ミュージシャンのボクしか出来ない世界で1つの「親孝行」
模試では、2割しかとったことのない、ボクが採用されたのは
まぎれもなく母親のおかげだと思う。
手術は成功した。
「完治」と医師からは聞いた。
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翌年、ボクは教師として、黒板の前にたっていた。
次の日曜日、初めての参観で保護者の方々がこられる。
そのタイミングで、教頭先生に無理なお願いをした。
「母親を参観に呼びたいんです。」
なぜか。
理由は、母親に元気になって欲しかったから。
これがボクの中での最高の親孝行だと信じてやまなかった。
とにかく早く親孝行がしたかった。
したくて、したくて、どうしようもなかった。
そう・・・「がん」は再発していた。
「完治」したはずなのに。お医者さんの嘘つき。
ちなみに
兄とボクだけには、その余命も告げられた。
教頭先生は、特別に話を通してくれた。
そして母親は、ボクの授業を観に来てくれた。
泣いていた。
その涙を見て、少しくらいは親孝行が出来たと思った。
だが母親は
なぜか「・・・つらい」と一言ボクに告げた。
この頃のボクには、その意味がわからなかった。
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