社長が逮捕されて上場廃止になっても会社はつぶれず、意志は継続するという話(8)
メジャーになれなかった新規事業たち
事件後しばらくして、新規サービスを立ち上げていこうという機運が高まり、社内コンペなども活発に行われた時期があった。
なにしろ、社内にディレクター、エンジニア、デザイナー、マークアッパー(HTML、JSコーダー)と揃っているのでちょっと集まって手を動かせば、さくっとネットサービスを作ることができる環境がゴロゴロしており、短期間で次々と立ち上がった。
いくつかご紹介しよう(ここをご覧の方は、いくつご存知だろうか?)
- タスク共有ツール「fixdap」・・・プロジェクトやデバッグなどのタスクを管理するツール(2012/12終了)
- RSSリーダー「fastladder」・・・英語版livedoorReader(2012/5終了)
- オンラインテキストエディタ「Quill」・・・羽のように軽いWeb上メモ(2013/5終了)
いずれも残念ながらサービス提供を終了してしまっているが、もっと利用者を伸ばすことはできなかったのだろうか・・・
ブログ+SNS+ツイッター+・・・
その中でも一番想い出深いサービスは、「nowa(ノワ)」である。
(余談)nowaというと新宿にある、nowaビルをいつも思い出してしまうのだが。。
(閑話休題)
「nowa」とは、2007春に、livedoorブログをとっつきやすくしたライトユーザ向けのblogとしてスタートした。
当時のlivedoorブログのユーザ数が250万か300万人くらいだったのだが、対するnowaはリリースから6ヶ月で50万人ユーザ獲得が目標だった。
結論から言うと、nowaは2年弱で終了となり、サービスとしては失敗だった。
問題なのは、なぜ失敗したのか?これも色々な見方があると思うが、今、この瞬間も提供されているサービスでも陥りがちなポイントを、あくまで一般論として挙げてみると
1.機能を欲張り過ぎた
ミニブログならtumbler、つぶやきならtwitter(この頃、Amebaでも、なう、が始まったが、伸びてる感じはしない)、SNSならmixiがまだまだ全盛期で、社内にも自分も開発に携わったlivedoorフレパなるSNS(2008年11月に終了)もあった。
それら以外にも色々な機能が盛り込まれすぎていて、「結局、このサービスって何をやりたい人が使うの?」という状態になってしまった。エンジニアは、作れと言われればどんな機能でも作れてしまう。しかしそれが必ずしもユーザが求めていた機能だったのか?
2.マーケティング&セールスが弱かった
1にも通じるのだが、良い物を作れば、勝手に利用者は増えるだろう、という部分があり、その他のサービスも、立ち上げたら、それがどう使われているか、誰に使ってもらうべきか、どう伝えればいいか、という部分が弱かったように思う。特にベースが営業の会社ではないため、作るのは上手いが、売る部分で苦戦したのかもしれない。
3.責任者が不明確
これも、ある規模以上のサービスになるとありがちなのだが、「それが誰がやりたくてやっているサービスなのか?」というところが弱いと、調子がいいうちは良いのだが、悪くなってくるとやはり誰しも責任は取りたくないため、無関心なムードになる。
権限と責任は一致しているべきと常々思う。
サービスは始めるより、終わるほうが難しい。サイバーエージェントでは、明確な撤退ラインを決めて、スタートするというが、そういった客観的指標があることで厳しい部分もあるが、ダラダラと無駄な状況が続くことを回避できリソースも伸びそうなサービスに集中投下できる。
・・・と、失敗例ばかり述べてきてしまったが、四の五の言わずにまずは立ち上げてみるというスタンスは評価されるべきだし、ここでの経験がその後のサービス開発にもつながっていると思う。
また、個人的にはネットサービスなんて100本立ち上げて1本ヒットがでればいいんじゃないか、とも思う。
今、一発目から当てようと思うのは虫が良すぎると思う。
だから、くじけずに成功するまでやめない、というのが一番大事なことと思う(そこまでやらせてくれる環境があるかどうかが、さらに大事)
※開発に関しては当時のエンジニアのブログで詳細に書かれているので、興味がある人は読んでみてください。
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