社会不安障害の引きこもり、自殺未遂の私が大学を卒業し、就職して営業で仕事をしていた話。そして精神科治療の問題点について。小学校、中学校編

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前話: キング牧師の名言によって見つけた自分の生きる道

社会不安障害・社交不安障害(SAD)・社交不安症 

この言葉を聞いたことはありますか?

恐らく多くの方は、初めて聞く言葉だと思います。

私は東京都在住の男性です。

社会不安障害(SAD)という精神疾患を小学生で発症し、20年以上苦しんでいます。

闘病しながら大学を卒業して、病状で仕事が続かないことも多く、

民間企業の正社員や非正規など、転職をしながらなんとか働いて暮らしています。

この病気は、不安障害という精神疾患のひとつで、日本国内に推定で約300万人以上の患者がいると言われており、

アメリカには1500万以上。世界中で苦しんでいる人がいます。

引きこもり、自殺、貧困、他の精神疾患(うつ病、アルコール中毒、パニック障害など)を併発する原因になる、とてもやっかいな病気です。

この病気のことを世間の方に認識してもらい、社会不安障害や不安障害で苦しんでいる方や、そのご家族の参考になれば。

また、あがり症や対人恐怖症など性格の問題だと思い、病気を発症しているにもかかわらず、治療をおこなっていない方が治療のきっかけなどになればと私の闘病記、体験談を書こうと思いました。

応募した原稿が出版社の選考通過したので、大幅な加筆、修正をして2017年の8月に著書『ぼくは社会不安障害』彩図社より発売しました。

現在も文庫本と電子書籍で販売中です。図書館に置いてあるところもあります。

社会不安障害(SAD)は、社交不安障害という病名に2008年に変更されましたので、社交不安障害、社交不安症も同じ病気のことです。

「あがり症」「対人恐怖症」この言葉は皆さんも聞いたことはあると思います。

社会不安障害という病気が認知される前の日本では、このような性格の問題だと思われていました。

それは、社会不安障害の典型的な症状が、まさに「あがり症」「対人恐怖症」に近いものが多いからです。

※この病気は体験者ならわかるのですが、まず一般の方に説明するのがあまりにも難しい病気です。

性格と病気との線引きも難しく、コミュ二ケーション障害とも似たような部分もありますが、

基本的に病状がひどい場合や社会生活に支障が出る場合は治療対象になります。

現代社会は、このような病気や性格の人は適応が難しいと思います。

特に仕事において、サービス業や営業など対人コミュニケーションを重視される職種が大半を占めるような状況では、無理をして働いていると病状の悪化などで、うつ病や適応障害の併発や引きこもりなどにつながることも多いです。

症状もインターネット等で色々と書かれていますが、人によって様々です。

病状がそこまでひどくない方もいれば、重度の方もいます。

以下は、病気の説明です。

人から注目を集める場面において、誰しも不安を感じることがあり、それをあがり症と呼んだり、特にあがりやすい人をシャイと呼んだりする。

しかし、それが原因で日常生活に支障をきたすようなことはなく、通常はそういった場面に慣れるうちにあがりにくくなるものであり、身体的な症状はあまり発現しない。

これに対して社会不安障害は、対人場面で過剰な不安や緊張が誘発されるあまり、動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が強く発現し、そういった場面にはなかなか慣れないため、対人関係がうまく築けず集団の中で孤立してしまったり、たとえしなければならないことであっても、対人場面を次第に避けるようになり、日常生活に多大な影響を及ぼす点が異なる。

社会不安障害患者が強い不安を感じる場面として、最も多いのが「見知らぬ人や、少し顔見知りの人との会話」と「人前での発言・スピーチ」、次いで、「権威がある人(社会的立場が上の人)との面談・会話」、「会社で電話をとる」、「受付で手続きをする」、「人前で文字を書く」、「人前でご飯を食べる」、「会食やパーティに参加する」などである。

このような場面で社交不安障害患者には、さまざまな症状が身体に現れる。強い不安を感じる、強い緊張を感じる、頭が真っ白になり何も答えられない、声が震える、声が出ない(選択緘黙)、手足の震え、めまい動悸、口が渇く、赤面する、汗が出る、吐き気がする、胃のむかつき等の症状がある。

こうした強い不安を避けるため、また人に知られたくないと考えるあまり、社会不安障害患者は周囲の人々との接触や、人前での活動を避けるようになり、日常生活に支障を及ぼす事になる。また、症状が慢性化すると、うつ病パニック障害なども併発する危険性があるので、早期の治療を要する。

「自殺を考えたことがある」人の割合はうつ病の人よりも多く、実際周囲の人が思っている以上に患者達は悩んでいるといわれる。

生涯有病率は3 - 13%と言われており決して稀な病気ではない。5歳以下など世代を問わず発症するが、特に15歳頃の思春期に多く、不安障害の中で最も発病年齢の低い病気と言われている。その一方、30 - 40代あたりに管理職につき、人前で話す機会が多くなり発症するといったケースもめずらしくない。

なお、症状はパニック障害と似ているが、パニック障害が「死」や「精神的におかしくなってしまうこと」に対する強い不安であり発作的に症状が発現するのに対し、社会不安障害では「人」や「社交場面」に対する強い不安であるところなどが異なっている。


読むだけでは、症状はわかりずらいと思います。

この病気の症状には個人差が大きく、周りの環境も大きく影響します。

そして、病気であるにもかかわらず、世間での認知度があまりにも低いため、性格の問題やその他の原因だと思い、病気だともわからずに精神科や心療内科等を受診しない。

また、そのようなメンタルの病気に偏見などもあるので、医療機関に行くのに抵抗のある人もいるケースが多々あり、また精神科医や開業医によっては知識不足により適切な診断、治療ができないということ。

世間はこの病気の存在さえ知らず、甘えだと誤解されたり、社会生活に適応できなくなったり、

患者が社会生活に支障をきたすことなどが大きな問題点になっています。


ここからは、私の現在までの体験、闘病記を書いていきます。


私は、ごく平凡なサラリーマンの父と専業主婦の母、2歳下の妹の4人家族で育ちました。

小学生になり友達に誘われ、1年生の時に地元のサッカーチームに入りました。

そこから私の苦しみが始まりました。

 

小学校3年生の時です。

サッカーチームの練習を行っているグランドに行くと突然、吐き気に襲われたのです。

吐き気と言っても胃が気持ち悪いのではなく、表現が難しいのですが、

鼻の奥の喉のあたりが気持ち悪いのです。

例えるなら鼻水が喉にまわってくるような不快感による吐き気です。

 

私はパニックになりコーチに泣きながら気持ちが悪いと言い、母親に迎えにきてもらいました。

その帰り道です。吐き気がすっかりおさまったのです。

 

80年代や、90年代前半に部活やスポーツの経験のある方ならわかると思うのですが、暑くても水は飲むな、そして指導者が理不尽に毎回怒鳴り散らす様な根性論のチームでした。

今はサッカーといえば、日本代表がワールドカップに出るのも当たり前で、海外サッカーの情報や戦術、テクニックなども私も詳しいですが、当時の日本のサッカーはJリーグが始まる頃で、指導方法も根性論だけという、今考えると本当に理不尽なチームだったなと思います。

そんなチームだったので東京都の区大会では優勝を何度かしました。

今になってはわかることですが、小学校低学年の自分にとってかなりのストレスになっていました。

そんなチームだったので辞めていく子や練習に参加しなくなる子もいました。

 

それ以降、練習や試合の際に度々、吐き気をもよおすようになってしまいました。

しかし、小学生の自分には原因がわからず、鼻炎をわずらっていたので、鼻の奥が気持ち悪いのは、鼻炎のせいだろうと思い耳鼻科に通っていました。

チーム内ではレギュラーであり技術もあったので、吐き気がありながらも我慢して練習はなんとかこなしている状況でした。

練習は毎週土日だったのですが、憂鬱で雨が降ると練習が中止になるので、てるてる坊主を作って、さかさまにしてつるして雨が降ることを祈っていました。

初めての嘔吐 嘔吐恐怖症

そんな状況で練習に参加していたのですが、4年生の時です。

練習中に嘔吐してしまいました。

それから症状は急激に悪化、練習に参加しても度々嘔吐するようになりました。

こんな状況なら皆さんは、チームを辞めればいいだろうと思うでしょう。

私もそう思います。

もし中学生くらいの精神年齢であればそうしたでしょう。

しかし、小学4年生当時の私は、チームを辞めるということをコーチに言うことすら恐怖に感じていたのです。副キャプテンをやっていたりもしたので小学生ながら責任感も感じていました。

また、嘔吐の原因も精神的なことからきているなど、小学生には判断できません。

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