【第16話】『最後の挑戦へ』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜

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おばちゃんはそう言ったが、



「◯◯さんとこのコインランドリーがあんべ!」



とおやじが言った。



すると、おばちゃんは、その◯◯さんに電話をかけ、営業時間を聞いてくれた。



この一連のやりとりが、マンガに出てきそうなくらい、愉快な家族だった。


仲の良さそうな家族だった。



「ありがとうございます!お世話になります!」



そう言って、部屋の鍵を貰った。



「準備出来たら、温泉連れてくからよ、声かけてくれ!」



おやじはそう言った。


客を客として扱わないような、面白いおやじだった。



部屋に向かう途中に、娘さんとすれ違ったが、完全に無視だった…。


きっと思春期のお年頃だったんだな。


タイミング悪くてごめんよ…。


少し悲しくなったが、部屋に荷物を置き、

お風呂セットを手にして、おやじに声をかけた。



「じゃ、行くか!」


「こっち乗ってくれ!」



軽トラに乗り、少し離れた温泉まで連れてってくれた。


車を運転してるから、恐らく酔っ払ってはいない。


シラフが酔っ払いのようなおやじだ。


道中、


「ここの中華屋美味いぞ!安いし、量もすげぇんだ!」


何ともありがたい情報を教えてくれた。


そして、温泉に着く。



みみずくの湯


「帰りは歩いて帰って来れるよな!」

「今来た道戻ればいいから!」

「帰り遅くなるならよ、静かに扉開けてな!」

「鍵は開けとくからよ!」

「じゃ!」


そう言って、おやじは帰っていった。


実に笑えるおやじだ。


丁寧に対応するのがバカらしくなってくる。


ギャグマンガのおやじだった。



しかし、温泉は最高だった。


地元の人はもちろん、外国の人もいたし、結構賑わっていた。


脱衣所で登山帰りだというおじさんとも話した。


たわいもない会話だったが、見ず知らずの人とも自然と会話が出来るようになっていた。


お風呂上がり、久しぶりに炭酸を買った。




METS


シュワっとしたい気分だった。


そして、置いてあった10分100円のマッサージ機に横になった。


もう自分の力ではどうにもならないくらい身体中が痛かった。



「おっ、おう、いてっ、いててっ」


と悶絶した10分間だったが、おかげで体が結構楽になった。


METSを飲み干し、おやじが教えてくれた中華屋に行くことにした。


みみずくの湯までは車で5分くらいだった。


何気に結構な距離がある。


薄着で来たのは間違いだった。


いや、元々雨具以外長ズボンは持ってきていない。

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