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天王洲を日本文化の発信地に!地域ブランディングに貢献した「キャナルアートモーメント品川」の舞台裏

著者: 一般社団法人 天王洲・キャナルサイド活性化協会


2019年から、品川区の天王洲エリアで毎年開催されている日本文化醸成イベント「キャナルアートモーメント品川」。2021年は、8月28日(土)と29日(日)に開催します。


同イベントは、運河上に設置した特設ライブステージでのパフォーマンスにビル壁面を利用した大胆なプロジェクションマッピングなど、水辺空間をフル活用して行われるプレミアムライブです。


天王洲エリアでは、2016年から地域活性化の一環として、アートを活用した街づくりがスタート。「キャナルアートモーメント品川」は今までの活動の集大成ともいえる一大イベントで、天王洲を「アートと日本文化の発信地」として位置づける重要な役割を担っています。


今回は、「キャナルアートモーメント品川」の企画・運営を担う一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会の理事長 三宅 康之さん、事務局長 和田本 聡さんが舞台裏を語ります。どのようにして、天王洲エリアの地域活性化を牽引するイベントが誕生し、どのようなインパクトが生まれたのか。これまで表に出ていなかったストーリーを深堀りします。


(左)一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会 理事長 三宅 康之 

(右)一般社団法人天王洲・キャナルサイド活性化協会 事務局長 和田本 聡


かつて、天王洲は東京で一番オシャレな街だった


ーー「キャナルアートモーメント品川」は、2019年からスタートしたそうですね。もともと天王洲エリアには、どんな課題がありましたか?


(三宅)

天王洲エリアは、東京のウォーターフロント再開発によって、1990年代に「東京でもっともオシャレな街」と言われていました。若者がこぞってデートに来ていたし、天王洲の第一ホテル東京シーフォートは、東京でもっとも人気のあるホテルでした。しかし、他のウォーターフロント地域で開発が進むにつれ今までのにぎわいが失われ、“忘れ去られた街”のように寂しくなってしまって……。


(和田本)

加えて、新たな商業ビルが続々オープンしていた近隣の品川や、トレンドを牽引する渋谷、六本木などに人の流れが移り、天王洲の存在が忘れられてしまったのかもしれません。そのため、天王洲エリアは心機一転して、街を盛り上げるための取り組みを強化する必要があったんです。


ーー渋谷、六本木といった強敵に対抗するために、どのように開発をスタートしたのでしょうか?


(和田本)

2015年から本格的な開発がスタートし、ハード面の整備とともに、天王洲にアートを展示しようという計画が持ち上がりました。もともと、1990年の再開発時の天王洲のスローガンが、「アートになる島、ハートのある街」で、水辺空間を生かして絵になる街づくりを進めたい意図があったんです。


天王洲エリアに展示されたアートの数々



(和田本)

景観審議会・屋外広告物審議会の審査を経て許可をもらい、ビルの壁面や道沿いの壁に、インパクトのあるアートを展示。「天王洲アートフェスティバル」として展開したところ、地元民からも大人気で、現在も取り組みを継続しています。これまでの実績が認められ、天王洲は品川区の「景観重点地区」にも指定されました。


(三宅)

2016年からは、天王洲の就業者や住民に向けての「天王洲キャナルフェス」もスタートしました。運河沿いのビル壁面に映像を投影する「水辺の映画祭」や水辺のマルシェ等、独自企画を盛り込んだ催しを春夏秋冬に開催しています。過去5年間で20回開催し、毎回約15,000人を集客。天王洲の恒例行事として定着しつつあります。



ーー天王洲キャナルフェスやアート展示が功を奏し、「キャナルアートモーメント品川」という一大イベントが誕生したのですか?


(三宅)

そうですね、地域の方々に楽しんでいただく「天王洲キャナルフェス」に対して、「キャナルアートモーメント品川」は協会の活動の集大成として、天王洲から日本文化を世界に発信する目的で誕生しました。2019年から始まり、2021年が3回目の開催です。

初開催の2019年、配信を試みた2020年


ーーこれまでの「キャナルアートモーメント品川」では、どのような企画を実施してきましたか?




(三宅)

初回の2019年は天候にも恵まれ、水上の野外ステージで数々のダイナミックな演目が繰り広げられました。オープニングでは、品川区で活動する「大井権現太鼓保存会」の演奏や炎を自在に操る「雷光炎舞かぐづち-KAGUZUCHI-」のエンターテイメントショーなど、華やかなパフォーマンスの連続で大盛り上がり!


地元で活躍する「大井権現太鼓保存会」の力強い演奏風景


炎と光を使った圧巻の演技を披露した「雷光炎舞かぐづち-KAGUZUCHI-」


女性だけで結成されたBIGBAND「たをやめオルケスタ」も聴衆を魅了



(三宅)

運河沿いの壁面3カ所を使ったプロジェクションマッピングの演出も実施し、来場者から大変好評でした。


3つの建物の壁面に映し出されたプロジェクションマッピング



(和田本)

2019年は東京オリンピックへの機運を高めたいという意図があり、「和」の要素をふんだんに盛り込んだ構成でした。週末2日のみの実施ということで取材メディアの獲得に課題がありましたが、国内のみならず台湾メディアでも報道され、約2,000名の聴衆が集まりました。



(三宅)

水辺を舞台にチャレンジングなパフォーマンスを展開できたこと、地域の皆さんを中心に多くの来場者が集まったことを踏まえると、大成功だったのかなと。来場者に実施したアンケート(※)でも、「大変満足」と「満足」をあわせて93%と高評価でした。


あまり知られていないと思いますが、水辺空間の規制は非常に厳しく、イベントの実施が難しい現状があります。しかし、当協会はこれまでの活動実績と国交省、海上保安庁、警視庁、東京都、品川区の協力により、特別に水上イベントが許可された経緯があります。





ーーそんな背景があったとは……。コロナ禍での初開催となった2020年は、どんな催しが実施されましたか?



(和田本)

2020年も​​日本文化・芸術を中心に、さまざま演目を実施しました。2度目の出演となる「大井権現太鼓保存会」の和太鼓演奏のほか、日本舞踊界で実績を持つ花柳 輔太朗さん演出の日本舞踊水上パフォーマンス、 片足が義足のコンテンポラリーダンサー 大前光市さんの創作ダンスなど、東京オリンピックの理念の柱である「多様性と調和」も意識しました。

       

ただ、残念ながら当日に台風が直撃してしまって。屋外での開催を断念し、急きょ屋内のパフォーマンスをオンライン配信することに。本来は、安全性に配慮したうえで、客席数を限定して実施予定だったんですけどね。初の配信ということで手探り状態のなか、2D配信に加えて、360度ぐるりと試聴できるVR配信も取り入れました。


世界に誇る日本文化として、日本舞踊を盛り込んだ


聴衆の心に訴えかけるような演技を披露した大前光市さん















360度鑑賞が可能なVR配信の様子


存続の命運を握る「キャナルアートモーメント品川 2021」


ーーさまざまなトライアンドエラーを重ねてきたのですね。2021年は、どのようなイベントになりそうですか?




(和田本)

昨年、野外で開催できなかったリベンジとして、大前光市さんが2度目の出演となり、生演奏にあわせて創作ダンスを披露します。1年越しの野外水上ステージでのパフォーマンスとあって、大前さんの意気込みは相当ですよ!


レギュラー出演中の「大井権現太鼓保存会」も登場し、壁面を使ったプロジェクションマッピングも例年以上にダイナミックになります。初の試みとしては、メインステージでミュージカル『オズの魔法使い』の上演が決定。斬新な体験を届けたいとの思いから、中身は完全にオリジナルで、コンテンポラリーダンスとジャズ演奏にセリフの朗読が入ります。


コロナ禍のため感染症対策を実施したうえで来場者は約400人に制限し、メインはYou Tubeでのオンライン配信での開催となります。



ーー開催にあたり、どのような期待を抱いていますか?


(三宅)

どれほど話題性を集め、視聴者を増やせるかが、今回の勝負所かなと。昨年までに一定の評価をいただいているものの、今回、関係者の期待に応える結果を出せなければ、来年の開催は厳しいかもしれません。PR施策を強化して、プレミアム要素のある水上イベントの魅力をしっかりと届けていく必要があると思っています。


(和田本)

国内外の多くの方に見ていただきたいのはもちろんですが、特にアーティストに見てほしいですね。水上ステージで演技を披露できるのは、日本では非常にレア。このアートモーメントが水上イベントの代表格となり、アーティストにとって“憧れの舞台”になればと期待しています。

世界発信を強化。品川区を東京一の観光拠点に


ーー天王洲エリアで数々の地域ブランディングを実施してきたお二人が考える、未来の天王洲とは?


(三宅)

着実に実績を積むなかで、品川区との絆が深まったり、天王洲アイル地区が「プロジェクションマッピング活用地区」として東京都から初めて指定されたり、協会としての着実な歩みを実感しています。地域の方々が、天王洲の水辺の素晴らしさを味わってくれいている様子も感じます。


今後は、より広範囲の国内外の観光客に向けたアプローチを強化して、天王洲エリアならではの魅力を押し出していきたい。羽田空港に近いという利点を活かし、天王洲が観光拠点のハブとなり、旅の始まりや終わりに立ち寄ってもらえる場所になれば。人々が行き交う街が理想です。


そのために、訪れた人々をおもてなしできる受け皿として、水辺空間を生かした文化コンテンツを豊富に用意したい。六本木、銀座、渋谷に並ぶような観光地を目指しています。


和太鼓演奏とプロジェクションマッピングを融合させた演出の様子



(和田本)

実は、海外向けのPRやコンテンツづくりは、コロナ禍で一度ストップしてしまったんですよね。天王洲には和文化の象徴のような屋形船もありますし、日本文化を体感できる外国人向けのツアーを企画するなど、今後の観光需要を見据えて、準備を進めるつもりです。


その先の未来図として目指すのは、品川区が方針として掲げているダイバーシティ。品川区という地域一帯を、ハンディキャップがある方や多様なバックグラウンドを持つ方と共存するプラットフォームにしたいと考えています。





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