ミュージシャンのボクしか出来ない世界で1つの「親孝行」

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だけど、人には「死」がある。


たまたま、その時が母に来ただけだった。








母は、とうとう苦しみながら死んだ。


すごく苦しんでいた。


つらそうだった。


痛々しかった。






「こんな病気やけど、お母さんは幸せやねんで」


「あんたも好きなコトせな、あかんで」




そう母は、いつも僕に言っていた。


まるで、自分にも言い聞かしていたようだった。




「なにが幸せや。死んだらおしまいやろ。」


ボクは、なかなか受け入れられなかった。






「なんでやねん!」


って母の遺体に向かって怒鳴った。




「ありがとう」が言えなかった。


もっと「ありがとう」を言いたかった。








ボクは齢25。


兄も妹もボクも両親を失った。






みんなつらかった。


何度も泣いた。


自分たちの非力を悔やんだ。






けれど、特につらかったのは祖母だと思う。


母親は最後の最後に「親不孝」をしてしまった。




痴呆気味の「祖母」と「ボク」と「母」は、


一緒に暮らしていた。


祖母とボクは、家に帰ってきた。


母の遺体の横で寝ることになった。





最期の別れの化粧をしていない母は、


ただただ眠っているようでした。




母のベッドを取り囲む、


お供えの品とゆらゆらと揺れるロウソクの灯。




そんな中、祖母は、ボクに




「ゆきは、死んでもうたんか?」


と翌朝まで 1時間おきに聞きました。




「ゆきは、死んでもうたんか?」



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