ある小さな女の子の生きた姿

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骨髄移植。

言葉としては耳にしたことがあるものの、

はたしてどういう治療をして、

娘はどうなってしまうのか?



骨髄移植を行うと、

髪の毛が抜けます。



産まれてから一度も切ったことのなかった、

娘の自慢の髪が・・・とも思いましたが、

看護師さんに「髪の毛はまたはえてくるから」と言われ、

あぁそうだなと変に前向きに捉えたのを覚えています。



全身だるくなり、吐いたりということもでてきます。

それに加えて、

今回は息子も入院して頑張ってもらわなければならないので、

親としては気が気でない。



でも病院側の配慮があり、

壁を挟んで隣に姉弟入院して、

治療を行うことができたのはありがたかったです。



息子の方はというと、

その時アレルギーがあり大変でした。

まあ食べられるものの方が限られている。



小麦、乳、卵、魚、大豆・・・

あげたらきりがないほどのアレルギー。

だから食べられるものって言ったら、

米とかぼちゃ、さつまいも。

後は粉ミルクで栄養補助したりといった具合。



お姉ちゃんは体が大きく、

弟とは3歳年が離れていました。

まして弟はその時1歳でしたので、

移植の時までに頑張って食べて、

できるだけ体を大きくするということがミッションでした。



息子くん、

頑張って頑張ってもう大丈夫かなというところで、

先生が骨髄移植をしましょうという話をされました。



娘にも移植をしてどうなるか、

どういう痛いことがあるか、

ちゃんと隠さずに話してくれました。



そうやってこどもにきちんと向き合うことで、

幼いながらも治療に前向きになれる姿勢が作られるのだと思います。



いよいよ移植の日。

まず息子から骨髄を採取します。



どれぐらい時間かかったかな。

先生が息子の骨髄をもって出てきたときは、

ホカホカで希望に満ち溢れているように見えました。

とても尊くて、

お姉ちゃんを助けてくれる大切な宝物のようでした。



それからお姉ちゃんの体の中に、

その弟くんの骨髄を入れます。



ルートを伝って赤い骨髄が娘の体の中に入っていくのを見ていて、

思わず鳥肌が立って涙がツーと頬を伝いました。



病室には数名の先生と看護師さんたちがいて、

本当に神聖な儀式のようで、

あれは経験しないと分からないと思いますが、

とても感動的なものでした。



この時娘も息子も感染しないよう、

個室に入っていました。



娘のベッド周りには透明のカーテンが吊ってあり、

空気も循環してとにかく感染予防がきちんと行われていました。



個室ということもあり、

お友達とも暫く会えませんから、

娘が退屈しないよう、

窓の外から写真を大きくして貼ったりして

無機質な病室を楽しくできるよう考えてやりました。



娘はその後髪の毛も抜けましたし、

吐いたり痛がったりということもありましたが、

ゆっくりゆっくり回復していきました。



隣で弟が泣いていると、

看護師さんに「かわいそうだから、行ってあげて」と

優しさを見せてくれるお姉ちゃんでした。



自分が辛い状況にあっても、

そうやって他人を思いやれる優しい子でした。



そのうち娘も息子も元気になり、

一緒のベッドで遊ぶこともありました。



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