フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第25話
だから、アンタに言われたくないってのに…
涙は止まらなかった。
「さ、行こ行こ。私、客待てせてんだ」
「3人もね。ルイさん忙しすぎ」
あれ、そのネイルもしかして…
ネイルの店の話で盛り上がりながら
アヤがルイと肩を並べて更衣室を出ていくと
他のホステスたちも徐々に出て行く。
「ね、杏さんてさ。もしかしてアキサンのことじゃ…」
誰かがヒソヒソ声でそう言いかけると
複数の「シーっ」と言う声がそれをかき消す。
さも面白そうにチラっと私を見ながら
人差し指を口元で立てているのは
カナと仲の良かった女だ。
カナ…
あの頭の悪そうな表情
ヤマンバもどきのどぎついギャルメイク
半開きのアヒル口
グロスを塗りまくったヌメヌメした唇
半開きの股
魔女のように伸びた爪
全てがいやらしく生々しく思い出される。
私は1人残された更衣室で
髪をかきむしった。
なんで!?
なんで!?
なんであの子なの!?
佐々木がカナと共に失踪したのを聞いたのは
今日店に出てすぐだった。
カナが借金取りから逃げ回っていて
そろそろヤバイから一緒に逃げてやることにする
黒服の1人が佐々木がそう言っているのを聞いたそうだ。
それを聞いてしばらく私は
客の隣のいても会話も上の空だった。
ショーの時間になると私の動揺はさらに酷くなり
こうして衣装に着替えたきり座り込んでいる。
昨夜まで一緒にいたのに
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