衰退する漆芸産業で唯一のブーム!コロナ禍に売上6倍「金継ぎキット」の秘密
私たちは、大切にしていたのに壊れてしまった器を日本の伝統技法「金継ぎ(きんつぎ)」でよみがえらせ、一点モノの新たなお気に入りとして長く使っていけるサービスを行う会社です。
当社の主力商品、金継ぎキット(商品名:つぐキット)がどのようにコロナ禍で売上を爆増させ、多くの方に愛される商品になったかについて、代表取締役の俣野由季がお話をさせていただきます。器は壊れたら捨てるしかないと思っているあなたに、割れたのに捨てられずとっている器がある方に、読んでいただけるとうれしいです。
俣野由季:大手外資系製薬会社に勤める傍ら、金継ぎの修行をし、お免状を取得。金継ぎに特化した会社を設立し、脱サラ。現在、日本の伝統金継ぎを自分で体験する・職人さんに依頼するサービスを、国内だけでなくグローバルに展開中。
日本の漆芸産業はプラスチック製品の台頭などにより、ここ数十年衰退し続けています。大量生産・大量消費の使い捨ての時代となった現在、企業によるSDGsへの取り組みなども注目されています。
そんな漆芸業界で唯一、密かに人気が上昇している伝統技術がありました。金継ぎ(きんつぎ)です。代表の俣野は自分の大切な器を割ってしまった時に金継ぎを知り、その魅力のとりこになり修行をはじめ、8ヶ月という短さでお免状を取得しました。そしてこの金継ぎを、古くて新しい日本の文化として世界に広めたいと思い、誰でも自宅で壊れた器の金継ぎ修理ができる金継ぎキット「つぐキット」を開発しました。2020年5月の販売開始から数ヶ月間、月間約100個の注文をいただきました。
しかし販売を開始してまもなくコロナが流行。自粛生活を余儀なくされることも多くなり、今までの生活を見直す人も増え、密かに人気だった金継ぎがメディアでとりあげられ、海外からも注目されるようになりました。そして2020年末には大規模なおこもり需要で、つぐキットは月間売上が4倍まで急上昇。それまで製薬会社に勤める傍ら副業として運営していましたが、この大きなニーズに応えるために脱サラし、生涯を金継ぎ一本に捧げることに決めました。
金継ぎが世間に知られていくとともに、合成樹脂など食器に適さない材料で器を直す「簡易金継ぎ」と呼ばれる手法も流行していきました。また、手間暇かかる伝統金継ぎより安く簡単ですぐにできるため、あまり詳しい情報もないままメディアにとりあげられることが増えていきました。
簡易金継ぎの商品を販売すれば、売れるし儲かる…しかし、本物の日本文化を、正しい情報とともに世界に発信できるのは私しかいない!という信念のもと、あえて簡易金継ぎには手を出さず、自然の材料のみを使った伝統金継ぎに特化し続けることを決意しました。そして、もっと伝統金継ぎが身近になるよう、商品の改良を重ねました。デザインも、日本の文様「青海波」を用いたおしゃれなブランドに一新し、この素晴らしい伝統文化が海を渡って届くようにと想いを込め、自社で一つ一つ手作業で製造し国内・海外へと発送することを続けました。
この努力が実ってか、つぐキットは現在、月間約600個を超える注文をいただくまでに成長しました。2021年春からは特に海外からのご注文が増えています。
またお客様の中には「先生に直接指導してもらたい」という声があり、2021年2月に「東京金継ぎ教室 つぐつぐ」を東京・広尾にオープンし、4月にはオンライン金継ぎ教室もスタートしました。当社はこれからも、世の中に、昔から伝わる本物の金継ぎの適切な情報配信と、自然の材料で手間暇かけて直す楽しさ・素晴らしさを伝えていきたいと思っています。
現在どれだけの人が金継ぎを知っているのか把握するために、先月、200人以上の女性を対象に金継ぎの認知度調査を行いました。コロナが流行する前の2019年は金継ぎを知っていると答えた人は約41%でしたが、2021年5月には約56%まで増加。また20代で金継ぎを知っている人が約43%もいたことから、若い世代にも興味を持ってもらえるようになったと考えています。
しかし、まだ日本人全員が金継ぎを知っているわけではありません。また男性は女性よりも金継ぎを知らない方が多いのではと予想しています。当社は、全ての日本人が金継ぎを知っていて、陶器が壊れたらすぐ捨てるのではなく、立ち止まって「金継ぎして直そうかな?」と思うのが当たり前になる世の中にしていきたいです。そのために、伝統金継ぎを素晴らしい日本の伝統文化として、国内だけでなく世界中に配信していきたいです。
つぐキットが、一家に一台あるお裁縫箱のように身近な存在になり、誰もが大切な器を生涯使っていけるようになればと願っています。
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