あこがれの関西トップ大学の入学式にいったのがエイプリルフールだった話。
・・・見つからない。
あ、みつけた!とおもったが、そこには「水谷」という人の名前だけで、
他に「水」がつく文字の名前はなかった。
なるほど。名簿順じゃないんだな!
そう思い先頭をみれば、「浅野」だとか「朝田」とかの名前が並んでいる。
なるほど。学部か教室を間違えたのか!
そう思い確認するもそこには確かにはっきりとどっちの意味かわからない「政策科学部」と書かれていた。
学部も教室も合っているのに、あの受験を乗り越えた自分の名前がそこにはなかった。
だがなぜか僕はそんなに動揺していなかった。
部活でも試合に行くのに電車で反対の方向にいって30分すぎた頃に気づいたりへまをすることも多くて、いつもそんなときにはとても後悔し1日中引きずるような性格なのだが、僕はなぜかその時は落ち着いていた。
おそらく合格したという事実は間違っていないし、なにかの間違いだと思っていたからだろうか。
というよりもむしろ僕はこの状況を愚かにも楽しんでいた。
というのも今日は4月1日で世間ではエイプリルフールである。
そこで僕はtwitterに
「やばい、大学着いたのに座席に名前ないww」
みたいなことをつぶやいてた。
そうこれは嘘ではない。事実である。
ただこの日みんなは僕のつぶやきをみて嘘だと思うだろうし、次に会ったときに実は本当だったとひと笑いしてやろうとおもったからだ。
もちろんまぎれもなく僕はこの大学に合格していたから結局大丈夫だろう、そう確信していたためだ。
そして近くの職員に自分の名前がないことを話した。
その人も自分の名前を探してくれたが、見つからず学部もしっかりと合っていたので、職員室にいくことになった。
職員室に向かうともう一人女の子がいた。
とても暗い顔をしていて、いまにも泣き出しそうだったので僕は声をかけた。
僕「だ、だいじょうぶ?」
女の子「・・・うん」
僕「もしかして名前みつからんかった??」
女の子「そう・・・」
僕「あー、そうなんかー実はおれもやねんw、まーなんとかなるって!」
女の子「・・・」
・・・励ましたつもりが、逆に嫌われたような気がした。
その後30分ぐらいまたされて、クラスごとの説明会が始まる時間がすぎていた。
(あー、入学そうそう遅れてしまったなー)
そう思っていると、職員の人が女の子に声をかけた。
職員「君、たぶん学部まちがってるね。さっきあそこにいたけど、こっちじゃないかな?」
女の子「あ、、そうです!ごめんなさい!ありがとうございます!!」
そういうと女の子は暗い顔からぱっと表情を変え、僕を見向きもせずにすぐさまここを去った。
職員「水野君は、、、もうちょっとまっててね。」
え、あれ、、これは思っていたのと違う。
僕も学部を間違えたとか、教室を間違えたとかそんなんじゃないの?
女の子とよかったねーなんて話をしながら連絡先を交換してまた運命の再会とかじゃないの?
さっきまで他人の事を心配してた自分が、だんだんここにきて心配になってきた。
それから10分以上待たされ、どんどん不安になってきた。
これもしかしてやばいやつか?
しかし周りには頼れる友達もまだいない。
そしてふとtwitterを見ると
僕のツイッター上が
かなり炎上していた・・・
(以下返信の数々)↓
→「そんな嘘だれでもわかるわ」
→「しょーもな」
→「水野君、こういう日にそういう嘘ついちゃだめだよ??」
→「お前そんな嘘ついたら悲しむ人もおるねんぞ!」
等々。
これは僕にかなりの追い打ちをかけた。
いや勢いでやってしまった自分が悪いのだが、これは事実であり、もしかしたら本当にヤバい状況かもしれなく、かなり僕は不安になった。
友達に助けを求めたいのに、さらに突き放されているような気分だった。
すると職員の人が声をかけてきて、少し場所を変えてほしいといわれ別の塔になにやら移動し始めた。
ただまだ僕にはなぜか妙な余裕が残っていて、歩きながらその人に話しかけた。
僕「あのーー、これってやばいやつですかね?w、ははは・・・」
職員の人「うーーん、そうだねーー、あーー水野君は一般受験??:
僕「あ、はい、そうです!」
職員の人「おーーそうなんだ。第一志望はこの大学だったの??」
僕「はい!4回受けたんですけど1つだけ見事にひっかかってなんとか合格しました!w」
職員の人「そうなんだーー。とりあえず合格おめでとう!」
その人は笑顔を見せてくれたが、僕に目をあわせてなかった。
そしてたどり着いたのが、キャリアセンターみたいな校長室のようなソファーがおいてあるような所で、ここでしばらく待つように言われた。
僕はここに着いて
(あ、これはさすがにやばいな・・)
といままでの余裕が完全になくなった。
するとスーツを着た2人の大人が入ってきた。
一人はいかにも偉そうで怖そうな60代スーツA。
もう一人は50代であまり仕事ができなさそーなサラリーマンのようなスーツBである。
そしていろいろ資料をだしながら説明された。
スーツA「えー、水野さんですね?」
僕「あ、はい。」
スーツB「・・・」
スーツA「本日は本校に来ていただき誠にありがとうございます」
スーツB「ぁ、ありがとうございます!」
僕「はぁ、はい」
まず僕は思った。まるで僕がこの大学の学生でないような言い方だなと。
そしてスーツB、こいつ仕事できないだろうなー、と。
だが話はすぐ結論づいた。
スーツA「えー、水野さん、結果的にいえばあなたは現時点では入学が認められていません。」
スーツB「・・・」
僕「・・・?」
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