ハイスクール・ドロップアウト・トラベリング 高校さぼって旅にでた。
私は肝硬変で死ぬだろう。
そのことだけは、はっきりしている。
だが、だからと言って墓は建てて欲しくない。
私の墓は、私のことばであれば、充分。
「あらゆる男は、命をもらった死である。
もらった命に名誉を与えること。
それだけが、男にとって宿命と名づけられる」
ウイリアム・サローヤン
ー寺山修司の絶筆「墓場まで何マイル?」
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高校2年の3学期の終わり、終了式のあと。
ぼくは教室の前に出て、クラスのみんなに挨拶をした。
「楽しいクラスでした。みんなも元気で」
拍手をもらい、サプライズでクラスみんなからの色紙と小さな花束を、学級委員長の女の子が渡してくれた。
ぼくをダーリンと呼んだ憧れのあの子だった。
とても嬉しかった。
「がんばってね」
クラスの女の子たちに声をかけられた。
ぼくは自分の選択した人生を誇らしいと思った。
こんなに晴れ晴れした気分で高校生活を終えれて、新しい人生を始められて本当によかった。
「完璧な高校中退」だ。
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「青い鳥は東京に行っても見つからないかもしれません」
と担任の先生に言われた。
「幸福とは幸福をさがすことである」
ジュール・ルナアルの言葉を心の中で口ずさんだ。
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「世の中ホンマにおもしろいな。何が起こるかわからんな」
旅で出会った不良少年の言葉と、旅から帰ってきてみんなから興味を持たれたこと。
その経験は本当に大きな意味があった。
世の中に偶然を。
奇跡をもっと起こしたい。
もっといろんな生き方、いろんな人がいた方が世の中おもしろい。
この感覚に、自分の人生を賭けることにした。
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みんなの卒業式
中退してから1年後。
忙しい時間を縫って東京から帰省し、ひさしぶりにT高校の中に入った。
かつての同級生達の卒業式。
ぼくは保護者席に座り、みんなが卒業証書をもらう様子をひっそりと見ていた。
タイムスリップしたみたいな感覚だった。
みんなとは、ずいぶん違う遠いところにいま立っている。
今日も晴れ晴れとした気分だ。
ぼくをダーリンと呼んだ学級委員のあの女の子と、卒業式の翌日、カフェで再会した。
その後、彼女は渡米し、東京とアメリカでメールや手紙のやりとりをずっと続けることになった。
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ハル:なんつうか・・・感覚なんだよな。
お前らだって覚えあっだろ?
日本にいて感じる独特の不安感・・・
かんな:アタシもあった。自分が何をやりたいのかすらわからずに、
夢さえもどっかうつろでそらぞらしく思える不安。
ハル:結局よ・・・ゼロを見ることなく百や千から
始まらされてたんじゃないかな、俺達・・・
気がついたらいきなり百の場所に立ってんだ。
かんな:うん、しかもその先きっちりレールが敷かれててね・・・
原点の必要ない応用とアレンジばっかり・・・・
ハル:俺は、どうしてもゼロから始めたかったんだ。
それが今日やっとつかめた気がする。
ージパング少年15巻(いわしげ孝)
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