癌で胃袋を失い生きる希望を失いかけた男が、一夜にして元気を取り戻した物語

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少しくすんだ 緑と茶色の太陰大極図が看板だった。


「麻心」と書いてある。





ランチには少し早めの時間だったせいか、


海を正面に見る席が、丁度二つ空いていた。





海が眩しかった。


サングラスをかけた。





店員がメニューを持ってきた。


髪を少し茶色に染めていた。


海からの光で、髪が輝いていた。


目元は、アイラインではっきりとしている。




「お水はあちらにありますので、ご自由にどうぞ」



好感の持てる声をしていた。


サーファーなのだろうか、


きれいな焼け方をしている。



海から受けたエネルギーが身体から発散しているようだった。





メニューを手に取った。


(このカフェなら、何でも食べられそうだ・・・)




カレーに目が留まった。


(暑い時には、食欲をそそるカレーがいいっていうけど、本当にそうだな・・・)




【麻の実カレー】


 7種類のスパイスに麻粉をミックスした自家製ヘンプガラムマサラと


 新たまねぎをじっくり煮込んだマイルドなベジタブルカレー


(これ、なんかよさそうだな・・・)




私はカレー、


妻は、しらす丼を頼んだ。





水を取りに行った。


【この水は、宙石で作っています】


(宙石? なんだそれ?)




【 宙石とは約2億年分のミネラルの塊です。


 2億5千万年前の海底層が6500万年前に隆起した堆積岩です。


 木炭や竹炭の10万倍の超多孔質とミネラルがおいしく安全な水をつくります。】





多少怪しさを感じたが、とにかく喉がかわいていた。





しばらくして、カレーがきた。




ご飯がかわいらしく山型に盛られていた。


(これなら俺でも全部食べられそうだ。)











翌朝、朝の光で目が覚めた。



(今日もくそ暑そうだ・・・)


(今日から仕事か・・・)



しかし、なにかがおかしい。


身体に異変を感じていた。




(あれ、いつものダルさがないな?)


布団をはねのけ、ベッドから立ち上がった。




(うん? どうしたんだ??)


(いったい、何が起きたんだ???)




身体に力が戻っていた。


(これなら走れる・・・)




「ちょっと走りに行ってくる!」



すぐに着替えて、外に出た。



軽い! 足が軽い!! 



走れる! 


走れる!! 


走れる!!!




顔に笑顔が戻っていた・・・



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