元獣医アーティストが一年かけて地球を一周してアート活動してくるまでの話
第一章 ロサンゼルスに着いて2週間で現地の美術教室でワークショップ開催を決めた話
2017年1月11日から1年4か月に渡る地球一周アートの旅に出ています。
1月 ロサンゼルス → イマココ
2月 ニューヨーク
3~5月 フィンランド(トゥルク)
4~6月 ルーマニア
9、10月 フィンランド(マンッタ)
11~翌年5月 上海
私は2013年から、いろんな人から絵を集めてつなげ、1つの大きなアート作品をつくるというプロジェクトをやっている。空のように世界に一つしかないものを一緒につくろう、という意味合いで、SORAプロジェクトと名付けている。下絵として描かれた線画に、線を無視してもいいから自由に絵を描いてもらい、あとで並べると、線がつながって1つの大きな作品になるというものだ。
すでに1400枚を超えるほど絵が集まり、高さは2.1メートル、幅は43メートル以上になっている。
始めた時には、まさかこの活動がこんなに大きく育つとは、想像もしていなかった。
これも絵を運んでくれたり、画材を提供してくれたり、協力してくれる人たちのおかげだ。
2016年までに、さまざまな人の協力のもとに8か国(日本、タイ、ウガンダ、スペイン、ロシア、ドイツ、スリランカ、バヌアツ)から絵を集め、ロサンゼルスでもどこかで活動できないかと思っていた。
私がロサンゼルスに来たのはこれで2回目。
初めて来た3年前には、知り合いは一人もいなかった。
今でもそんなに多いわけではない。
だけど遊びに来たら必ず会ってくれる友人が、本当に少しだけできた。
こちらに来てから2週間、私はロサンゼルスのギャラリーに足を運ぶとともに、現地で活動ができそうな場所を探していた。
多くのメールには返信がなかったが、一つの美術教室から連絡がきた。
「うちには大きすぎるプロジェクトだけど、こういうところを調べてみたら」
その言葉をきっかけに調べた2つの美術教室から「興味深い、一度会いに来ないか」という連絡をもらった。最初の1つはウェストロサンゼルスにある美術教室で、オイルペイントやアクリルを使った具象画などの指導を行っている。もう何十年も、この場所で美術教室をやっているという。
ディレクターさんは、面談の前に私のホームページも見てくれていたようで、プロジェクトのことをかなり理解してくれていた。
どうしたらいいのか、と聞かれて、私は見本にと持参した下絵を預け、仕上がってから取りに来るように頼むことにした。ディレクターさんは快く引き受けてくれた。
もう1つはほぼ同じ場所にある子ども向けのアート教室。
こちらはインターナショナルに子どもたちを受け入れていて、写真を見せながら、これまでの活動について伝えると、翌日にワークショップをやらないか、という提案をもらった。
私自身、自分がワークショップに参加できることを望んでいたが、実際にできる場所が見つかったことに驚いた。聞くと、月の終わりでクラスの入れ替えがあり、タイミング的にもちょうどよかったとのこと。話が一番いい方向に進んだのがうれしくて、私はこの日、駅までスキップしながら帰った。
翌日、私は日本から持参した画材を持ち込み、子どもたちに画材の紹介をしながら、絵を描いてもらった。ワークショップが始まる前に、ディレクターさんがご両親に写真を見せながらプロジェクトの説明もしてくれ、ほんの少しでも、アメリカに暮らす人たちに、プロジェクトを知ってもらえたことを本当に本当にうれしく思った。
絵を描く以外にもたくさんのアクティビティが用意されたKids artistic senseで
http://www.kidsartisticsense.org/
West LA Art Centerで描かれたたくさんのピースマーク。(円の中にYのような模様がそれ)
http://www.westlaartcenter.com
自分のプロジェクトを英語で説明し、協力を仰ぐこと。
これは自分にはなかなかハードルが高かったが、実際に話してみてよく分かったことがある。
プレゼンで大事なのはシンプルに
1)相手に何をしてもらいたいか
2)相手へのメリットは何か
を伝えることだ。
ここはビジネスの国で、アートもビジネスの一つだ。
相手へのメリットが確実に提示できれば、自分の望む結果につなげることができる。
逆に言えば、自分の作品が海外で確実に売れることが示せれば、取り扱ってくれるギャラリーを探すのもかなり楽になるだろう。
これらの情報は、日本で調べたものではない。
ロサンゼルスに来てから調べ、連絡もこちらに来てからしたこと。
連絡したところは誰かに紹介されたわけでもなく、コネクションはなかった。
それでも渡米後、わずか2週間で現地でワークショップができることになった。
3年前、ロサンゼルスに3週間滞在した時は、友人の紹介でカフェでの追加展示ができたけど、基本的にはギャラリーや美術館を観光客として見て回っただけで、何か具体的なアクションを起こせたわけではない。
何が違うのだろう。
3年前と今と。
英語力は確かに伸びた。
3年前、自分のアートについて聞かれて「Cell(細胞)」としか言えなかった自分は、今は事前準備がなくても、ある程度英語で解説できるようになった。
じゃあそれ以外に何が違うのか。
たぶん、目標が変わったのだと思う。
3年前、私は初めて現地でのグループ展に参加し、「できることなら追加でどこかで展示ができるといい」ということ、さらに現地のギャラリーや魅力的な場所にできる限り足を運ぶこと、を目標としていた。
今回の私は、現地で作品を制作することと、「確実に」次のキャリアに繋がる足跡を残すこと、コネクションを探すこと、良い作品をたくさん見ることを目標としている。
だから、制作にも時間を使っている分、訪れた場所が少なく、それもギャラリーにかなり偏っている。
3年前は現地で絵を描こうと思ってキャンバスやアクリル絵の具を買ったにも関わらず、結局何もせずに日本に持ち帰った。
つまりどちらも目標通り、正確にいえば、どちらも目標以上の成果が得られた。
大事なことは自分が何をしたいか、目指す先が見えているかどうかだ。
自分がどう動くべきかというアイデアは、それに合わせて降ってくる。
ロサンゼルスのアート情報を調べて記事を書く、のと
ロサンゼルスでアート活動をしてくる、のでは自分の見てる世界が違いすぎる。
でもどちらも、「自分が何をしたいのか」というのが明確で、それに対して行動さえ起こせば、目標の少しだけ先に手が届くはずだ。
さて、2月15日から次はニューヨークに行ってきますよ!
次は何を目標にしよう?
世界を一周して日本に戻ったら、ナオト・インティライミさんみたいになれるでしょうか?笑。
今後の展開もお楽しみに!(*´▽`*)
マリブのビーチより。
あなたの親御さんの人生を雑誌にしませんか?

著者の小俣 智子さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます