福岡から歩いて日本を一周する間に出会った人や出来事のお話 其の五

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著者: 白石 悠

1:今日からお前は富士山だ!


静岡県富士宮市へやってきた。

そこでやっと富士山を拝むことが出来た。


「俺そう言えば生まれて初めて富士山見たな。。。」


本や、雑誌、テレビなどで完全に見た気になっていた自分がいた。

世の中のものほとんどがそんな風に見た気になってるものばかりなんだな。

景色は特に人によって捉え方が全然違う。

ある人が

「あそこよかったよ!」

といっても自分には微妙なこともあるし、その逆もまた然り。


「人の意見に左右されず自分が見てみたいと思うものを見に行こう!」


富士山を眺めながらそんな事を考えていた。

それと同時にある思いがこみ上げてきた。


「登ってみたい。。。」



2:次がある保証なんてない


静岡県から山梨県に入り僕は悩んでた。


「富士山に登るか否か」


これまでの旅を振り返り、思った。


「またここに来る保証なんてない訳だし、やってみてダメだったら引き返せばいいやww」


その考えが安易だった事に後々後悔する。

そして僕は富士吉田口から登山を始めた。


全然知らなかったんだが富士登山は5合目から出発するのが一般的である。

もちろんそんなこと知らない僕は


「ここまで歩いてきたんや!直通バスなんて使ってたまるかい!」


というわけで一合目からスタート。

しかし、一合目ってどこだ?

目印があるんかいな?

しかし歩けど歩けど何もない。。

一時間ほど歩いた時に「中ノ茶屋」という店を発見。


「おお!これが一合目ってやつか!」


「自由に休憩してください」という看板を見て中でお店の方に話を聞くと


「ここは登山者の休憩場所で一合目はここから一時間半ほど登ったところですよ」



(゜ω゜;)マジカ


ちなみにここの標高は1100メートル

そして、一合目手前にあるお休み処に到着。

そこでとても気の良い方たちと話し、日本を回ってることを言うと、お菓子や差し入れ、餞別などいただきホントに良くしていただいた。


さて、一~五合目は足場は悪いもののこれならいけるぞ?

と、かなり快調に歩いていた。

そして六合目。


は?


道がめちゃくちゃ急過ぎません?

富士山の地獄が始まった。


足が全く進まない。

道がもうロッククライミング。

20キロという完全に登山の用量を超えてるバッグ。


ありえない………


八号目を越えた辺りから寒さが酷くなってくる。

息は白く、掴まる手すりは冷たすぎて持てない。


「軍手でも買えば良かった…」


もう後の祭りである。


この八合目をすぎると

本八合目


九合目


山頂

となる。


この辺からもう日が落ちてしまい、当りは暗く、疲労と酸素不足が露呈してくる。

朝の九時に一合目を出発したのでもう10時間歩いてた。

本八合目を過ぎて異変に気づく。


「目がチカチカする……」


片頭痛だ。

僕は持病で片頭痛がある。

目の前がチカチカしてそれが治ると極度の頭痛がやってくる。

しかも息苦しい。。。

眠たくなってきた。。。

やばい高山病だ。。。

九合目に入ったころはもう意識が朦朧とし訳わかんなかった。

もう八時を過ぎて真っ暗。

回りには誰もいない。

五歩進んだだけで息切れして全然進まなかった。


ここまできたらもう行くしかない。


荷物を背負う時に重たくて何度も転けた。

八合目からは雨雲が差し掛かって、足元しか見えない。

雨も降ってきた。


「こりゃ死んだ………か?」


と思ったときに

「富士山山頂」の文字が。


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