の積み重ねで、ありがたいことに紹介を頂けていた。

だが、僕がお客さんにしてあげたいことは、この会社では出来ないし、

お客さんが求めていることは、僕には出来なかった。


お客さんの期待が心苦しかった。

会社の体制が許せなかった。

会社の指示に黙って従う上司に腹が立った。

何より、自分一人で何も解決することが出来ない非力な自分が大嫌いだった。


今思えば、

「絶対に会社を変えよう!」と、

平日終電まで働いているにも関わらず、土日返上で一緒に働いてくれた直属の上司や先輩達がいた。

その人達は、いつも僕の話を聞いてくれたし、励ましてもくれた。

「お前、頑張りすぎだぞ!」と心配もしてくれた。

そんな素晴らしい人たちに囲まれながらも、

当時の僕は、悪いことばかりを考え、悪いことばかりが目に付き、悪いことばかりを口にしていた。


僕の心は完全に負の感情で支配されていた。



「もう限界だ…」



会社を変えるために、社員みんなで改善策を考えた。

一部の人は他人事だったが。


しかし、今まで刷り込まれた意識や、体制が変わるのには時間がかかる。

そんなことは分かっている。

でも、やらなければいつまで経っても変えられないのも分かっている。


でも、その間にもお客さんとの関わりがあり、常に成績を求められることが耐えられなかった。


「会社を変えたい!」


という気持ちはあったが、

それを持続させる体力、気力が残っていなかった。


いやきっと、心のどこかで、


「自分たちがどうこうやったところで、どうせ変わることはない。」


と諦めていたのだろう。



休職の決断…



彼女との将来の生活を考えた。


今のままでは、彼女に心配をかけ続けてしまう。

子どもが生まれた時に、胸を張って言える仕事をしていたい。


そう思い、僕は次の選択肢を探していた。


そのために、一度冷静になって、考えてみよう。


僕は、会社を休職することにした。


彼女と両親に相談をした。

休職期間も傷病手当金が出るため、収入が減るが、生活は出来る。

その旨を伝えた上で、

「まずは健康第一!」


休めば良くなるなら、今は休んだ方がいいという結果になった。

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