終末期の支援

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次話: 終末期の支援②

を導入する必要がある。介護ベッドを施設の部屋に運ぶためには、4人がかりで移動させなければならない。そして、…

 

「車椅子の点検」

 

も行う必要がある。空気圧の確認などが必要だ。もし、車椅子が故障していたら、移動する時に、横転する可能性がある。もし、そのような状態になったら…

 

「命に関わる」

為に、入念に点検を行う必要があるのだ。介護ベッドも不具合があったら、予想外の事故に繋がる恐れがある。以前、他の施設で聞いた話では、夜間に認知症の利用者が…

 

「ベッドから横転」

 

して、頭部を強打してしまったそうだ。そして、亡くなったらしい。状況によっては、警察にも報告する必要がある。だから、…

 

「安全を期する」

 

事が重要だ。私は、通常業務終了後、福祉用具の貸与に関する契約書を作成した。今日は遅番勤務だから、少し余裕があった。ちょうど、業務が終了して時間が余ったために…

 

「山田や他の職員」

 

と一緒にAさんの居室からベッドを入れ替える作業を行なうことにした。ベッドの移動は4人で作業をする。特に介護ベッドは機械ものであるために…

 

「デリケート」

 

なのだ。そして、モーターが装備されているために、一般のベッドよりも重くなる。4人がかりで、介護ベッドを入れ替えた後、山田が話しかけてきた…

 

「いよいよ、明日、Aさんの退院だな」

 

私は返答した。

 

「…そうだな」

 

山田は心配そうな表情でつぶやいた…

 

「看取り支援か…」

 

「…明日、Aさんの部屋に在宅酸素機が搬入されるらしいぞ。新しいタイプだから、明日、業者が来て、研修会があるらしい」

 

「そうか…」

 

山田はポツリとつぶやいた。私は山田に現状を伝えた…

 

「…治療の段階は終わった。これからは…終末期支援の段階だ」

 

山田は無言でうなずいた。

 

いよいよ、明日、Aさんが退院する。果たして、心身の状態はどのようになっているのだろうか?又、背中に冷たいものが走った…

 

 

翌日は、朝から雨だった。雨の日は、いつもよりも、渋滞が酷くなる。特に、橋の上は渋滞が酷い。通勤途中のドライバーも皆、いつもよりも…

 

「殺気立っている」

 

ように感じられる。皆、何かに急かされるように仕事に追われる。そして、年を重ねていく。日本人の9割は病院や介護施設で…

 

「最後を迎える」

 

という、データがある。人生の過程は多様だ。社会的に成功する人もいる。金銭的に裕福になる人もいる。しかし、最後は結局…

 

「同じなのだ」

 

なぜなら、病院や施設に入所すると、過去の栄光など「無に帰される」からだ。患者と利用者として扱われる。家族が時々、面会に来る。しかし…

 

「圧倒的に」

 

職員と接触している時間が長い。夜勤帯になると一日「16時間」接触している。食事介助。入浴介助、排泄支援など、人間としての…

 

「根幹」

に関する部分まで支援を行なう。そのために、御家族よりも、職員の方が、利用者さんのことについて、現状を…

 

「把握」

 

していることが多い。

 

職場に到着すると、Aさんの退院準備を行った。在宅酸素機を使用するために、医療機器の担当者から研修を受けた。最近の在宅酸素機は…

 

「便利」

 

になっている。酸素供給量の設定などもデジタル設定で行なうことができる。旧式のボンベタイプのように、交換する必要もない。基本的には…

 

「フィルターの交換」

 

のみで大丈夫だ。しかし、最新式の酸素吸入器では、地震などの災害時は不安がある。なぜなら、停電してしまうと…

 

「動作不能」

 

になってしまうからだ。したがって、旧式タイプも地震などの災害時のために、備えておく必要がある。そして、Aさんは…

 

「午後2時頃」

 

に病院から退院予定だ。私は施設長からAさんを病院に迎えに行くように、指示を受けた。退院時刻に間に合わないと、具合が悪い。…

 

「遅刻しないように」

 

急いで、送迎車両の準備をしなければならない。私は送迎車の運転が苦手だった。なぜなら、非常に…

 

「神経を使う」

からだ。送迎車は軽度者であれば、大型のワゴン車に普通に着席できる。しかし、重度者であれば、そのように行かない…送迎車は後部に…

 

「車椅子」

 

を固定できる設備がある。最新の福祉車両では、自動式のタイプもあるらしい。しかし、私が勤務していた施設では、旧式のために…

 

「車椅子」

 

を固定する方法が、少し複雑だった。そして、重たい利用者の場合は、運転時に車両がギシギシと音が鳴るのが…

 

「不安」

 

だった。私は14時前に病院に到着した。そして、Aさんを迎えに行くために、病院の自動ドアをくぐりぬけた…そして、受付の人に要件を告げた。…

 

「エレベーター」

 

Aさんが入院している4階まで移動する。そして、病室を順番に見て回る。そうすると、Aさんの名前が書いてあるネームプレートを発見した。いよいよ…

 

Aさんと対面だ…」

 

Aさんは、どのような状態なのだろうか?手に汗が滲んできた…

 

私は、恐る恐る、Aさんが入院している病室のドアを明けた。Aさんは、個室に入院していた。奥の方にいくと御家族の方と…

 

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