ある小さな女の子の生きた姿

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医師は、できるだけこどもたちが

家族と過ごす時間を大切に考えてくれていました。

だから治療中でも、

調子の良い時は外出することもできました。



娘の場合は、

大好きなアイスクリームを食べに行ったり、

海を見に行ったりしました。



病院の中にいると、

なかなか外の空気を吸うということもありませんから、

そういう家族にとってごく普通の景色が

すごくありがたかったのだと思います。



外出して、

また病院に戻ってこなくてはならないんだけれど、

そうやって息抜きというか、

こどもが家族と過ごすことで

またちょっと病院で頑張ったらママやパパと遊びに行けるかな、

そうやって治療に前向きに臨めるように、

そんな思いもあったのかもしれません。



とにかく家族一緒に過ごす時間がすごく貴重なもので、

そんな当たり前のようなことがとってもありがたく尊いものに感じました。



入院生活も数カ月になってくると、

娘もだんだんと病院での生活に慣れてきてくれました。



夜勤の看護師さんからは、

いつも夜の娘のことを書いたお手紙を残していってもらいました。



時には寂しくなって抱っこしてもらったり、

眠れないときは絵本を読んでもらったり。

そうやって寂しさを紛らわせてくれました。



四人部屋だと、

誰かが寂しくなって泣くと、

その泣き声を聞いて他の子も起きてしまい、

皆で泣き出すということになります。



夜勤の看護師さんは大変だなぁと思いました。

でも皆勤務時間が終わっても、

一所懸命仕事をされたり、

私たちに話しかけてきてくれていました。



この人たちなら安心して娘をお願いできる、

そうやって信頼関係を築いていけたのかもしれません。



お薬による治療を行っていた娘ですが、

なかなか効果がみられずに輸血に頼る日々が多くなりました。



医師からは骨髄移植を勧められました。

リスクはあるものの、

やはり骨髄移植をすることが元気になる一番の方法だと。



誰から骨髄移植するか?

骨髄バンクのドナーさんには、

娘と骨髄の型が一つだけ違う人が50人ほどいました。



ドナーさんに骨髄を分けて頂くこともできましたが、

もし家族で骨髄の型が合う人がいれば、

赤の他人よりもその方が良いとのこと。



こどもと親の骨髄の型が合う確率ってご存知ですか。



わずか4%です。

ほとんど合わないと思った方がいいです。

合ったら奇跡。



ところがその時は私たちにもう一人家族がいました。

弟が生まれ1歳になっていました。



1歳の弟がドナーになれるのか?

もう少し体を大きくする必要がありましたが、

もし骨髄の型が合えば、

娘にとって希望が産まれることになります。



結果、お姉ちゃんと弟は

全ての骨髄の型が一致していました。

すごい、すごすぎる。



兄弟で骨髄の型が一致する確率は、

25%です。



親と比べたら6倍以上にもなりますが、

それでも4人に3人は一致しないのですから、

まさに奇跡と言っていいと思います。



そしてその骨髄の型が一致していると分かったのが、

ちょうど娘の誕生日でした。

弟からお姉ちゃんへ、

産まれて初めての誕生日プレゼントなんて、

かっこよすぎるだろーとみんなで涙を流しながら大喜びしました。



そして奇跡を信じました。

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