“呼吸がしやすい” “眼鏡が曇りにくい” “マスクをしたまましゃべりやすい”を追求してたどり着いたマスク~約2週間 スピード開発の裏側~
医療用品メーカーのダイヤ工業株式会社(本社:岡山県岡山市 代表取締役社長:松尾浩紀 以下ダイヤ工業)は呼吸しやすく、蒸れにくい飛沫拡散防止のエチケットマスクとして着用できる立体構造マスク「murenMask(ムレンマスク)」を2020年5月末から販売、高付加価値タイプとして保温性、抗菌性のある「Silky murenMask(シルキームレンマスク)」を12月から販売しています。
なぜサポーターメーカーが布マスクを開発する事になったのか、開発責任者であるVice Chief Engineerの川上真幸氏に振り返ってもらいました。
■マスクの息苦しさを減らしたい
マスク不足を少しでも解消したいと、2020年4月からインナーウェアなどに使用されている素材を活用したソフトな布マスクを販売していました。気候が良い時期は快適に着用でき評判も良かったのですが、少し暑い日が続き出すと呼吸するたびに口に張り付くようになり息苦しくなっていました。
社長の松尾との会話の中で「もっと快適なマスクを作れるのではないか、ダイヤ工業らしい夏用のマスクを作って世の中の方に喜んでもらいたい。」という言葉をきっかけにすぐ開発に着手しました。
世間ではフェイスガード、マウスガードも普及しはじめ、直接飛沫を飛ばさない為のエチケットマスクという考え方も定着しつつありました。ただ使用するには見た目の抵抗感もあり、機能はマウスガードで見た目はしっかりとしたマスクが作れないかという構想がありました。
また、マスクを着用したくても着用できない理由がある方もいますし、屋外でランニングをされる方もマスクの着用が必要になっていました。特に東京の皇居周辺のランナーのマスク使用についてもニュースで取り上げられ、話題性は高まっていました。実際、ダイヤ工業と同じ建物内にあるスポーツジムや近隣のスポーツショップからも声は聞いていましたし、大手のスポーツメーカーのマスクは想定の数十倍の注文が殺到し、即完売で欠品状態が続いているという状況でした。
■基本構造はすぐ浮かんだ
空間維持をさせる構造を考えていて、基本構造はすぐに浮かんでいました。その構造を実現させる為に様々な手段を試しました。布マスクを立体にする為にワイヤーを中に組み込んだり、成形品をポケットに差し込んだり、どのように口の周りに空洞を作り出すか、空気を流れさせるかを模索しました。
今までのサポーター作りでは身体にフィットさせる事を重視しており、その部分は得意でしたが今回は立体(空間)を作るので今までの方法とは逆の発想になりました。
基本となる構造試作はベルトとプレートを使用してすぐ作れました。そのままだと肌当たり等に問題があったので、その構造を実現する為に自社製品のサポーターにも使用しているメッシュ素材の中から最適なメッシュを選び、素材を組み合わせて試行錯誤し何十種類も試作を作りました。マスクの試作は装着検討する人数分作成しないと試せないのでデスクは常に試作の山でした。
■海外生産への挑戦
社長から「すべての製品開発業務をストップしてマスクに専念してほしい」という指示がありました。2020年5月は緊急事態宣言の影響で会社全体がテレワークをしている中、生産をお願いしている協力工場に自宅から直接通いました。
現場の担当者と入念に打ち合わせを行い、本体に使用されるフリーカット素材の組み合わせや、縫製に関するアドバイスを頂きました。
全部で10種類以上の素材を集め、どういう形がベストか検討して、なんとか生産をスタートする所まで辿り着けました。
しかし、実際に工場が稼働してみると繊細な素材を使用している為、縫製が難しく想定していたよりも時間がかかり、すぐに多くを生産することができませんでした。このままでは必要な方に必要な時にお届けできない状態になってしまうという不安が出てきました。そこで国内生産と海外での製造立上げを同時に進めました。ダイヤ工業のオリジナルサポーターは全て日本国内で生産している為、海外生産はかなりの挑戦でした。試作の送付だけで何日もかかってしまいますし、コロナ禍で直接現地へ行く事が出来ない為、縫製の細かな修正箇所が伝わらない事もあり大変でした。海外での新製品の立ち上げには通常、最低2カ月はかかるということでしたが、工場サイドのスピーディな対応のおかげでなんとか約1ヶ月での海外生産立上げを実現できました。
■販路模索の中の光
サポーターの販路は全国の整骨院、接骨院を中心としていましたが、今回発売したムレンマスクはスポーツを楽しむ一般の方にも知ってほしいと考えていました。
自社製品のコンプレッションウェアを今まで販売してくださっていた岡山市のエイコースポーツ様が開発段階からムレンマスクを一ユーザーとして評価してくださり、発売と同時にお取り扱い頂けた事で販路拡大につながりました。
■マスクが架け橋に
ダイヤ工業のサポーターは運動器の悩みがある特定の方向けに作成していましたが、万人向けのマスクを作ることでダイヤ工業をご存じなかった多くの方々にダイヤ工業を知って頂けました。また、今までのサポーター商品では影響が少なかったSNSによる反響も体感することができました。マスクの販売によって、今まで取引していなかった他業界からのお問い合わせも増え、想定していた以上に販路が広がっていきました。マスクは架け橋になる商品だと思いました。
嬉しかった事はご案内していなかった知り合いの方や家族も使用してくれていたことと、本社1階のアトリエから、ガラス越しに自社のサポーターショップが見えるのですが、ダイヤ工業の仲間がお昼休みなどにムレンマスクを購入してくれている姿を見かけることですね。一番着用率が高い自社商品ができました。とても気に入って着用してくれています。
また、今回のマスク開発をきっかけに顧客のニーズに応えるタイミングを逃しかねない事は極力削減し、会社全体で開発スピードの大切さについて考え直すこととなり、開発フローを見直す事ができました。
■未来への展望
まだムレンマスクを提供しているエリアが限られている為、日本全国、世界中で蒸れにくいマスクを必要とされている方にお届けしていきたいと考えています。一年中気温が高い国でも「murenMask(ムレンマスク)」がお役に立てると期待しています。
今後はファッション性を高め、更なる快適性を追求していきたいと思っています。美しく小顔に見えたり、肩の負担を減らすなどマスク着用が付加価値を高める行動となる商品開発を進め、社会に貢献していきたいです。
開発者:川上真幸 ダイヤ工業株式会社 Vice Chief Engineer
1999年同社入社 医療短期大学で医用デザインのプロダクトデザインを専攻
▶murenMask(ムレンマスク) https://www.daiyak.co.jp/product/murenmask/index.html
▶ダイヤ工業株式会社 http://www.daiyak.co.jp/
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