なんにもないから知恵がでる。コロナ禍で生まれた水着素材のマスク累計60万枚売上。水着メーカーの新たな挑戦
売るものがない水着屋
フットマークは今年で創業75年の水着・介護用品のメーカーです。赤ちゃんからお年寄りまでの健康づくりにお役に立てる商品をつくっており、そのうち水泳用品の売り上げが全体の65%くらいを占めています。
そんな根っからの水着屋の当社も、新型コロナウイルスの影響で窮地に陥りました。
私たちには、売るものがありませんでした。
いま自分たちにできることはなんだろう。苦しいのは私たちだけでなくお客様も同じ。
いま必要とされているもの…それは「マスク」。立ち止まって考える時間はありませんでした。日頃お付き合いのあるスポーツクラブのスタッフ様、介護施設の方々などからマスク不足のお声をいただいたことも大きな後押しとなり、水着素材でできたマスクをつくることになりました。私たちは水着屋なので、水着に使う生地はあります。ですが、もちろんマスクを作ったことはありませんでした。
マスクづくりに動きだしたのは社長、そして当時製造部門にいた私、石川稔介に白羽の矢が。なぜ、わたし?答えは社長と目があったから。私は今でもそう思っています。当社には、そんなこともあるのです。
そこからは試行錯誤の連続でした。
マスクのことは全く知らなかったため、まずは他社のものを購入しては見様見真似でサンプルを作るところから始めました。
はじめてなのに…つくったマスクは10種類以上
マスクはつけ心地も大事だけれど、肝心の飛沫を通しては意味がない。マスクとしての基本性能はもちろん、見た目も大事。そして呼吸のしやすさも重要でした。そこで立体的な形にトライしましが、何だか鳥の口ばしのよう。着けるのが恥ずかしいという社内の声…。試作は何種類にもおよび、ようやく形になってきました。お客様の声を反映しながら試作を繰り返し、結局最初に発売したマスクは10種類以上にもなっていました。それもそのはず働く現場によってお客様の声は、それぞれ違いました。
「とにかくマスクが必要」。そんなお客様の声に応え、一日でも早くマスクを発売することが第一優先でした。
水着素材のマスクは徐々に法人のお客様に広がり、ネットショップでも販売を開始。SNSなどから認知され、個人のお客様からも多くの注文をいただくようになっていました。
夏にむけて。水着素材+濡らして使うマスク開発へ
そして次に必要となるのは「夏用のマスク」。
ただでさえ、息苦しく感じるマスク。でも今年の中は、暑い中でも着けなければいけません。より快適に過ごせるマスクが求められていました。
候補にあがったのは、当初から使用していた水着の素材と冷感素材の2層式のマスクでした。弊社はもともと水の中で使用する商品ばかりでしたので、マスクも水に濡らしたほうが、より冷たく気持ちいいのではないかということで企画しました。
この冷感素材は、すでに介護現場などで使われるタオルやインナーをつくってきた実績があり、「顔に着ければひんやり気持ちいいはずだ」というマスクにした時のイメージも想像でき、かすかな手ごたえがありました。
濡らすので口元にマスクが張り付かないよう、マスク内での空気の通り道の確保が必要でした。縫製は難易度の高いものでしたが工場の方にもご協力いただき、センター部分に芯を入れた立体的な構造が出来上がりました。
鳴りやまない電話、「マスク屋」になる
夏向けにはマスクやネッククーラーなど数種類を立て続けに発売。
有難いことにテレビ取材が相次ぎ、瞬く間に注文が殺到。経験したことのないような忙しい毎日が続き、受注現場も生産現場もうれしい悲鳴で全社総出での協力体制が必要となっていました。ネットショップの応援で急遽人員を他部門から増員し、検品や出荷作業の応援で社員が交代で倉庫へ行く日もありました。一年前はこんな状況が訪れようとは、誰もが想像していませんでした。
当社はこれまで各部門がそれぞれのチャネルのお客様に対し、自分たちで開発した商品を販売していました。しかしコロナ禍で「マスク」という、たった一つの商品を通じて、全社の絆をより強く感じることになったのです。例年であれば学校のプール開きがある6月。今年は水着の姿は少なく、かわりにマスク屋と化した現場がありました。本業は振るわず厳しい状況ではありましたが、多くのご注文をいただいたことに対し工場や販売先のお客様から応援をいただいているありがたいようなそんな思いでした。
お客様の声が次なる一手に
マスクをに対しては、これまでとは比べものにならないほどのレビューの数が増えていきました。お褒めの言葉もあれば、改善点や厳しいコメントをいただくことも。改めてB to Cの難しさを感じることも多々ありました。出荷が立て込み、ずいぶん発送までお待たせもしてしまいました。ですが、お客様の忌憚のない意見一つひとつが大きな財産となりました。突然マスクに慣れなければいけない生活がはじまり、様々なマスクを試したという方もいらっしゃいました。その中で選ばれるマスクになるには――。私たちはマスク戦線のど真ん中に立っていたのでした。
さまざまな方の支えがあって
私自身はと言うと、開発に着手してからはマスクだけのことを考えている毎日でした。でも不思議と大変だったという気持ちより、楽しかった気持ちの方が大きかったです。
普段ものづくりをしていると、それなりの制約はあります。でもマスクは未知の世界。自分のアイデアをそのまま実行し、カタチにし…。こんな自由にできる経験はなかなかありませんでした。
何より、多くのお客様に喜んでいただけたことが何倍ものモチベーションとなりました。
フットマークマスクは、お客様・仕入先様などさまざまな方のご協力、ご厚意があったからこそ生まれたものだと思っています。
特に開発を始めて間もない頃は、何枚作ればいいか、何枚売れるかまったく予測ができない状況でした。しかし材料だけは確保しなければならない。そんな状況の中で生地などを提供してくださった仕入先さんには本当に助けていただきました。もしかして全キャンセルの可能性だってあるのですから。
私自身も、そうは言ってもどこかで不安はありました。本当に売れるものが作れるのか?生産できるのか?当時は工場も縫うものがありませんでしたから死活問題。マスク生産が軌道に乗ってからは、少しホッとしたことを覚えています。
今、マスクは世の中にあふれています。一人が複数枚持つのも当たり前。さらに新しいものが求められていると、ひしひしと感じています。それにこたえるべく、今後もフットマークらしいオリジナリティのあるマスクを開発していきます。どうぞご期待ください。
これまでにつくったマスク(試作品含む)
水に濡らして使うマスク≪水着素材+冷感素材≫「FOOTMARK COOLISH SUMMER MASK SP」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000012937.html
≪二層式・冷感素材≫「FOOTMARK COOLISH SUMMER MASK」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000013.000012937.html
「じんわ~りあたたかマスク+抗ウイルス/飛沫防止」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000012937.html
「ファンデーションがめだちにくいマスク」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000018.000012937.html
大切な人の健康を想うやさしい気持ちをカタチにした「ギフト・マスク」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000019.000012937.html
■フットマーク株式会社
東京墨田区にある、創業75年目の水泳用品・介護用品・健康インナーのメーカーです。水泳分野では水泳帽子、学校用水着において高い国内シェアを誇っています。また介護分野では1980年に「看護」と「介助」という言葉を組合せ、「介護」という言葉を発明。1984年に商標登録しています。赤ちゃんからお年寄りまで”健康づくり”に役立てる商品を数多く創っています。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ