【筋肉は世界の共通言語】元高校球児が、10年かけ筋肉バカドットコムというサイトを作るまでの話。<5回目>
エンタメプロジェクトチームとの出会い
パソコンにも慣れ、僕はmixiで趣味の合う人の日記を読んだり、時に直接会っていました。
ある日、新宿のアルタ前近くの喫茶店にて、面白い事に敏感だった都内の男子大学生とmixi経由で会うことなります。
1時間ほど雑談をした頃でしょうか、
「分かりました。遠藤さんは、エンタメに興味があるんですね」
大学生が僕にあるブログを紹介してくれました。
そのブログの名は「ウケる日記」
数年後に200万部を超えるベストセラー「夢をかなえるゾウ」を世に送り出す水野敬也さんが運営する当時はまだ無名に近いブログです。
さらにそのブログには複数の秀逸な大人たちが登場し、共同して秀逸なエンタメ作品を作りだしインターネット上で爆笑を生み出し続けていたのです。
のちに、
「温厚な上司の怒らせ方」というDVDを産み出すことになる、映像ディレクター、古屋雄作さん。
それらを支援する俳優、シュナイダー山本さん、プロデューサー、市川マミさん。
素晴らしいエンタメプロジェクトチームの存在を知ることになります。
文章だけではなく、画像でも笑わせ、映像でも笑わせる。シュールというジャンルで圧倒的な存在感を放っていたのです。
彼らはいずれ多くの人を喜ばせる人たちだと確信、後輩オーディションに応募する
どんなに素晴らしい作品やモノであったとしても、それが人の目に届かなければ存在していないのも同じです。
ある日、作品作りに協力してくれる「弟子でもアシスタントでもない全く新しい制度『後輩』を募集!」という記事をアップされていました。
目的は多くの人を喜ばせること、その目的が達成できるのならば、どんな方法や手段でもいいと思っていました。だから目の前に現れた、僕よりも何百倍も才能がある方たちがまだ無名であるならば、まずは彼らを支援すれば、僕が結果を出すよりも何倍も早く、かつ沢山の人を笑わせたり喜ばせる事ができるはずなのです。
世の中の喜びの総量からみて、それが最善の選択だと思ったのです。
もちろん後輩だから給料なんてなし。飯はおごるかもしれない。という程度の内容だったと思います。
しかしこれは、ボランティアという言葉を、何倍も面白くして、ネットで募集しているエンタメなのです。
エンタメの最高峰、ここで行かなければ、男じゃない。
彼らのプロジェクトにおいて、文章やエンタメの基本構成は、イジメに近いイジリや面白いディスリであり、見る人によっては不快や誤解を与えてしまう部分があるものの、分かる人には必ずわかるシュールな面白さであり、またその秀逸さや根底にある健全なる想いは素晴らしいものでした。
応募へと踏み切ります。
YouTubeに顔だし本名出し、圧迫面接がはじまる
当時、Youtubeに顔だし本名出しをするなんてことは、危険極まりない行為と言われいました。
しかしその後輩オーディションはYouTubeへの顔出し本名だしが条件であり、しかも合否に関わらず公開されるとのことでした。合格しても後輩であるため、予測不可能なイジメに近いイジリを受けることになります。さらにブログにアップされていく。
はたから見れば、ただのリスクの塊。マゾの極み。
でも僕は彼らが世に出て評価されなければ、自分の考えていた方向性、つまりインターネットにおける、エンタメの未来は無いと思っていました。
僕よりも何百倍も才能のある方達です。
もしも理解されない、評価されないのならば・・・。
同時に、もし彼らが失敗したとしても、
少なくとも1人でも多くの支援者がいたという事を、彼らや世の中に発信する事だけでも、インターネットそしてエンタメにおいて大きな意味があると思っていました。
合格し、雑用スキルをひたすら積み上げていく
晴れて後輩オーディションに合格し、僕は「先輩」と呼ぶことを許されました。
そして先輩たちのジュースやコピー取り、買い出しなどの雑用をすることになります、
エンタメが好きなので、その想いを伝えていたのでたまにアイデアなど発言する機会を与えられるものの、やはり先輩たちとの発想力の差は歴然としており、ボツの連続。
やがて僕は発言する機会を徐々に失い、雑用ならば。という評価、ポジジョンを固めていくことになります。
一方、先輩たちが世の中に評価されるのは時間の問題でした。
そんなある日、水野さんと映像ディレクター古屋さんが毎週月曜日に行っていた
インターネットラジオに僕も呼んで頂けることになります。
そして後輩として、先輩からの課題や宿題をことごとくクリアできず、
クビも時間の問題だろうなと思い悩んでいた自分にある言葉が投げられました。
大次郎、お前。笑えるくらい筋肉鍛えて筋骨隆々になれよ
筋肉・・・。
ラジオの中で、漫画グラップラー刃牙の話しで盛り上がっていた時の事です
この言葉を発したのは映像ディレクターの古屋さんでした。
グラップラー刃牙にはビスケットオリバという黒人のキャラクターが登場するのですが、
そのキャラクターみたいになったら面白いよね。と。
僕はその時はまだ、グラップラー刃牙を知りませんでしたが、そのキャラクターの事を教えてもらったうえで、絶対に到達不可能な課題だと思いました。
多少なりともスポーツを真剣にやってきた身としては、ボディビルダーの世界がいかに過酷であるかも想像がつきましたので、これは絶対に僕にはクリアできないだろうと感じました。
ランドセルを背負って電車に乗ったり映像の収録現場に行くなど、メンタルのタフさと雑用だけが自分の取り柄だと自己分析していた僕は、その話しを一度持ち帰らせて頂くことに。
そして何日か悩んだ末に結論を出すことになります、
「古屋さん、僕、筋肉鍛えます。オリバ、目指します」
それは、僕一人だけが知っている、
「挫折」を前提とした孤独なエンタメプロジェクトの始まりでした。
つづく
著者の遠藤 大次郎さんに人生相談を申込む