二十年間住み続けたごみ屋敷。おれはついに対決を決意した。そして。

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著者: いとーの Ee-toe-know.

・傘6本くらい

・加湿器

・座椅子

・アンプ

・なべ

・ヘアドライヤー

・コート2着

・スーツいっぱい


山ほど捨てた。


「直せば使える」とか「何となく捨てるのが面倒」とか、とってあった理由はいろいろだが、やはり「いずれ使う」は、絶対使わない。


中には捨てるに惜しい愛着のあるものもあった。

月の残業200時間を共に闘った目覚まし時計もあった。

しかしその時計は、動いてはいるものの針が曲がってしまっており、現役を続けるのは難しい。


成人式の時に今は亡き父親が買ってくれたスーツ、なんてものもあった。

これもくたびれてしまって、もう使う機会はない。


いろいろな感慨を味わいながらも日は暮れゆき、総攻撃は終了した。



。。。全然片付いてない。。。



いや、まだだ!まだ終わらんよ!!


さらに明日の果敢な反撃を誓いながら、ごみの山に埋もれて眠る夜……。


戦いは激しさを増し、泥沼へ。


さらに明けて休日二日目。

捨てる。ひたすら捨てる。

無数の缶カラ、ペットボトル、紙パック、ダイレクトメール、段ボール、シャツ他衣類。


。。。片付かない。。。


なぜだッ!!!


確かに、散らかる要素はある。

今まで曲りなりにも収まっていたものを引っ張り出したし、分類した数だけごみ袋も並んでいる。

それにしたって、あまりにも進み具合が悪すぎる。


「ふふふ、圧倒的じゃないか我が軍は」

ごみ連合軍の総帥の笑い声が聞こえてきそうだ。ちくしょうめ。


途方にくれて、気分転換に外出した。そして歩きながら考えてみた。


いちおう戸建なので、整理すべき場所や物が多いのは確かだ。

だとしても、もう100kgくらいは捨てている(正確にはカウントしていないが。)


いったいどんだけ溜め込んでんだこのごみ屋敷?

1トンくらいあるんじゃないのか?


あとどのくらいの時間がかかるか、ちょっと計算してみる。

例えば1日5分、不要物の処分(DMを開封して選り分けるとか、空き箱を潰して回収に出すとか、新聞整理するとか)をさぼったとして、1年溜めると


5×365=1,825分 すなわち約30時間

暮れの大掃除にでもこれを片付けようとすると、単純計算で30時間かかる。


10年で300時間

20年で600時間


1日5分を10分とすると、20年で1200時間


1200時間!!


これを1日8時間、つまり仕事をするような感覚で一日中掃除に明け暮れても、150日かかる計算になる。


。。。そりゃ終わらないわけだよ orz


本当に途方にくれた。

本当に終わるのか。これ。


家に帰る。

そして中を見渡す。

よく見れば、少しずつだが、地面つまり畳が見えてきている。


このまま進むしかない。

おれはかわるんだ、と誓ったのだから。


地道な掃討作戦に、次なる敵が。


ひと月が過ぎた。

空き缶空き箱古着古本

捨てて捨ててひたすら捨てて。


少しずつスペースが増えてきた。地道な行動だが、成果は着実に出ている。


そして進む先々に潜む、次なる敵。


綿ぼこり。


いやもう、これはすごい。

まるで腐海の胞子の海のよう(今度はナウシカか)


これが自分に関係のない所なら、王蟲の目玉をかぶって

「きれい。。。」

と現実逃避していればよいのだが、

逃げたところでじきここも腐海に沈みかねない。


逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ逃げちゃだめだ(今度はエヴァか)


そしてついに、最初の犠牲者が。

掃除機、名誉の戦死。


もともと調子が悪かったのがさらにひどくなり、見てみると、吸い込んだ紐などがホース内にひっかかり、そこに更にごみが溜まり、ホースが完全に詰まっていた。

もうどうにも手がつけられないありさまだったので、掃除機も買い換えた。

かくして歴戦の勇士もまた、不燃ごみの列に加わったのであった。合掌。

横着してなんでも吸い込んじゃだめだね。


こうして着々と軍備拡張にあい努め


・主力機は掃除機MkⅡからΖ掃除機へ換装


・ごみ箱は可燃ごみ用と廃プラスチック用複数にすべて再編成

分別廃棄するつもりでビニール袋などをごみ箱に入れず、どんどん散らかっていくのを防ぐため。各所のごみ箱を全部2個ずつ用意した。


・台所はさらにペットボトル用ごみ箱と、洗った缶などの水切り場を確保


・新兵器千枚通しを前線配備。

ペットボトルのラベルはがしに使えるほか、冷蔵庫内の溜まりに溜まった乳飲料をぜーーんぶぶちま

けるため(賞味期限切れの乳飲料がいったいどれだけあったのか、あまり想像しないことを推奨す

る)



かくして再編された連邦軍は、おそらく最後の敵、CD、カセット、DVD、VHS、MDそして書籍連合軍と対峙する。


いやもう、これはすごい(またか)


「おまえの掃除能力など貧弱! 貧弱ゥ!」

「その程度の断捨離など無駄無駄無駄ァアアア!!!」

「おまえは今まで買ったCDの枚数をおぼえているのか?」


今度は石仮面が頭の中で吠えている(←錯乱)


まだこれほどの強敵が控えていようとは、もう笑うしかないので、いったん撤退を決意。

すなわち、ある程度片付いた残りを押し入れに放り込んで、無理やり掃除をいったん終えたことにした。


終戦の日。

とにかく自分の部屋だけはきれいになった。

ここまでおよそ2か月。


やればできるもんだ。やった自分が一番驚いている。

まだまだ残りはあるのだが、今回はこれでよしとしよう。


こうして史上最大・空前絶後の「おそうじ大作戦」は、ワンクールが終了したのであった。

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