【第16話】『最後の挑戦へ』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
実に寒い。
歩くのが精一杯で、走ることは出来ない。
あったかいラーメンでも食べたいなぁ。
そう思っていた。
そして、おやじ教えてくれた中華屋に着いた。
………。
今日は定休日だった。
………。
おやじ…。
休みじゃねぇか…。
仕方ねぇ、違う店を探すか。
その前にコインランドリーに行って、洗濯中にご飯を食べよう。
そう思って、コインランドリーに向かった。
コインランドリーに向かう途中、店を探したが、
店どころか、コンビニすら一軒も無い。
空いてる店が無い。
白馬は、8時になると眠ってしまうらしい。
洗濯しながら、どうしようか考えた。
コンビニも無ければ、夜ご飯が無い。
そうこうしている内に、洗濯が終わった。
洗濯物を乾燥機にぶち込み、また考えた。
とりあえず、フラついてみよう。
そして一軒の居酒屋を発見した。
仕方ないから、そこに入った。
居酒屋なのに、定食がある。
ラッキーだった。
僕は、チキンカツ定食と生ビールを頼んだ。
9日目にして、この旅で初めての外食だった。
店のご飯とはいえ、人の作ったご飯は美味しかった。
久しぶりの肉、温かいご飯。
実家にいた頃は当たり前だったものが、今となっては貴重なものになっている。
ご飯を作ってくれるってありがたいんだな。
としみじみ思った。
予想以上のボリュームに、お腹はパンパンになったが、大満足!
ビールも入って良い気分だった。
そして、宿に戻る。
恐る恐る扉を開け、優しく優しく扉を閉めた。
忍び足で部屋に戻り、明日のことを考えた。
日本海までは、50kmを切っている。
このペースで行けば、あと2日で辿り着く。
しかし、ここから25km地点のところには、宿が一軒しかない。
満室だったら終わりだ。
この寒さじゃ寝袋だけじゃ凍死する。
それに、25km歩くと着くのは真っ暗になってしまう。
日本海に着いて、真っ暗だったら意味が無い。
かと言って、ちょうど良いところに宿も無い。
どうすっかなぁ…。
なんか毎日25km歩いて宿に泊まってってのも、つまんないよな…。
やっぱり最後にぶっ飛んだことしないとつまんないよな。
限界に挑戦しないと、意味無いよな。
初心に還ろう。
この旅の最後に、本当の限界に挑戦する!
ぶっ倒れるまで歩き続ける!
日本海までは50kmを切ってる。
42.195kmを走る人がいるんだ。
著者の坂内 秀洋さんに人生相談を申込む
著者の坂内 秀洋さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます