人生のレールを脱線してみたら、こうなった僕の半生記【前編】

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次話: 人生のレールを脱線してみたら、こうなった僕の半生記【後編】
著者: Kazu Ina

 

なんだか知らないが、誘われているようだ。

 

『おもしろそうだな』

 

この程度の返事しかしていないと思う。

 

すると、友達はその場で電話をかけ出し、


『もしもし~、あっ、お疲れ様です。いや、俺の仲間で一人強い奴がいるんですよ~。
次回の大会に出たいというのでお願いします。』

とあっさり出場を決めてしまったのだ。

 

『出たい』と言った覚えはない…。

 

しかし何事も経験である。

 

その日から、仕事をしながらトレーニングをする日々が始まった。

 お酒も辞め、心身を鍛えていく行為は僕にとって苦ではなかった。

結局、それから二年間で五試合に出場し、負け無しという結果を残すことができた。

こんな経験はできるものではない。

その友達には感謝している。

※【ストイックスター稲】で検索できます。


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~Life is a journey~旅の前~③
    
  なりたい自分像から仕事を選ぶ


仕事とトレーニングを両立していた僕だが、
もう一つの転機となる趣味に出会うことになる。

それが、サーフィンだ。

毎週のように趣味の合うサーフィン仲間と千葉の九十九里海岸に通っていた。

 

サーフボード一つで波に乗る。

青い海に広い空。

陸には山が見え、健やかな風をたくみに操りトンビが鳴いている。

太陽のエネルギーで魂が充電されていくのがわかる。

サーフィンを通じて自然を感じ、地球を感じ、宇宙を感じることができる。

東京出身である僕には、自然を感じられる大切な時間だった。

こうして自然と触れ合う回数が多くなるにつれて、自分のライフスタイルに対する考え方に大きな変化を感じ始めていった。

 

先輩と共に会社を始めて七年が経ち、三十歳を迎えた頃、今後の人生設計を真剣に考えていた僕はある決断をだす。

 

男として、仕事は一生するであろう。

その仕事が、今やっている事で本当に後悔しないだろうか。

今の仕事にも、収入にも不満はない。

しかしこれから四十、五十歳と、この延長線上に自分の幸せはあるだろうか。

もっと自由に、もっと自分らしいライフスタイルを求めてはいけないものか。

何かを始めるのに遅いことなどない。

しかし早いに越したことはない。

思い立ったら止められない性格の僕は、先輩と話し、会社を退くことを決めた。

僕の人生に大きな転機を与えてくれた先輩には今でも感謝している。

 

しばらくの間は貯金もあったため、仕事はせずに次なる計画を立てることに集中した。

やりたい仕事があったわけではない僕は、なりたいライフスタイルを箇条書きでノートに書くことにした。

 

〇朝は苦手だからゆっくり起床できる仕事

 〇というかそもそも通勤はしたくない

 〇どこにいても仕事ができる

 〇海のそばで生活したい

 〇世界中を旅しながら仕事ができたら最高

 

こんな感じで、具体的な業種はなくとも、とにかく理想のライフスタイルを書きなぐっていった。

今見返しても、なんともワガママな内容ばかりだ。

あとはこのワガママ内容に当てはまる業種を探していった。

 

〇トレーニングをずっとしていたので、自宅でトレーナーもできるのではないか?

でもお客さんの予定を合わせなくてはならないし、人気がでたら自由がなくなる。

 

〇インターネットで無店舗販売なんかはどうだ?洋服や小物を仕入れて転売していく。

でも在庫を抱えるし、お客さんとのやり取りで手一杯にはならないだろうか。

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