加藤三郎の生い立ちから現在までのストーリー

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著者: Katou Saburou

そしてそのことを契機に、 私は自分史を文章化して捉えなおす作業に入っていき

ました。

飯田さんにその文章を手紙で送り、 アドバイスを受けながらその作業を4ヶ月ほ

ど続けました。

私はその作業の中で、 いかに自分が物事を自分に都合よく考えているかを

自分は責任を取らず、人には責任を押し付けたりしている

たとえようがないほどの醜い自分に直面しました。

胸の中からその醜さがもくもくと黒い煙のようになって立ち上るよ うな

そのような自覚でした。

しかし、そのような自覚が生まれてから、 もうごまかすのはやめよう

ありのままに自分でいいではないか。

そう思えるようになり、すごく楽になりました。

そして自分の底なしの醜さを感じ自覚したことから

人がどんな醜く見えることをしていたとしても

それにはそれなりの理由があり

それゆえに人を裁くことはできない

自分も同じような醜さを生きた人間なのだから

といった自覚も生まれてきました。

そういう自覚がとても自分を楽にしてくれたのです。

5、刑務所での私の生活

こうして自分史の捕らえなおしを経て、かなり楽になった私は

1989年8月熊本刑務所に収容されました。

私はその刑務所の中でも、 あまり自分をごまかさず生きてこられました。

いまの刑務所の受刑者処遇のあり方の中には

受刑者の精神的な屈辱感を深めたり、 人間不信を深めたりするようなあり方も

かなりありました。

そういうことについても

私が自分の気持ちはごまかさず

しかし刑務所当局の立場や

刑務官個人の立場など考慮しつつ、

こういうあり方は受刑者が出所した際、 再犯へ追いやる方向になる働きかけにな

るから

改善してほしいといった要望を、 文章の形で提出する行動を取り続けました。

これは刑務所に対する反抗ではなく

私が犯した罪を償うひとつの実践です。

少しでもこの社会から、 私が犯したような犯罪がなくなってほしいという

そういう思いに根ざした願い出です、 そんな風にいつも書きました。

一方で所内しには自分を見つめてきた過程や

刑務所に中で自分の無自覚さに気づいた体験など

毎月のように投稿してきて、よくのせてもらいました。

また刑務所に来ておられる、 教戒師の先生にも積極的に面接を願い出て

心からの話し合いあの場を持ってきました。

とても深く影響を受けた先生もいました。

こうして私なりに、充実した刑務所生活を送ってきました。

6、出所後の生活

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