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『明日 死んでもらうために、今日1日だけ生きてもらう』 ~小さな命を抱きしめたお話~ 

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そのまま彼らは……


我が家にいるようになりました。






 





一晩だけのはずだった

3時間おきのミルクは、

その後、数週間にわたって続き、


一回だけのはずだった動物病院には、

その後、幾度となく……いえ、

毎日のように通うようなりました。



最初は小さなダンボールの

住みかだったのが、いつの間にやら、

野菜用のコンテナになり、



それでも追いつかなくて、

引越し用の巨大ダンボールが

住みかになりました。

 



そして何よりも……

 


たった一日だけで

終わるはずだった命が、


今で、ちょうど2年……



730日、生きてくれています。


 


我が家でずっと

飼うことはできなかったので、


3頭それぞれ別の里親さんに

引き取られていきましたが、


今でも元気な様子を伝え聞いています。

(というか、やんちゃすぎるくらい(^^;)




たった一日だけのつもりが、

ほんのちょっとだけ

労力とお金をかけるつもりが……

 

なぜか膨大なコストをかける

結果となってしまいました。

 


「なんでだろう?」

 


「なんで“処分”してもらいに

 連れて行かなかったんだろう?」



今振り返って考えても、よくわかりません。

 


ただ、保健所へ連れて行こうと

彼らをクルマに乗せようとしたとき、


わけもなく、涙があふれてきたのです。


 

「え? なんで?

 俺、ネコきらいやのに……」

 


手に抱えたダンボールの中、

子ネコたちは、まだ開かない目で

母親を求めるように

必死に動き回っていました。


これから殺されに行くなんて、

全く気づかぬまま……。



その瞬間、僕の脳裏に

彼らとの記憶が蘇ってきました。



 慣れない手であげたミルクを

 やっと飲んでくれた表情

 


 おしっこを出させるために

 抱き上げた柔らかい感触



 ミャーミャーと必死に鳴き、

 か弱いながらも懸命に

 生きようとする力強さ




「殺せるわけ……ないやん」



 

たった一日だけなのに、


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「ノマドワーカー」ならぬ「農マドワーカー」です。 地元の田んぼで無農薬のお米づくりをする傍ら、IT関連のお仕事をしています。

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みんなの読んで良かった!

読んで良かった

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Takeshi Hamanaka

きっと、子猫に情が移ってしまったのでしょうね。私も基本的に猫は苦手ですが、世話をしているうちに気が変わるかもしれません。子猫は可愛いし。また、徳を積むとはこういう事なのかも知れませんね。

萩原 慶一郎

私はその、猫を受ける側の仕事をしています。というか。携わっています。
こんな優しい『命の重みを感じることのできる』方が増えたら、殺処分も被害も少なくなるだろうなぁと。

徳永 智樹

心えぐられ、心癒されました。
素敵なお話をありがとうございます。
辻林夫妻のお人柄がにじみ出ています。

健 藤田

自分も猫を隣の使用感がない家?の庭で拾いました。保健所に持っていくと殺処分されるという事実は知っていたので、即里親を探そうということになりましたが、世話をしてみると自分の子になってほしいなぁと自然に思うようになりました。今ではまだ6ヶ月。早いですが忘れかけていた懐かしい思い出がよみがえりました。ありがとうございました。

藤江 幸代

久々に心に響く素晴らしいお話を読ませて貰いました。ありがとう(^-^)
素敵なご夫婦ですね

80人の
読んでよかった!!
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