『小学生とその母親を感動させた昭和女子大と三恵が開発したファーストブラ』開発ストーリー
2020年5月 三軒茶屋の下着メーカー三恵と昭和女子大現代ビジネス研究所とが共同開発した『小学生とお母さまの意見に寄り添って開発したファーストブラ』がキャンパス発この一品という日経新聞の企画で3位に入賞した。その影響もあり、現在は生産が間に合わず予約販売となっている。研究開発期間約2年間を有して開発されたファーストブラがどういった経緯で開発されたのかを紹介します。
【きっかけ】
昭和女子大学現代ビジネス研究所から、三軒茶屋商店街へ「学生がビジネスの実践を経験できる場を与えてほしい」という要請があり、いち早く手をあげたのが株式会社三恵の飯島社長であった。以前から下着大手メーカーが某大学とのコラボで商品開発を行ったという事例を知っていたため、昭和女子大とも同じような取り組みができるのではないかと考えたからであった。そして2017年3月に第一回目の会議が行われた。三恵からはインナー事業統括責任者兼デザイナーの佐藤が参加した。お客様の悩みを解決する下着メーカー三恵の飯島社長が出したテーマは「ファーストブラ(はじめてのブラ)」であった。飯島社長は以前から小学生ぐらいの子供をもつ親から相談されていたからだった。「どれを買ったらいいのかわからない」「買っても嫌がってなかなか着てくれない」などの声があったそうだ。
(昭和女子大学現代ビジネス研究チーム)
学生たちが世田谷区の小学校と中学校を調査
【調査No.1 世田谷区の小学生調査】
世田谷区の小学生とその母親へのアンケートとインタビューおこなった。
アンケート結果
- 色は白が63%であった。
- 形は71%がブラキャミールでダントツであった。
- かぶりやワイヤー入りブラタイプは、きつく着なくなる子が多い。
- ゴム部分、ホック等しめつけを嫌う傾向がある。
- 支える機能よりしめ付けのないブラを選ぶ。
- ブラジャーは、ブラとキャミソールを着るのでめんどくさい。
- 洗いにくいブラが多い。
母親へのインタビュー
- 締め付けがなものがよい
- 着心地を重視したい
- シンプルなものがい
- かわいいものがいい
- U社のブラトップのような感じがいい
【調査No.2 世田谷区の中学生調査】
世田谷区の中学生にアンケートを行った。
アンケート結果
- 色は白か淡い色が良い
- 淡い色のアンケートでは青がトップで次にピンクとなった。
- サイズはカップよりも身長表記が良い。
- 肌に優しい柔らかいものが良い。
- 吸汗性、吸水性の高いものが良い。
中学生のアンケートでは、より具体的な意見が多かった。
【学生の経験談】
- ブラに求める機能は、着心地より支え重視。
- どの時期にどのブラをつければいいかわからなかった。
- 周りの子の影響(ブラに対する憧れ)。
- ブラをつけると少し恥ずかしい。
- かわいいものが少なかった。
モニター実験
【市販品を使ってのモニター実験】
大手の市販品6種類を集め、小学生へのモニター実験を行った。
小学6年生2名に市販品を着てもらい感想を聞いた。
- 名前のタグが必要。
- 胸元が見えてしまうVネックはNG。
- 柄がないか、薄いものが良い。
- メッシュ素材は特に気にならない。
- 通気性が高い方が良い。
- アジャスターは調整しやすいように前につけてほしい。
- アジャスターはランドセルが当たらない位置が良い。
- アンダーゴムは柔らかく伸びるものが良い。
- 生地はU社、M社のものがよい。
- タンクトップ型はサイズ調整ができない。
市販品を着比べることによって、より具体的に調査することができ、グッと商品開発へ近づいて行った。
生地実験
学生3名が、市販品を使って、吸湿性・吸汗性を調べる実験を行った。
1人あたり2時間を費やし大学の専門家指導の下、計測器を使いながらの実験。
市販品を着用し、パット部分に計測器を固定。
静止状態5分、運動状態5分、運動後の静止状態5分の計15分間を計測した。
運動はルームランナーを使用。
計測した胸部の湿度と温度をExcelに落とし込みグラフ化した。
実験結果からW社の素材が一番吸水・吸湿力が高いことがわかり、素材については、W社のものを参考にするという結果となった。
サンプル案決定
調査や実験の結果から開発商品の構想がまとまった。
(基本仕様)
- 形…ブラキャミソール
- 色…3色(白、淡い青、淡いピンク)
- サイズ…140、150、160
- 素材…レーヨン(リヨネル)、ポリウレタン、カップ部分は綿
(仕様)
- ゆるやかなネック(セーラー服やシャツから出ないようにする)
- 前部にアジャスター
- W社のような綿混のパッド
- U社のような柔らかいゴム
- 名前タグ
- タグは裾の位置
サンプル作成後の実験とモニター調査
作成されたサンプルを着用し、再度温度と湿度の実験を行った。
青のラインがサンプルとなる。湿度に対してはダントツの結果となった。温度に対しては、平均並みという結果となった。通気性を重視するため、生地はこのサンプルのタイプを選ぶこととなった。
そして再度サンプルを使って小学生のモニター実験も行った。
【最終サンプルへ向けての考察】
1、生地について
柔らかさをアップさせるために椿油加工を追加する。
汗をかいた後の臭いが気になるということで消臭加工を追加する。
2、アンダーゴムについて
アンダーゴムを一周使ったものは、締め付けが強いため、前側部分の半周のみにする。
3、アジャスターについて
小学生のモニターインタビューで、アジャスターが前部にあるとランドセルを背負ったときに当たって痛いという」意見があったため後方部に変更させた。
4、名前タグについて
林間学校などで持ち物がわからなくなる可能性があるため、名前タグは必須。
5、品質表示タグ
品質表示タグが当たって痛いという意見があり、簡単に切り離しができるように設計する。
6、デザイン
はじめて使うものはなるべくシンプルなものの方が使いやすいため買いやすいという意見があった。
7、カラー展開
中学生アンケートを参考に、淡い色はパステルブルーに決定した。他のカラーは王道の白と紺となった。
商品の完成と発売
(学生が考えた商品ロゴ)
第一回目の会議から、調査、実験を繰り返し約2年後、最終サンプルがついに完成した。学生たちも生まれて初めて自分たちが一生懸命考えてできた商品を見て、感動していた。2019年3月ついに三恵公式オンラインショップ、三恵楽天市場店、三恵ヤフーショッピング点で発売された。初回のロットは500枚であった。この500枚は約半年間で完売した。ネットショップでは、購入者の商品レビューというものがあり、感想を直接みることができる。学生たちは、心配そうにレビューをチェックした。
「とても良いです!リピしてます!金額が少し高いけど、それ以上に良いです!小学6年の娘も気に入ってます!」
肌触りもよく、着やすいみたいでよかったです!思春期なので、親がいい物を選ばないと思い探してました。良い物に出会えてよかったです!
締め付けが嫌いな娘が着てくれています。近くのスーパーで買ったものは着てくれなったのに。
「着やすくて透けないし、何よりも肌触りが気持ちいいとの事でした。調節も背中で出来るので、胸の方を意識しなくてもいいそうです。買って良かったです。」
こちらの商品後ろのゴムがない割には胸のところにフィット感があり洋服を着て胸もあまり気になりません。
なにより着心地の良さに娘がとても気に入りました!
慌てて色違い購入して全色かってしまいました。
レビューを見ればわかる通り、これだけ多くの反響があり、好評を頂けることができた。この内容を踏まえて、学生に感想を聞いてみた。
「世の中に愛される商品をつくるということは、本当に難しいことだと思います。困ってる小学生や中学生、そのお母さんに対して、これほど喜んでもらえる商品をつくれたことは、とてもうれしいです。人を喜ばせたり感動を与えられることを学生のうちに体験できて本当に良かったと思いました。」
※プロジェクト参加学生の感想文より
この「ファーストブラ」は、販売から1年が経ち、累計販売数は約2000枚となっている。今回『キャンパスの一品』に選ばれたのをきっかけに広まり、現在は生産が追い付かず、予約販売になるまで成長することができた。
「この昭和女子大とのプロジェクトは毎年行っております。今後も三恵は、たくさんの方々の協力を得て、皆様に喜んでいただけるような製品を作っていけたらと思っております。」三恵インナー事業統括責任者 佐藤明子より
是非多くの方々に利用してもらい、喜んでもらえたらと思う。
■販売ショップ
・三恵公式オンラインショップ
https://www.brassiere-shorts.jp/item/c5570/
・三恵楽天市場店
https://item.rakuten.co.jp/sanchya/c5570/
・三恵ヤフーショッピング店
https://store.shopping.yahoo.co.jp/sancha/c5570-646-ik001.html
■会社情報
株式会社三恵
〒154-0004
東京都世田谷区太子堂2-16-6
TEL:03-3706-6050
FAX:03-3706-8816
URL:https://www.brassiere-shorts.jp/
E-MAIL:info@sankei33.com
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