アトピーから自分らしさと生き方を教り、アトピーセラピストへ生まれ変わる物語

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記憶によみがえる あのつらい日々の恐怖。

徐々にあの頃の自分に戻ってしまうようなドス黒い不安。


気にしないでいられたのに。

何年もたくさんのお金をかけてきたのに。

時間と肌の悪化とともに

アトピーにとらわれていく。

アトピー、荒れていく肌に意識が奪われ

家族との幸せな時間が消えていく。


信じてきた漢方薬を

信じられなくなりました。


僕は漢方をやめ、半身浴や食事制限、足裏シート、オイル、サプリメント。

次々と目に付く治療や方法に手をつけだしました。

効いたかと思えばそうでなかったり。

すこし良くなっても、

気がついた時には「振り出しのカード」が手渡される。

続かない。信じられない。延々と繰り返される治療ジプシー。

この螺旋に囚われて、

いつしか僕は再びアトピーから抜け出せないループの中にいました。


必死に取り組む僕を見て、

ときどきMikaちゃんは言いました。


「もう少し自分の体と仲良くしてみたら・・・」


「アトピーでもいいんじゃないかな・・・」


僕にとっては、

「こんなに頑張っているのに何を言っているんだ」

「こんなに苦しいままでいいわけないだろ!」

そう思っていました。


Mikaちゃんの言葉を頑なに受け入れませんでした。




2014年 春


毎年、花粉の季節になると肌荒れが強くなっていく。

周りの人より早くマスクをつけ、

周りの人がマスクを外しても僕は手放せない。

春を過ぎ夏になっても長袖のまま。

かゆくてつらいのが当たり前になっていました。

顔と手に出やすい。

どんな季節でもどんな場面でも

隠すのが難しい部分。


僕を見る人の視線が気になる。

気になって僕は人の顔を見て話せなくなっている。

誰かが心配して声をかけてくれても

僕は、何か隠し事を突かれたように感じる。

心に突き刺さる自分の姿。


顔は真っ赤に腫れ、

ガサガサとデコボコ、浸出液が溢れてくる。

服もベッドのシーツも血とシミで汚れ、

気を遣うあまり体勢も限られて堅くなる。

毎晩、かゆみと「どうしたら治るか」の思考に眠れない。

疲れ果てた明け方、

やっと浅い眠りに落ち、わずかな時間だけ無になれる。

目が覚めたとき、

部屋の周りに落ちた皮膚やカサブタの山に罪悪感が積もる。

僕の手は2倍以上に腫れ上がり、関節が切れ、ペンやお箸もちゃんと握れない。

ここまでひどくなるとは、想像もしていなかった。

歩くことも、話すことも、

そう。普通に生活することのすべてが

苦痛でしかなかった。


つくり笑顔すら消えてしまいました。

つらいのに涙が枯れました。


家族との会話や触れ合う時間が消えていく。

仕事以外の時間は、暗い部屋でたった独り。

Mikaちゃんが、子供たちが、

僕に話しかけても答えない。


頭の中では この苦しみを

「わかってほしい」がいっぱいなのに。


体と同じように 心が壊れていきました。


アトピーのつらさを理解しきれないMikaちゃんを責める。

責める言葉が強く、きつく、研ぎ澄まされる。

まるで肌を掻き毟る僕の爪のように鋭利になっていく。

子供たちに怒る。

自分が静かに独りきりでいたいがために、

我慢させ支配しようとする。


僕の言葉に怒りが。

僕の振る舞いに苛立ちが。

僕の存在が、家族の恐れになっていく。

そして、そんな自分をどうしようもないクズだとジャッジし続けた。


そんなストレスから少し楽になろうと、

家族と楽しい時間を作ろうと、

僕は初夏に旅行の計画を立てました。

一泊だけの、車で行ける距離。

終わりのないストレスの中で過ごした日々だから、

久しぶりに家族と一緒に笑いたかった。



前日は、着替えをバッグに詰め

明日は早めに起きて出発しよう。

少し前の明るい気持ちでいられた。


でも、

朝起きたときの肌の状態に少し不安を持っていた。

玄関のドアに鍵をかけ

車のエンジンをかけ

何気ない旅行のドライブにも

かゆみから逃れられなかった。


せっかく楽しい時間にしたいのに・・・

運転中にも終始かゆみに手が伸びる。

信号に、渋滞にイライラする。

ため息から、眉間にしわが寄る。

Mikaちゃんのなんでもない一言や

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