キャベツの千切りなんてその辺の道端の雑草と同じだ!と思い、食べれなかった僕に父がかけてくれた魔法の言葉。

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著者: Shirabo Shirabo




何故だろう。子供というのは本当に
野菜嫌いが多い。
まるで誰かに教わったかのように
野菜嫌いが多い。

そして僕も例に違わずその一人だった。









小学生の頃だ。
僕は他の子に比べたら割と
なんでも食べれる方だったが
それでも一つだけ、
食べれないものがあった。






キャベツの千切りである。

でで〜ん(効果音)




不思議なことに、
キャベツが嫌いなのではなく
千切りにするとダメなのである。



もろに草の味がするのだ。
あの噛み締めるときの食感と香りが
その辺の道端の雑草と同じ様なものだと
感じていた。



母にそのことを伝えると、
母はにっこり笑ってこう言った。












道端に咲く一輪の花はとても綺麗じゃないの。







母は人の話を
まともに聴いてくれないのだろうか
メルヘンにもほどがある。
僕が伝えたいのはキャベツの話である。
そのまま我が家の軽自動車で
ネバ○ランドでもなんでも行けばいいのだと心底思った。





その時、ガラガラっと戸を開けて
台所に父が入ってきた。
糊の匂いとタバコの臭いが
混じった父の身体はいまでも鮮明に
記憶にある。

父は自営業で襖屋を営んでいた。
営業で市内を廻り、襖の張替えの
仕事を見つけてきては、自宅の一室で
黙々と作業を行っていた。
典型的な職人気質な人で、
無愛想で、無口だった。

でも、時折見る父の仕事中の後ろ姿が
かっこ良くて尊敬していた。







そんな父が珍しく、話題に入ってきた。




「どうした正治。キャベツ食べれないのか?」




僕はうん。と頷いた。

だって、道端の雑草みたいな味がするんだもん。マズいよ〜。どうしたら食べれるの?


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