絵を描き始めた日

著者: 松田 光一




3歳の頃。

たくさんの製図の紙の山がいつも黒電話の棚の下段に置かれていた。

その時代、父はエンジニアだった。

父は会社で制作した図面の無駄紙を会社から持って帰ってくる。

コピー用紙の表面には何かの設計図がびっしりと書かれている。その裏面は真っ白だった。

父はこの紙に絵を描くように言った。

その日から毎日絵を描くようになった。製図の裏面だったからロボットの絵をよく描いていたような気がする。

父も母も油絵を描く家だった。離れの小屋があって、そこには油絵の道具が置かれていた。小屋の中にはいつも油絵の匂いが漂っていて、僕はその空間が好きだった。かくれんぼではよく小屋を利用した。


絵を描くことは小さい頃からの日常で、大人になった今もそれは全く変わっていない。

今はロボットじゃなくて世界遺産の絵を描くようになった。大好きな物をモチーフにしているという点では何も変わっていない。

現在はまだ人間に寿命というものがあるから、同じことをずっとやり続けている方が完成度の高いものを人生に残すことができる。絵を描くことは僕の人生の大半を彩っている。


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記初:2016年2月7日

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