ど素人 高田支配人の現場改革 6 立ちはだかる心の壁
・立ちはだかる心の壁
高田はバンケットの婦人たちに しばらくバンケットの仕事を手伝いながら
どんな苦労があるのか体験することを約束し、次の日からは 午前中だけ営業に出て
午後からはバンケットと厨房でその日の宴会や結婚式の準備を手伝い、宴会のサービスも一緒にやった。
昼ごはんは厨房で作り、営業マンも昼食時には帰ってきて厨房で15名ほどの社員が
一緒に食事をしていたが、その食事当番も買って出た。
おのずと午前中もだんだん営業に行く時間が無くなり、掃除やメンテナンスまで一緒にやっているうちに、ほとんど一日中 式場の中で仕事をするようになってしまった。
1ヶ月ほどこんな状態が続く中、厨房の調理長や男性スタッフとは徐々に心が通じてきて何でも言い合えるようになってきたが、バンケットのベテラン女性社員とは、なかなか打ち解けることが出来なかった。
高田支配人が2階の宴会場の横にあるスタッフ控え室に顔を出し、ビンを拭いたり掃除を始めると、いつの間にかみんな別の部屋に行ってしまっていたりした。
「バンケットのベテラン婦人社員たちと 心の壁をなくするには 何かいい手立てはありませんか。」
たまらずに A副社長に正直に気持ちを訴えた。
「今度 地元の農協とか病院なんかの宴会はいつあるんだ?」
「明後日 日本生命の営業マンたちの研修と宴会が一件、農協の定期総会と宴会が一件入っていますが、、」
「その時 お前が宴会に入ってお酌しながら 名刺を配って挨拶しなさい。さらに バンケットの責任者のIマネージャーを呼んできて 紹介し、出来たらお酒も少し一緒に飲んでもらいなさい。後日 Iマネージャーと一緒にこの宴会の責任者のところに挨拶訪問に行きなさい。」
「お酒を飲んだら 車でかえるのに危ないと思いますが、、、」
「お前は飲まずに Iマネージャーを家まで送ってあげなさい。」
「朝は、、、、」
「迎えに行ったら」
「、、、嫌がられると思いますけれど、、」
「嫌がれるんではなく お前がいやなだけだろ。お前が嫌っている限り向こうもお前を嫌い続けるぞ。」
(こ、これも因われにありなのか、、参ったな)
それでも この現状にほとほと困っていた高田支配人は 再度腹を決めてその通りにすることにした。
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