フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第25話

5 / 6 ページ

前話: フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第24話
次話: フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 26話

「大丈夫!」


と言って千鳥足でトイレに駆け込んだ。




…ホント最悪だ。


何やってんだろ、私は…


胃の中のものを出して


顔を洗った。


小さな鏡に映るのはメイクが剥げて


お化けみたいな女の泣き顔だった。



これが今の私か…

恋をすると綺麗になるなんて

とんだお笑い草だ。


やっぱり、恋なんてすべきじゃなかった…




私は、ヨロヨロとした足取りで


メールを打っている男のそばまで行き


財布から出した1万円札をカウンターに置いた。



「帰る」


私が行こうとするとチャラ男は慌てたように私を見た。


「ええ!なになに、帰んの?!その状態で歩くのヤバイって」




私は無視して店を出た。




店先で手を挙げるとタクシーが止まった。


倒れこむように乗車した私を運転手は露骨に嫌そうに見た。


「お客さん酔っ払い?吐かないでね、シート洗ったばっかりだからさ」



私がやっとの思いで、家の最寄駅を告げた時だった。



チャラ男が車内に滑り込んできた。


は…何!?ちょっとコイツ?どういうこと?!


声にならず


「ちょ…なんで…」


というのが精一杯だった。


運転手が、怪訝そうに振り返った。


「あれ?お連れさんいたの?」


「そ!俺はこの子の保護者。いいよ、出して!」


当たり前のように私の体に密着してシートにもたれるチャラ男。



「そう、良かったよ。このお客さん到着しても降りなそうだから」


運転手はむしろホッとした顔でエンジンをかけた。



私は薄れそうな意識を必死で保とうとした。


意識がなくなればチャラ男に何されるのか分かったもんじゃない。


ホテルにでも連れ込まれてもおかしくない状況だ。



走行中、絶えずわずかな警戒心を働かせ

意識があることを訴え続けた。


それでも目的地に着いた時はほぼ気を失いかけていた。



「お客さん、着きましたよ」


「おねーさん、降りられる?」


運転手とチャラ男の声がぼんやり聞こえ


私は身を起こした。



支払いを済ませ、見覚えのある


店が何軒か視界に入ってきた。


いつの間にかチャラ男にもたれかかっていた。


チャラ男は私の肩をガッチリとロックしている。



嫌だ…


抵抗しようにも力が出ない。


「ありがと、もういいから」


思ったより上手く言えた。


チャラ男はまだ私の腕を離そうとしない。


「え、危ないじゃん。家どこ?せっかくだし送らせてよ」

著者のYoshida Maikoさんに人生相談を申込む

著者のYoshida Maikoさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。