シードラウンド2億円の資金調達とプロダクトのリリース。不動産テックFaciloはどこから来て、どこを目指すのか
2023年2月、Faciloはシードラウンドの資金調達を実行
株式会社Faciloは、不動産仲介業務をテクノロジーの力で効率化し顧客体験を向上させることを目指すスタートアップです。米国の不動産テック企業MovotoでCFOを務めた市川紘が2021年10月に創業しました。2023年2月22日に、シードラウンドとしてCoral Capitalおよび DNX Venturesから2億円を調達したことを発表し、同日に不動産業界特化型コミュニケーションクラウド『Facilo(ファシロ)』を正式リリースしました( https://facilo.jp/ )。Faciloは不動産仲介会社向けに、顧客との煩雑なコミュニケーションを一元化・可視化するクラウドサービスです。物件の販売図面から、室内写真、パンフレットなどの関連情報、内見などのスケジュール情報をクラウド上に整理でき、お客様はそこにアクセスすることで物件に関する情報をいつでも簡単に見ることができます。
今後Faciloは、野村不動産ソリューションズ・三菱地所ハウスネット等への先行導入で実績を積み重ねてきた同プロダクトをより多くの仲介会社に提供し、不動産業界の顧客体験(UX)向上および DX推進を図ります。
私たちのビジョン。「暮らしに合わせて軽やかに家を住み替える世界」
3回 vs 12回。これは日本人とアメリカ人が一生のうちに住み替えを行う平均回数です。不動産業界が成熟しているアメリカでは、ライフスタイルの変化に合わせて日本の4倍の頻度で家を柔軟に住み替えます。
日本人は、一つの家に長く住み、一生賃貸という人も珍しくありません。対して、アメリカ人は暮らしに合わせてもっと柔軟に家を住み替えます。中古住宅でも、きちんと手入れがされていたり立地が良かったりすると、価値がどんどん上がって物件の流動性が高まります。その結果、日本とアメリカの住み替え頻度に4倍もの差が生まれるのです。
日本でも、家に暮らしを無理やり合わせるのではなく、叶えたい暮らしに合わせて家を軽やかに住み替えられる世界を実現したい。そのためにFaciloは不動産の顧客体験を向上させ、住み替えをもっと身近でポジティブな選択肢にします。
不動産テックスタートアップとして、テクノロジーでイノベーションを加速させてゆく
不動産の売買が米国ほど広がらない要因は、複合的に絡み合っています。人口動態や国の法律や政策、業界全体の構造。そうした特性を踏まえると、黒船のように旧来の仕組みを壊すディスラプティブなアプローチはうまくいかないと考えています。
Faciloの役割は「不動産テックスタートアップとして、テクノロジーでイノベーションを加速させること」だと考えています。ですから、政府にはトップダウンで制度見直しを継続してもらいながら、私たちはビジネス面からボトムアップでアプローチしていく。それもスタートアップに閉じるのではなく大手企業とも連携しながら。不動産業界全体で、政府、大企業、スタートアップが三位一体となり、大きな歯車が噛み合って回り始めれば、複合的に絡み合った課題も解決できるはずです。これはディスラプティブなスタートアップが多く既存勢力vs新興勢力という構図になりがちなアメリカにはないアプローチですし、かえって日本型の方が大きなインパクトを実現できると信じています。
シリコンバレーで出会ったCEO市川とCTO梅林が2021年に共同創業
元々、当社代表の市川はリクルートで「SUUMO」事業に携わった後、米国で不動産ポータルなどを手がける不動産テック企業・Movotoに参画。同社ではCFOを務め、M&AによるExitを達成。その功績が認められ、米国の「Top 100 Leaders in Real Estate and Construction」に選出されました。
リクルート時代を含めると不動産テック領域でのキャリアは15年以上。新たな挑戦として日本の不動産領域の課題を解決するべく、SmartNewsアメリカ版のエンジニアチームの立ち上げメンバーだった梅林泰孝氏(Facilo取締役CTO)とともに会社を設立しました。
不動産取引のコミュニケーションをなめらかにするFaciloとは
Faciloの社名の由来にもなっていますが、オンラインで住み替えに関する多種多様な情報を一元管理し、AIで取引をファシリテートする、不動産コミュニケーションクラウドを提供しています。
不動産取引の現場では、まだまだ電話やFAX、メールでの連絡が主流です。「五月雨式に申し訳ございません」という前置きで、物件提案・日程調整・書類手配といった重要な情報がバラバラと送られてくることが現状では多くあります。不動産に関する情報は、ただでさえ専門的で複雑です。この情報が整理されていないなか手探りで人生最大の買い物の意思決定をするのは、消費者にとって大きな不安の原因となります。その不安に耐えられず途中で検討をやめてしまう人も多いのが実情です。
このようなコミュニケーションはこの30年間あまり進化していません。情報に埋もれながら次から次にやってくるタスクをこなして何とか購入にだとり着く。もしくは、情報を消化しきれず検討をあきらめてしまう。これらの体験が「家探しは面倒でむずかしい」というイメージを人々に与えています。
このような課題を解決するために、私たちは散在しがちな不動産取引に関する重要な情報を、全てクラウドに集約することで一元化・可視化を実現し、AIを活用しながら不動産取引が円滑に進むようファシリテーションしていく独自のプロダクトFaciloを開発しました。
フリマアプリのメルカリが、中古品の売買を劇的に増やしたのは記憶に新しいと思います。スマホ一つで完結する気軽さで取引の摩擦をなくすことで、市場における中古品の流通が活性化しました。Faciloも不動産コミュニケーションの摩擦をなくし、なめらかな仲介取引を実現することで、中古物件の流通自体を活性化してゆきたいです。
情報の整理を切り口に顧客体験を向上し、住み替えをもっと身近に
Faciloのプロダクトを通して、消費者が必要なときに必要な情報に簡単にアクセスできるようになり、一人一人の顧客体験が向上すれば不動産はもっと身近でポジティブな存在になれるはずです。住み替えがもっと身近になることで、生活者一人一人が理想の暮らしを実現しやすくなり、結果として住宅市場規模の拡大・経済活動の活発化に貢献できると考えています。
「家」に「暮らし」を合わせるのではなく、「暮らし」に「家」を合わせて、柔軟に住み替えられる未来を目指しています。
私たち日本人は、どこかで家に妥協している方が多いと思います。市川がリクルート時代に累計400人ほどユーザーインタビューを実施した際、多く聞かれた声は「広い家に住むために、大変だけど郊外から1時間以上かけて通勤している」や、「子どもが産まれて手狭になったため、収納を工夫して何とか対応している」といったもので、家を持つ喜びと同時にどこかに不満を抱えながら暮らしているケースが多かったのです。
「アメリカでは皆、家を愛していました。ライフスタイルに合わせて住み替えを重ね、暮らしにフィットしている自分の家に自信があるんです。だからホームパーティーで大々的に人を招いたりして、家に対して圧倒的にポジティブです」(市川)。
今の暮らしにどこか妥協や我慢をしながら暮らすのではなく、100%家に満足して自分らしく暮らせる未来を作りたいのです。自由な住み替えが実現できれば、暮らしはもっと豊かになると、私たちは信じています。
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