一本の映画を撮るように、人生をプロデュースする話。(第2章:ヤツと剣道 編)

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前話: 一本の映画を撮るように、人生をプロデュースする話。(第1章:上京と音楽 編)


一歩後方に下がりつつ、竹刀でメンをガード。



つばぜり合いに突入した。



相手に息づかいを読まれぬよう、

自分を押し殺す。



その分、
心臓の音が自分の体に充満する。


間合い”ゼロ”の状態。

面の奥にヤツの”サムライの目”が見える。


オレは、自分を悟られぬよう、”気”で威嚇した。



一番コワイ瞬間だ。
ヤツの引き技は、見分けがつきにくい。


引きメンか?

引きドウか?



引きメンだ!!

ギリギリで首を左によけ、

そのまま下がっていくヤツを追いかける。


そして、今度はオレの、メンを打つと見せかけてのコテ!!


「チッ。」

相手もオレの攻撃パターンを読んでいた。


かわされたが、そのまま”体当たり”


”場外に吹っ飛びやがれ!!”


しかし、

うまく体を反らされ、二人の身体がもつれる。


審判からの、”やめ!”の合図がかかる。


仕切り直しだ。


22

制限時間内に勝負はつかず、

延長戦に突入。

先に一本先取した者が勝ちとなる。


ここからは、体力と気力の勝負。
ここからは、”ヤツ”と戦いながら、”自分”とも戦わなければならない。


心の中に弱い自分が現れてくる。


「もう、そろそろ終わりにしようぜ。」
「もう、技は出し尽くしちゃったよ。」
「いつまでの続くのこの勝負?」​


それらを振り払うかのように、”咆哮”

心と身体が同化してくる。

限りなく”無”に近い状態。



”カッテヤル”

ただ、それだけだった。



つばぜり合いから、間合いをきる一瞬だった。

身体が勝手に動いた。

それ以上は覚えていない。


気がつくとオレは”引きメン”を打っていた。



「メっ!!」



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