社会不安障害の引きこもり、自殺未遂の私が大学を卒業し、就職して営業で仕事をしていた話。そして精神科治療の問題点について。小学校、中学校編

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前話: キング牧師の名言によって見つけた自分の生きる道

その点に関しては詳しくないのですが、

 

当時は、都立高校の場合、試験の点数だけでなく、内申点が重要になるからです。

合否の判断は当日の試験の点数と内申点の合計で決まります。

国語、英語、数学、社会、理科の5教科の成績は、4と5のみ。

問題は音楽、美術、体育、技術家庭の専科です。

体育は出てないので1。音楽は人前で歌うことが厳しかったので低い成績、美術、技術家庭も特別得意なわけではないのと、孤立していたためグループで作品を製作する際や作業をする際の評価は低くなります。

また、症状が出た時は休みがちだったため2か3程度だったと記憶しています。

内申点は点数化した場合に専科の方が重視されます。

つまりいくら当日の試験の点数がよくても、内申点が足りなくて落ちるということが想定されるわけです。

その話を聞いて私立に行くことも考えましたが、家庭の経済事情、もし社会不安障害の症状が悪化した場合に中退となってしまうリスクを考慮し、都立高校に行くしかないと決断しました。

 

私は学区の境目に住んでいたのですが、家から一番近い高校は自転車で10分程の隣の学区にある高校でした。

そこの偏差値を調べると、中堅程度だったので隣接学区枠で受験をすることにしました。

私立高校に関しては体育恐怖症があったので、滑り止めで都心にあり校庭が狭く体育の授業が厳しくなさそうな学校を選びました。

そして受験を迎えました。

滑り止めの私立高校は内申点は全く関係なく、当日の試験の点数と面接だけなので、試験は余裕で合格。面接の際は社会不安障害の症状も出ましたが何とか乗り切りました。

そしていよいよ都立高校の受験です。

過去問題集などをやっていて点数が、とれることはもうわかっていました。

しかし一番の不安は試験中に嘔吐などの症状が出て途中でテストを受けられなくなることでした。

本番をむかえるとなんとか症状は出ず、無事に試験を終えることができました。

自己採点をしてみると、予想以上の高得点。内申点が低くても学区トップの高校に入れる点数だったのです。

とてもやりきれない思いになりました。

内申点を気にして偏差値の低い中堅高校を選んだことを後悔しました。

 

受験した都立高校の合格発表の日になりました。

もう自己採点で高得点をとっていたので合格していることは、わかっていました。

ただ、合格者の受験者番号が貼りだされるので、念の為見に行きました。

当然、私は合格していました。

報告のために中学校へ行きました。

担任はおめでとうと言いましたが、私は喜べませんでした。

本来なら学区トップの高校に入れたわけですから。

そんなわけで私の高校受験は終わり、あっという間に卒業式となりました。

 

皆さんは、中学校の卒業式にどんな思い出がありますか?

私はみじめな思い出しかありません。

それは式が終了した後です。

クラスメートは友人と写真を撮ったり、卒業アルバムの寄せ書きコーナーにメッセージを書きあったり、思い出話をしたりしていました。

孤立していた私は誰からも声をかけられることもなく、その中をただ一人で自宅へ帰りました。

やっと孤独で闘病しながらの中学校生活も終了だという安堵の気持ちだけでした。

これが私のみじめな中学時代です。

そして、この時点では、私は自分が精神疾患があるということはわかっていたのですが、

病院で診断された不安症という病気であると思っていただけで、

社会不安障害であるということをわかっていなかったのです。

自分が社会不安障害であると判明するのは、これからだいぶ先のこととなるのです。

そして、根本的な問題は解決しないまま、自分の病名もわからず、高校に進学しました。​

高校時代、大学時代、企業勤務時代、治療などについては著書『ぼくは社会不安障害』に記載しています。

ここには書いていない症状や、学生時代、企業勤務でどのような困難に対応することになるか、治療や病院の選び方など私のケースを記載しています。人それぞれ症状が違うので一概には言えませんが、

社会不安障害の患者は社会生活が大変になるケースが多々あります。

私がこのストーリーを書こうと思った、重要なことがあります。

 社会不安障害(SAD)を発症する年齢は様々です。私のように学生時代に発症する方が多いのですが、

社会に出て企業で働いていて30代、40代の管理職やある程度の立場になって発症する方や専業主婦などでも発症する方もいます。

この病気は、日本国内に推定で約300万人以上の患者がいると言われており、

世間には認識されていませんが、決して珍しい病気ではありません。

また、世界中に苦しんでいる方が大勢います。

自分には全く関係ないと思っていても、誰にでも発症する可能性がある病気です。

そして、引きこもり、自殺、貧困、犯罪、他の精神疾患(うつ病、アルコール中毒、パニック障害など)を併発する原因になる、とてもやっかいな病気です。

学生時代に発症した場合、症状の度合いにもよりますが、適切な治療を受けずに重症化してしまうと、教育の機会を奪われてしまいます。

それは、学校の授業を受けられない。そういったことだけではありません。

学校の授業レベルなら独学でも勉強することはできます。

社会へ出てから必要となる、コミュニケーション能力や人間関係の形成ができなくなります。

学校に通えなくなる人や中退する方もいますが、大学や専門学校まではなんとか卒業できるという人は意外にいます。

私も病状で苦労しましたが、大学は卒業できました。

また、大学生などであれば健康なら色々なことにチャレンジできます。

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