フツーの女子大生だった私の転落の始まりと波乱に満ちた半生の記録 第25話

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「いいってば。もうすぐそこだし」



「そんな冷たいこと言わないでさ」


チャラ男はまだ私を解放しようとしない。


少し酔いが覚めた私は、チャラ男を睨んだ。


「なに?怖い顔しちゃって。え、本当にダメなの?」


私は声を張り上げた。


「ダメ!さっさとその手離して帰ってよ!」



さすがにチャラ男が怯んだ。


私が背を向けると


チャラ男の舌打ちする音が聞こえてきた。


「んだよ!どうせ客とヤリまくってんだろーがよ!!」


そう言うとチャラ男は、もう諦めたのか


私から遠ざかって行った。


私は、急いで小走りで角を曲がり


家路を急いだ。




家の前まで来た時だった。


アパートの前の街灯が少ない暗いスペースに黒い人影が見えた。


大きさから男の影だと分かる。



さっきのチャラ男が頭をよぎって、ゾッとした。


もしかして…つけられてた?



黒い影は私との距離を一気に縮めて来た。


私は悲鳴を上げそうになった。



苗代に襲われかけた時のことまで蘇った。



「あ、俺だよ」



その声に、少し間を置いて


私は喉まで出かかった悲鳴を止め押し黙った。


「ごめん、驚かせたよな」


「え…あ」


よく見ると、見覚えのある顔だ。


それは一年ぶりに見る元彼の拓也だった。













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