【第17話】『奇跡のおばちゃん』〜死に場所を探して11日間歩き続けたら、どんなものよりも大切な宝物を見付けた話〜
10日目…
ついに朝が来た。
今日僕は、本気で自分の限界に挑戦する。
修造の言葉が頭をよぎる。
「限界は自分で決めてんだ!」
果たして本当にそうなのか?
旅を始めてから、毎日足がちぎれるような痛みと闘ってきた。
「もう歩けない…」
と思うまで歩き続けて来た。
毎日「限界だ…」
と思うまで歩き続けて来たつもりだ。
でももし、今僕が思っている限界が、
僕が決めた限界だとしたら…
本当の僕は、僕が思っている以上のことを成し遂げられるはずだ。
僕自身でさえも知らない僕になれるはずだ。
本当の僕…
それに出逢った時、僕は変わる。
いや、変わっている。
きっと強い自分になれているはずだ。
限界の先…
今はまだ想像が出来ない。
だからこそ、やらなきゃならない。
本気でやってみなきゃ分からない。
死ぬ気で自分を追い込む。
死ぬ気で自分を傷めつける。
死ぬ気で…
正直言って不安だ。
ちゃんと歩けるのか?
足は持ってくれるのか?
宿も何もない場所で倒れたらどうするんだ?
僕は本当に出来るのか…?
不安要素を挙げればキリが無い程だったが、
この時の僕は、とても冷静だった。
「何があっても、何が起きても、それが僕の運命だ。」
すべてを受け入れようとしていた。
「死んでもいい」
と思っていた。
本気で、全力で、自分の力を出せたのなら。
その上で、「死」が待っていようと、
それが今の僕の最大の力で、運命だから。
大袈裟ではなく、本当にこんなことを思った。
「死んでもいい」
なんて、簡単に口にするものじゃない。
でも僕は、簡単に口にしている訳じゃない。
僕はいつだって真剣だ。
いつだって真っ向勝負だ。
そのせいで、考えなくていいことまで考え込み、病気になったが、
そのおかげで、僕は自分自身と真剣に向き合い、
この旅をしようと決意し、実行し、実現してきた。
「弱い自分を変えたい」
「強くなりたい」
「本当の気持ちが知りたい」
「納得した答えを見つけ出したい」
これらを達成するには、
「死」を、「限界」を、
自分の肌で体感することが必要不可欠だ。
死を目の当たりにしなければ、
この旅をした意味が無い。
自分の本当の気持ちを、
本当の答えを見つけ出さなければ、
旅に出た意味が無い。
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