癌で胃袋を失い生きる希望を失いかけた男が、一夜にして元気を取り戻した物語

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「あ、あ・・・」





パソコンを立ち上げ、


検索バーに『鎌倉、江ノ島 自然食レストラン』を打ち込んだ。




「じゃあ、ここにするよ」


まさか、


そのレストランがトンネルの出口だったとは、


全く予想だにしなかった。





重い身体を引きずりながら、車に乗った。


精神と身体が完全に分離しているようだ。





目指すは、由比ヶ浜。


お盆休みの最終日、目立った渋滞はない。


県道から国道134号へ向かう抜け道に入る。





登坂を上り終えると海が見えてきた。


江ノ電の踏切を越えて国道134号に入る。





サーファーに、お盆休み最終日は関係ないようだ。


たまにしか来ないうねりに備えて、


スズメのように列をなしている。




時折、大きなうねりが来ている。




台風でも来ているのだろうか?


そういえば、最近天気予報を見ていなかった。




湘南の海にはパワーがある。



生まれ育った北陸日本海の寂しさとは裏腹に、


明るさ、華やかさ、


とにかくポジティブな表現しか似合わない。




七里ガ浜のロッテリアを過ぎてからは、


ほとんどノンストップで、由比ガ浜に着いた。





坂ノ下の信号で赤信号に捕まった。


目的地はすぐそこのはずだ。


200mほど走ると、それらしきお店が見えた。






これだ。


駐車場は一台しかないと書いてあったので、


あてにせずにコインパーキングを探した。





車を降りた。


午前中からくそ暑かった。


ほんのわずか歩いただけで、汗がしたたり落ちてくる。





そして、相変わらずダルかった。


歩くのがやっとだったが、


妻の前で、気丈にふるまっていた。





少し歩くとお店が見えた。

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