【第15話】『ハッピーエンドを探して』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
8日目。
気が付けば、旅に出てからもう1週間以上が経過していた。
道や土地、持ち物から歩き方、何も知らずに始めたこの旅。
神奈川県の相模湖駅から出発し、
ここ、長野県の安曇野市まで、
たった独りで歩いて来た。
歩道の無い道やトンネル、台風、真っ暗な夜道、
ちぎれそうな足の痛み、孤独、寂しさ、不安、焦り、憤り…
これまでに怖い思いや辛い思いもたくさんしてきた。
でも一度も、この旅をやめたいとは思わなかった。
この旅を諦めようとは思わなかった。
僕にそう思わせてくれたのは、
常に変わっていく景色、新しい経験や出逢い、
知らなかった事実、気付き、初めて味わう様々な感情だった。
すべてが新鮮だった。
すべてが新しかった。
僕は、自分が知らない世界(感情)をもっと見て(感じて)みたいと思った。
そして、ずっと見続けて(感じ続けて)いたいと思った。
26年間生きてきて、こんなに必死に、
一所懸命に毎日を生きたのは初めてかもしれない。
「これくらいでいいや。」
と、僕はいつもある程度のところで満足してきた。
「これくらいやったら十分でしょ?」
と、いつも諦める理由を探してきた。
でも、今は違う。
「まだやれる!」
「絶対に負けない!」
「絶対に諦めない!」
「絶対にやり遂げてやる!」
「絶対に僕は変わるんだ!」
と、周りの心配を意図もせず、
「必ずゴールへ辿り着いてやる!」
という強い意志を持っていた。
「毎日がスタートで、毎日がゴール」
僕は歩いている。
朝、出発した所と、
夜、辿り着いた所は毎日違う。
毎日、いや、一分一秒、時と共に確実に前へ進んでいる。
一瞬たりとも同じ時間というものは存在していない。
こんな当たり前のことを、会社勤めや、
家に引きこもっていた時は全く気が付かなった。
「毎日同じことの繰り返し」
そう思っていた。
毎日同じ場所で、同じことをしている。
そして、これからもしていくと思っていた。
確かに、家を出て、仕事をして、
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