コロナ禍のマーケティングリサーチを救った、「オンラインインタビュー」の発展秘話
コロナ禍のマーケティングリサーチを救った、「オンラインインタビュー」の発展秘話
―マニュアル化とシステム開発に向け、走り抜けた2020年
―新型コロナウイルスと、インタビュー調査
新商品の開発、改善の起点に不可欠となる「マーケティングリサーチ」。その中でも、実際にあらゆる生活者と対面し行う「インタビュー調査」は、消費者インサイトを探るに最適な調査手法です。
株式会社アスマークでは、インタビュー調査を得意とするマーケティングリサーチ会社として、今年20期を迎えました。
2020年、新型コロナウイルスの煽りを大きく受けることとなった消費者へのインタビュー調査。そこで当社でいち早く取り入れたのが「オンラインインタビュー」でした。
3月の本格始動以降、業界規模では圧倒的ともいえる800件前後の調査実績(2020年12月現在)を残し、9月には自社開発システム「i-PORT voice」もリリース。今回はそんなオンラインインタビューの受け入れ~システム開発の裏側をご紹介いたします。
―「オンラインインタビュー」への挑戦は10年前
アスマークのオンラインインタビューへの初の取り組みは、10年前のこと。オンラインサービスやデバイスの普及前であり、ガラケーユーザーが大多数を占めていたような時代でした。
「i-PORT voice」の開発責任者である田名網は、当時担当営業として、電話回線を利用したオンラインインタビューの環境整備へ取り組みました。
試行錯誤を繰り返し体制化に努めましたが、通信環境の整備にまだまだ時代は追い付かず、軌道に乗るまでには大きな困難が伴いました。
やがて時代と共にSkypeやzoomをはじめとするオンラインサービスが台頭する中で、オンライン領域へ勝機を感じた田名網。彼を筆頭に、アスマークではオンラインインタビューにおける新たなサービス領域拡大への動き出しを開始しました。
i-PORT voice 開発責任者・田名網規雄
そんな中、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令。アスマークが得意とする、会場来場型(参加モニターがインタビュー会場へ出向き、対面インタビューや試飲・試食等を行う調査種別)のインタビュー調査は全てストップし、業界全体も大きな打撃を受けました。
早急に代替手段を…という渦中において、かねてからサービス化を検討していた「オンラインインタビュー」はアスマークの大きな打ち手となりました。
消費者のライフスタイルや意識が急激に変化したことを受け、企業のマーケティング活動には更なる加速が求められます。アスマークでは社員一丸となり、オンライン調査という領域の確立へ尽力し、「定性調査」の停滞を防ぐことへ一心に努めました。
―オンラインインタビュー「専用システム」の開発
とはいえ、経験者は多くはなかった”オンライン”によるインタビュー。主催者はもとより、参加モニターにとっても同様であり、まずはそれぞれの環境整備からスタートしました。
最初は通信トラブルや参加モニターの接続環境の確保など、未知なる困難の連続でした。しかし”定性調査に強い”アスマーク、2か月で約25倍と実施件数は増大し、専属チームを組みトラブルシューティングを強化。大きく体制化を行い、オンラインインタビューのサービス確立へ実施は軌道に乗ります。
2020年5月には、多数の知見を活かし、初めてオンラインインタビューへ取り組む方に向け、WEBセミナーの複数開催やホワイトペーパーの公開など、無料でお役立ていただける情報発信にも積極的に注力しました。
WEBセミナーの様子
一方、定性調査に必要なスペックを搭載する「専用システム」の在り方へ田名網は疑問を持つように。ヒアリングできる内容への限界など、まさにオンラインならではの悩みを経て、インタビューをバックグラウンドで見学するクライアント目線へ100%応えられていないと痛感し、いよいよシステムの開発へ踏み切ります。
―目指したのは、”三者三様”なシステム
まず開発コンセプトとして、「クライアント(見学者)」「モデレーター(司会者)」「モニター(生活者)」という、”3つの視点”を満たしたシステム作りへフォーカスしました。
既存のオンラインシステムの場合、双方向的な機能に限られているサービスがメインとなり、3方向に向けた当事者目線を具現化できているシステムが多くありません。そこで搭載したのが「バックルーム機能」でした。
i-PORT voiceのバックルーム機能 ※イメージ
バックルーム機能は、モニターに分かることなくインタビューを裏方で観察することができる仮想空間になります。
通常のインタビュールームには常設されているスペースであり、かつzoom等の既存オンラインシステムには備え付けのない機能です。
リサーチは、ニーズの元となる”生活者の素を引き出す”ことが非常に重要となります。バックルーム機能があることで、参加するモニターは見学者の存在に気付かず、本質を引き出せるインタビューの実現に近づきます。
その他にも、関係者内でのインタビュー中の議論や、モデレーターへの指示出しを素早く行える「チャット機能」や、グループインタビューに欠かせない共感機能「”いいね!”」など、当社の定性調査に関するノウハウを多数搭載した自社システム。開発から3か月と、異例の速さでシステムリリースへ至りました。
2020年12月現在では、先月比7倍の利用実績と、好調に活躍の場を拡げています。
―オンラインインタビューで広がる、マーケティングリサーチの新時代
2020年、ニューノーマルなマーケティングリサーチの形として浸透した「オンラインインタビュー」。一見、通信環境の整備など不安要素が交じるイメージもあるかもしれませんが、「調査クオリティの向上」という観点においては、多数のメリットもあります。
例えば、オンラインという特性を生かし、普段会場にお越しいただけなかったシニアや地方在住のモニターを対象としたインタビューが可能になりました。また、自宅という環境下を利用し、よりモニターの自然体な意見が得られる点や自宅風景の観察が可能である点も魅力的です。
Withコロナ時代におけるマーケティングリサーチ会社の責務とは何か、2020年は社員一同にとって日々が試行錯誤の連続でした。
オンラインインタビューという新たな手法を武器に、幅広い地域、世代の人々の声を拾い上げ、アスマークはマーケティングリサーチの新たな変革と可能性の開拓にこれからも尽くしていきたいと思います。
株式会社アスマーク マーケティングコミュニケーショングループ
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