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「ベトナム映画祭2023」開催までの道のり。-日越国交樹立50年の節目に-

著者: 株式会社ムービー・アクト・プロジェクト

私たちは配給会社 ムービー・アクト・プロジェクトです。日本のインディペンデント映画を多く手がけていますが、実はベトナム映画の配給も早くから行ってきました。

来年、日越国交樹立50周年の節目に「ベトナム映画祭2023」を開催するために準備をしています。


さまざまな「壁」を乗り越えるために、映画の「場」を作りたい

私たちはムービー・アクト・プロジェクトを2017年に設立し、持続可能な映画文化の未来を作るために様々な活動をしています。


2020年があのような災禍に見舞われるとは、誰が予想したでしょう。 でもこのことによって、今までの社会がこのままで良いか、気づかされたことが多くあったように思います。 格差の増大や、消費社会の弊害、 環境間題など、課題は山積みです。ただそれは今に始まったことではありませんし、 日常の問題を描いた物語も、未来を予測した物語も、既にたくさんの「映画」で描かれてきているのです。


1921年に作られた、 チャップリンの『キッド』は浮浪者と孤児が主人公のモノクロのサイレント映画ですが、未だに多くの方に愛され続けています。サイレントからトーキーへ、モノクロからカラーへ、 そしてフィルムからデジタルへ映像技術は進歩し、 今では誰でもが撮影し、映像で世界へ発信することができるようになりました。 ただそこには、言語や価値観、 世代や環境の差など「壁」が存在します。


その「壁」をなるべく壊しながら、多くの価値観を共有し、驚きや感動を届け、 ー人でも多くの方に、希望を届けられることを目指していきたい。


「映画」で世界は変えられないかもしれませんが、人の気持ちや考えを変えることができる。 そんな人たちが増えていけば、未来は変わる一一。そう信じています。


ベトナム映画との縁は2014年から




私(熊谷睦子)とベトナムとの縁は、2014年に配給作品の『クレヴァニ、愛のトンネル』で、ハノイ国際映画祭に行ったことから始まります。


その後11月末頃から、製作に関わった『ベトナムの風に吹かれて』もハノイで撮影に入りました。映画祭や映画製作関係者の方々にすごく良くしていただきました。ベトナムの国と共に人々の印象がすごく良かった、それがその後につながる一番の理由だったかもしれません。



『ベトナムの風に吹かれて』原作者の小松みゆきさんもよく仰っていましたが、ベトナムは人が穏やかで優しい。儒教が根付いているからかもしれません。通訳してくれた方も日本のカルチャーが好きで日本語を勉強した…という方が多くて。映画祭の通訳さんはボランティアの高校生でしたが、日本語を映画やドラマを観て独学で勉強したと言っていました。努力家が多い印象です。


日本の映画が上映される機会も多く、『クレヴァニ』は映画祭での上映だけでしたが、『ルパン三世』(2014/北村龍平)や『ドラえもん』のアニメは映画館で上映されていました。『ドラえもん』は大ヒットしていたようです。原作のマンガはベトナム語版でかなり多くの方に読まれています。


翌2015年に『ベトナムの風に吹かれて』が完成し、ベトナムで上映するためにまたハノイやダナン、ホーチミンを訪れて、ますます良い印象を持ちました。

また撮影時にコーディネイトをして下さった方が『Tôi thấy hoa vàng trên cỏ xanh 』(後に邦題『草原に黄色い花を見つける』)をFacebookで紹介していて、気になっていたら2016年の大阪アジアン映画祭で上映され観ることができました。ぜひ日本でも公開したいと思って、アジアフォーカス・福岡国際映画祭にヴィクター・ヴー監督が来られると聞いて会いに行き、直接お話しすることができました。正式に上映できるようになるまでは紆余曲折あり、やっと2017年に公開できました。監督も上映のために再度来日し、駐日ベトナム大使館で記者会見も行いました。



その後も何度もベトナムに通い、ベトナムの映画関係者とも交流を深め、カルチャー全般のクオリティの高さ、成長の勢いを感じています。


私たちが「ベトナム映画祭」を開催する理由


『草原に黄色い花を見つける』の公開までの間に感じたことがいくつかあります。やはりベトナム映画は、まだ日本ではあまり馴染みがない。アジア映画に興味を持っている人が、日本で行われた映画祭で観ていたぐらいで。とにかく作品が日本に入って来ていないことが、一番の理由だと思っています。


そこで日本とベトナムの国交樹立45周年の2018年に「ベトナム映画祭2018」を9月の横浜を皮切りに、東京、大阪、名古屋の全国4ヶ所で開催しました。


北海道・東川町で撮影された『目を閉じれば夏が見える(Nhắm Mắt Thấy Mùa Hè)』や、日本人の落合賢監督が手がけた『サイゴン・ボディガード(Vệ Sĩ Sài Gòn)』、ベトナムのアイドルグループ365dabandが出演した超大作『フェアリー・オブ・キングダム((Tấm Cám: Chuyện Chưa Kể)』など、様々なジャンルの映画を各地で約10本上映いたしました。


その後、NYに住むベトナム移民を描いたベトナムを懐う(Dạ Cổ Hoài Lang)」や、ヴェネツィア映画祭にも招待された漂うがごとく(Chơi Vơi)」は劇場公開もされました。また「仕立て屋 サイゴンを生きる(Cô Ba Sài Gòn)」はその後「サイゴン・クチュール」と改題され、北海道から沖縄まで全国30館で公開され話題になりました。プロモーションではグエン・ケイ監督が来日し、アオザイのファッションショーを笹塚ボウルさんで開催し、話題に。次回作を京都で撮影するといった宣言も飛び出しました!


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しかしその後、ご存知の通りコロナ禍で様々なことがストップし、ベトナムとの交流も残念ながら止まってしまいました。ただ映画だけは上映がつづき「ソン・ランの響き」や、「走れロム」など、この間も素晴らしいベトナム映画が紹介され続けてきました。

5年ぶりの「ベトナム映画祭」開催準備の裏側


冒頭でもお伝えした通り、2023年はベトナムと日本が国交樹立してから50年の節目の年を迎えます。前回の開催から5年ぶりとなりますが、この間に日本に住むベトナム人たちは増加の一途をたどり、今や在留外国人2位の43.3万人(2021年統計)まで増えています。その多くが留学生や技能実習生など若い人たちです。彼らと映画を通じて交流するためにも、今回は全国4ヶ所だけでなく、なるべく多くの地域で映画祭を開催したいと考えています。


「ベトナム映画祭2023」の準備は既にスタートしており、劇場も徐々に内定し、合わせて初公開作の選定も少しずつ進めています。


前回のベトナム映画祭のプログラム選考は、2022年3月に亡くなった映画評論家の佐藤忠男先生にお願いしました。佐藤先生は、早くからアジア映画の紹介に尽力され、アジアフォーカス・福岡国際映画祭では、ベトナム映画を初めて日本に紹介した他、アジアの各地域では保管が難しいフィルム等を、福岡市総合図書館にアーカイブとして所蔵できるよう進言するなどされた方です。

今回は残念ながら依頼することが出来なくなってしまいましたので、今度は作品選考を日本に住むベトナム人留学生の皆さんに手伝ってもらおうと思っています。


また監督や俳優さんなどベトナムからのゲストもお呼びして交流会も考えています。そのためにも運営費をサポート頂きたく、クラウドファンディングを始めました。

https://motion-gallery.net/projects/vietnamff2023


クラウド・ファンディングで目指すもの


2018年にベトナム映画祭を開催した時、日本にいる若いベトナムの人たちが友人や恋人と一緒に映画を楽しもうと映画館に足を運んでくれました。

コンビニや飲食店で、ベトナム人たちに出会ったことはありませんか?彼らの多くは日本語の勉強をしながら、アルバイトなどで家族に仕送りをしたり、ベトナムがより豊かな国になるよう、日本で技術を学んでいます。

昨今、彼らの労働環境の厳しさや、事件なども報道されていますが、我々日本人は殆ど今のベトナムの事を知らないのではないでしょうか?まずは彼らの国・ベトナムのことをもっと知るためにも、また実際に交流するためにも、映画が有効だと考えています。


今回、クラウド・ファンデイングのリターンとして、大きく二つの目的を考えました。


ひとつは、まだベトナム映画を観たことがない人たちに観て知ってもらうこと

そのために前回上映した作品をDVDや配信で観てもらえる用意をし、パンフレットや最新のベトナムカルチャーの情報が掲載された冊子を特典のひとつとして選んでいただけるようにしました。



もうひとつは、職場や周囲にいるベトナムの皆さんと一緒に映画祭に来てもらうこと

そのために次の映画祭用の回数券チケットを用意しました。他にも新作の試写や交流会の参加権など、みなさんに興味を持っていただけるように工夫したつもりです。


ベトナムと日本のこれからの発展のために


2023年、ベトナムの人口は1億人を突破すると言われています。現在も15歳以下が全人口の4分の1、平均年齢が30才と若い世代が多い国です。少子高齢化と言われる日本とは逆ですね。


また日本とベトナムの関係は古く、今では人気観光スポットでもあるベトナム中部のホイアンには「日本橋」という名の橋があります。朱印船貿易が盛んだった16世紀頃に建てられたと言われ、最盛期には1000人以上の日本人が住んでいたとか。

そして現在、ベトナムに進出している日本企業は2000社とも言われ、今後も増えていくと予想されています。


主食が米という共通項もあり、日本でもベトナム料理店が増えていますね。米粉で造られた麺のフォーや生春巻き、バインミーサンドイッチなど既に食べたことがある方も多いのではないでしょうか?逆にベトナムでも日本食レストランがたくさんあります。

それとベトナムはバイクが多いイメージがあると思いますが、もちろんホンダやヤマハなど日本製バイクが大人気なのです。


こんな風に文化や経済でも繋がりの深い両国が、言葉や距離の「壁」も超えて、もっと親交を深めるためにも、映画祭で交流を深める機会を作れたらと考えています。




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