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「女性指導層3割」目標を阻む高い壁 「社外メンタープログラム」が切り札なるか 導入企業2社の事例から紐解く

著者: 株式会社Mentor For

政府は2020年12月に閣議決定した第5次男女共同参画基本計画で、指導的地位に占める女性の割合を3割へ引き上げる目標の達成時期を2020年だったところから「2020年代の可能な限り早期」に先送りしました。日本の女性管理職比率は2019年に14.8%(労働力調査より)と、国際社会での遅れが目立ちます。


国内の企業では管理職育成に向けた様々な施策が動き出しているのも事実ですが、現場の社員からすると、まだその変化を実感できていない企業が大多数ではないでしょうか。その中で、Mentor Forの主事業でもある「社外メンター」の存在、すなわち、人生の少し先を行くキャリアの先輩たちが“相談役”を担うことが企業における女性リーダー育成の壁の一つの突破口になるかもしれない、そんな手応えを感じ始めています。


なぜならば、実際に社外メンターの導入先企業では、メンティ(女性社員)や組織の変化が目に見える形で起こり始めているからです。



今回は、Mentor For代表の池原真佐子が実際に社外メンタープログラムを導入いただいた2社、ソフトバンクとエーザイの人事担当者の方からプログラム導入の背景と女性社員たちの変化についてインタビューさせてもらいました。

「面」で寄り添う施策から「個」に寄り添った社外メンターへ:ソフトバンク株式会社


ソフトバンクさんは2018年10月?よりMentor Forの社外メンター派遣プログラムを導入。さらに2019年秋からは社外メンタリングを受けた女性管理職がメンターとしての知識習得・経験を積み、社内の後輩女性たちをメンタリングする新たな流れが生まれ始めています。メンター制度を社内に提案した女性SDGs推進室の日下部さん、人事本部の木戸さんにインタビューさせてもらいました。

―社外メンター派遣プログラムを導入した背景について教えてください。

日下部さん:3つあります。1つは女性特有の“自信の無さ”。管理職やリーダーポジションに対する女性の自信の無さというものに対してアプローチできる施策が必要ということ。


2つ目は、これまでの研修やワークショップといった“面”での打ち手も必要ですが、人や状況の多様化が進むうえで、「女性だから子育て(に悩んでいる)だよね」と一概にまとめてしまうことが、どうなのだろうと。それこそポジションや部署、家庭環境によって本当に複雑なので、個々に寄り添った施策が必要でした。


3つ目は、より上位のリーダーを作ることが、会社全体としてパイを増やしていくところに紐づくという状況の中で、上に行くほど人が少なくなってくるので、上に行くところに関してはある程度仕組みを作り、個別にサポートしていくようなものが何か必要ではないかというところで、社外メンターという施策にチャレンジしてみたいと考えたからです。

―実際に社外メンタープログラムを導入して、社員の変化はいかがでしょうか。

木戸さん:弊社からお願いするメンティ(女性社員)へのマッチングをかなりよくしていただいているのだろうと思います。例えば社内だったら、そんなにバリエーションが無いですし、メンタリングを受けた人たちが、この仕組みに対して、社内ではありますが「ありがとう」と言ってくれており、(導入して)非常に良かったと思っています。

―女性リーダーを増やすことへの思いを聞かせてください。

日下部さん:SDGsも2030年までに達成するという目標を持って「今変えないとダメだよね」という意識でやっているのだと思いますが、日本の女性活躍や女性リーダーを作ることに関しても、本当にここ数年でググっと力を入れてやらないと、一生変わらないのではないかと思うくらい、今、何かの仕組みで大きく変えていく必要があると思います。


このようなメンター施策がその一つになるとすごく良いと思いますし、私はそうなるとすごく思います。この日本や今の組織の状態にすごく合っていると思うので、そういう意味で期待もあるし、こういう文化が根付くとすごく良いなと。


木戸さん:女性リーダーを増やすということが「特別に頑張らないといけない」とか「何かを捨てたり選択したりしなければならない」ではなく、自然に目指せるようになると良いのだろうなと思っています。必ずしも管理職ではないにしろ、自分のライフワークとして仕事で目指したいものを、もっと自然に言えて、目指せて、その結果なれるのが良いなと思っています。“自然に向けて”という感じでしょうか。

社内には知られたくない「心理的安全性」が社外メンターの魅力:エーザイ株式会社

エーザイさんは●年●月よりMentor Forの社外メンター派遣プログラムを導入。当初は・・・・・。社外メンター制度を社内に提案した・・・・部の松井洋子さんにインタビューさせてもらいました。

―社外メンター派遣プログラムを導入した背景について教えてください。

松井さん:「心理的安全性が担保されている」というのが、非常に大きな魅力の1つでした。社内だとどうしても「組織のメンバーに知られたくない」「他の組織長には相談しづらい」とか。あと女性の方ということで、男性の方には聞きづらい結婚や出産のことなどは、聞きづらいのではないかと考え、社外の方に、心理的安全性が担保された中で相談できる場所をご提供いただけるのではないかと考えております。

―社外メンター導入後の変化についてはいかがでしょうか。

松井さん:本当は自分の一日の業務の中で、自分のキャリアも考えながら仕事について考えても良いはずですが、目の前の業務に精いっぱいになってしまい、「自分は将来どうしていきたいのか」ということに思いを馳せる時間を取ることができなかったんですね。そういった時間を定期的に、社外の方と話す時間を保てたというのは、私にとってはすごく大きな財産でした


マインド面では、それまではどちらかと言えば、与えられている役割期待に対して応えていきたいというような・・・「受け身」だったとすごく感じるんですね。何も示されていなかったから「ああ、自分は期待されていないんだ」と思うのではなく、自分から示して何かを取っていくといったマインドセットが大きく起こったというのがまず一つあります。


パフォーマンス面では、自分の強みをメンターが的確に教えてくださっていたので、「そういえば、私はそういう強みがあるんだ」と認識しながら「それを実業務によってどのような提案につなげていけるのか」ということに反映させることができました。

―女性リーダーを増やすことへの思いを聞かせてください。

松井さん:基本的な考えとして、女性・男性・年齢かかわらず、本当に皆さんのそれぞれの能力が開花できる、認め合える、尊敬し合えるという部分をシームレスに行える職場、すごく生き生きとしているところを自分の中ではゴールに設定しています。


「いろんなイベントがあったとしてもあなたらしくしていて良いんだよ」ということを、特に自己肯定感が低いと言われている女性の方に、まずは伝えていきたいです。

「社外メンター」は女性リーダーが育つ突破口に

女性を育てるというと、育休、時短など「ママフレンドリー」な施策を思いつく方も多いかもしれません。「女性が長く働ける選択肢」としては絶対不可欠ですが、リーダー育成にはそれでだけでは不十分です。


 多くの男性には、新卒の時から「ロールモデル、相談相手となる同性」がたくさんいます。組織人としてのイロハから管理職としての振る舞い、人生設計まで。しかし女性はどうでしょうか。リーダーを目指そうと思っても、上司はほぼ男性(しかも育児家事は妻が担当)で、自分自身のキャリア設計の参考にすることが困難です。


配偶者の仕事(転勤族かどうか)、子供を持つ持たない、産後の働き方、育児(幼児期から子供の受験、習い事の送迎など)が全て「働き方・キャリア」に大きな影響を持ってしまうのが女性です。不妊治療をしながら管理職ができるのか、受験期の子育てをしながら部長が務まるのか・・そのような悩みの糸口となるロールモデル、メンターは社内にいないのが現状です。「女性は管理職になりたがらない」とよく聞きますが、この現状で「管理職になりたい!」と意欲を持てる女性がむしろ少数なのです。


この現状を突破する鍵は「ロールモデルとなる、同性メンター」を社内外に提示していくこと、しかも、「時短部長」「配偶者の転勤帯同しながらもリモートで管理職」「配偶者と育児を半々で担当している執行役員」など、多様なタイプの女性リーダーがいるだと、実際に社外メンタープログラムの導入先企業の変化を見ながら私たちは確信しています。


「どうやって’未来の活躍のイメージ’をつくるのか」を社外メンターを見ながら感じ取る過程こそが、実は女性リーダーが育っていくための鍵なのではないでしょうか。




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